3月18日に開幕する第97回選抜高校野球大会。主役候補となる投打の注目選手を紹介します。1回目は健大高崎(群馬)…

投球練習する健大高崎の石垣元気投手=群馬県高崎市の同校野球場で2025年1月26日、手塚耕一郎撮影

 3月18日に開幕する第97回選抜高校野球大会。主役候補となる投打の注目選手を紹介します。1回目は健大高崎(群馬)の石垣元気投手(2年)。最速158キロを誇る速球派右腕に迫りました。

「自分にしかできない挑戦」

 注目を一身に浴びて3度目となる聖地のマウンドに立つ右腕には、二つの野望がある。史上4校目の連覇と、過去に2人しか到達していない甲子園での155キロだ。「自分にしかできない挑戦。ワクワクしている」と燃えている。

 北海道登別市出身。「甲子園で活躍して将来的にプロに行けるように頑張りたい」と家族に宣言し、健大高崎までやってきた。1年春からベンチ入りすると、同学年の左腕・佐藤龍月(りゅうが)投手(2年)との左右の「二枚看板」としてすぐに頭角を現した。

 研究熱心な性格が成長を支えた。時間があるとプロ選手の動画をこまめにチェック。球種ごとにお気に入りの投手を見つけ、握りや球筋を参考にする。直球は佐々木朗希投手(米ドジャース)、スプリットなら高橋宏斗投手(中日)、スライダーであれば伊藤大海投手(日本ハム)だ。

 球速にはこだわってきた。2007年夏に佐藤由規投手(宮城・仙台育英)、13年夏には安楽智大投手(愛媛・済美)が甲子園でマークした最速155キロを「ずっと意識してきた」と明かす。昨秋の関東大会では、佐野日大(栃木)との準々決勝で158キロを計測して周囲を驚かせたが、本人は「たぶん間違い。訂正してもらえたら」と苦笑いを繰り返した。

 「本当に出ていたら感触が違ったはず。胸を張って『158』と言える形でもう一度出したい」というのが本音だ。まず甲子園で155キロに到達し、「高校3年生のうちに160キロには達したい」と、球速への向上心は尽きない。

 秋の公式戦は4試合で26回を投げて防御率2・08。ただ、横浜との関東大会決勝は延長タイブレークで決勝点を許すなど粘れなかった。青柳博文監督(52)は「球が速くても打たれる。もうひと工夫を」と注文する。

 冬場は下半身を鍛えて投球フォームを安定させ、制球力や直球の質が向上した。「一番はチームを勝たせること。どんな場面でもゼロを刻みたい。その上で球速もついてくれば」。底知れぬ剛腕が、甲子園のマウンドで進化を示す。【角田直哉】

 <次回は16日朝、東洋大姫路(兵庫)の阪下漣投手(2年)を公開する予定です>