センバツ高校野球1回戦(25日・甲子園)○常総学院(茨城)1―0日本航空石川● 八回2死満塁の守り。マウンドに集ま…
センバツ高校野球1回戦(25日・甲子園)
○常総学院(茨城)1―0日本航空石川●
八回2死満塁の守り。マウンドに集まった日本航空石川の選手たちは帽子をぬいで裏返し、一呼吸置いた。
それぞれ帽子のつばの裏には「笑顔 感謝 恩返し 石川県のために 共にがんばろう石川」とペンで書いてある。伝令でベンチから走ってきた背番号「19」の控え投手、福森誠也が「一度帽子を見て落ち着こう」と提案した。試合前からピンチではそうしようと決めていた。
制球が乱れていたマウンドの2番手・長井孝誠は平常心を取り戻し、次打者を見逃し三振に仕留めた。昨秋はもろさが出た試合終盤で、選手たちは成長した姿を見せた。
元日に起きた能登半島地震。福森は石川県輪島市の祖母宅で被災し、祖母を背負って高台に避難した。一時は家族で避難所に身を寄せたが、1月半ばに系列校のある山梨県に移ったチームに合流。伸びのある直球を買われてベンチ入りをつかんだ。困難にも前を向き続けるムードメーカーの存在は、チームを勇気付けてきた。
「勝てなくて悔しいが、最後の最後まで粘って、全力プレーは出し切れたと思う」と福森は言う。出場機会はなかったが、チームとして思いは体現できた。【石川裕士】