センバツ高校野球1回戦(18日、甲子園)●近江(滋賀)1―2熊本国府◯ 近江のエース西山恒誠が投じた169球目は、…
センバツ高校野球1回戦(18日、甲子園)
●近江(滋賀)1―2熊本国府◯
近江のエース西山恒誠が投じた169球目は、サヨナラ暴投の悲劇的な結末となった。西山は「力みがあった」と悔しがったが、実は相手の術中にはまっていた。
1―1の延長十回1死満塁。カウント1―1からアウトコースをめがけて投げたはずのストレートを低めにたたきつけてしまい、捕手の高橋直希も捕れずに後ろにそらした。高橋が慌てて白球を追ったが、相手の三塁走者が生還。勝敗は決した。
西山は昨秋の近畿大会の興国(大阪)戦で、76球で完封したように、球数の少なさとテンポの良さが売り。だが、熊本国府の意図はそれを奪うことにあった。
熊本国府・山田祐揮監督は「西山君のリズムを崩したかった」と振り返る。熊本国府打線は初球にうかつに手を出さず、ランエンドヒットなどを多用して揺さぶり続けた。
西山はファーストストライクを奪えずに苦しんだ。重圧からか、普段の精密機械のような制球力を失い、球数と疲労はかさむばかり。八回ごろからは両足の指がつった。何とか粘ったが、最後の場面で限界を迎え、踏ん張りがきかず、暴投につながってしまった。
西山は「169球も投げたことは今までになかった。自分の体力不足」と沈痛な表情を浮かべた。わずか1点しか奪えなかった野手陣は責任を感じたのか、試合終了直後はエースに声をかけることすらできなかった。
だが、同じ中学出身の捕手・高橋は試合後に言葉を絞り出した。「悔いしか残らない試合。夏は甲子園に戻ってきて、西山と最高の投球がしたい」と。【岸本悠】