16日開幕KKT杯バンテリンレディス 女子ゴルフの国内ツアー・KKT杯バンテリンレディスは16日から3日間、熊本空港CC(6501ヤード、パー72)で行われる。熊本出身の有村智恵(日本HP)は15日、練習ラウンドで最終調整。熊本地震からちょ…

16日開幕KKT杯バンテリンレディス

 女子ゴルフの国内ツアー・KKT杯バンテリンレディスは16日から3日間、熊本空港CC(6501ヤード、パー72)で行われる。熊本出身の有村智恵(日本HP)は15日、練習ラウンドで最終調整。熊本地震からちょうど5年が経ち、ここまでの足跡に思いを馳せた。

 2016年大会は開幕前夜に熊本地震が発生。選手たちは被災し、大会中止に見舞われた。有村は最大震度7を観測した益城町に隣接する嘉島町の実家で被災。当時は瓦礫の山の間を車で何時間もかけて通りながら、コースにゴルフバッグを取りに来た。今大会も自宅から通っている。

「思い出すものはありますよね。家からコースに来る時は益城町を通る。建物とか道とか、通るたびにいろんなものが変わっています。復興していることを明らかに目にするので、人の力って凄いなって実感するので力をもらいます。壊れていた建物は撤去されているけど、まだ名残があるし、最近はここ(コース)に来る道がようやく通れるようになった」

 まだ完全には復興が終わっていないことを理解しながら、ここまでの歩みを振り返った。当時は上田桃子ら熊本出身の選手たちと募金活動などに奔走。ツアー再開後は懸命にプレーする姿を届け、プロゴルファーとして責務を果たしてきた。胸にあるのは、育ってきた町に対する感謝の思い。それは5年経っても変わることはない。

「本当に私一人や家族だけではこの場に立てていない。熊本は家族以外の人も『全員家族』みたいな感じ。ジュニアに対しても、とにかくみんなで育てようとやってくれたことで強い選手が多い。一丸となってくださったので、そういう方が元気になれるように恩返しの気持ちでやっています」

復興してもコロナ禍に、有村が複雑な心境吐露「コロナの方が苦しい」

 ただ、心配もある。観光地も復興してきた一方でコロナ禍に見舞われた。有村は「市内と離れたところに住んでいるので、市街地の人と接点がない」と温度感が異なる可能性について前置きしつつ、県民の気持ちを代弁するかのように複雑な心境を明かした。

「復興に向けて頑張っている中で熊本城、阿蘇山の開通で前向きに進んでいるけど、コロナもあって観光業の方は『来てください』とは言えない。復興しているというよりも、コロナの方が苦しいところが出ていると勝手に想像しています」

 今年は初戦から5試合で2度の20位が最高位。予選落ちも2度あった。「今週の試合は自分にとっては海外メジャーに匹敵するくらいの大事な試合」と思い入れ深い故郷のホステス大会。ツアー通算14勝の実力者は「今年のセッティングだとバーディーを獲らないと厳しい。今までのコースと違うゴルフをしないといけない。グダグダしてしまったら、まだまだ成長していないと思われる。いいプレーで成長したなと思ってもらいたい」と戦い抜く。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)