16日開幕KKT杯バンテリンレディス 女子ゴルフの国内ツアー・KKT杯バンテリンレディスは16日から3日間、熊本空港CC(6501ヤード、パー72)で行われる。熊本出身の上田桃子(ZOZO)は練習ラウンドで最終調整。マスターズを制した松山英…

16日開幕KKT杯バンテリンレディス

 女子ゴルフの国内ツアー・KKT杯バンテリンレディスは16日から3日間、熊本空港CC(6501ヤード、パー72)で行われる。熊本出身の上田桃子(ZOZO)は練習ラウンドで最終調整。マスターズを制した松山英樹(LEXUS)の快挙について熱弁し、思い入れ深い地元大会へ意気込みを示した。

 米女子ツアーを戦った経験のある上田は、松山のマスターズ制覇について会見で熱く語った。印象を問われると、1分40秒かけてこう答えた。

「スポーツで感動するってああいうことだなって思いました。女子ツアーもそうですが、ここ最近のゴルフって(見ていて)あまり緊張を感じないというか、優勝争いをしている人って本当に緊張しているのかなと思う時がある。そういう人間の心理的なものが見えないことが少ないなという状況が多かった。でも、マスターズは大会が大会だけに緊張感が凄く伝わってきたし、松山君の表情一つ見ても凄くストーリーがある。

 PGAツアーならではの追い上げも凄く見応えがあったし、そういう中での優勝でより感動した。正直、マスターズチャンピオンが日本から生まれるなんて想像つかなかったですし、実際に扉が開いたと思うけど、女子とは違って男子はパワーが全然違うので、今後誰がその穴をこじ開けて頑張っていくんだろうと思う。夢のような世界。本当に信じてそこに挑戦し続けている人は叶うんだなっていうのを見せてもらえた」

 刺激を受けた様子の上田は、いつも以上に熱い気持ちで今大会に臨む。コロナ禍で昨年は中止に。2年ぶりの開催で「やっぱり去年もやりたかった気持ちが強かったので、やっと久しぶりにここでやれるという思いです。小さい時からお世話になった練習場の人にも『見たかった』と言われるし、練習場に来る人も仰ってくださっているそうです。その分、テレビに映る位置でプレーしたい」と活躍を目指す。

 2016年大会は開幕前夜に熊本地震が発生。選手たちは被災し、大会中止に見舞われた。上田も熊本市内の実家が住めなくなり、建て替えを余儀なくされた。

「特に最近、鹿児島で地震が活発になった。熊本に入る時も『またこの時期に地震か』と心配になった。みんなそうだと思うし、苦い記憶が蘇った。でも、熊本城の天守閣ができ上がったというニュースを見ると嬉しいし、苦い思いだけじゃなくて進んでいるという前向きな気持ちも両方あります」

故郷に対する心境とは「熊本のことを調べて、今まで以上に好きになっています」

 地震から1年後の17年大会は、地元ファンの大声援を受けながら優勝争い。プレーオフで西山ゆかりに敗れた。昨年は豪雨災害を受けた地元に、6位に入った全英女子オープンの賞金から1000万円を寄付。いつも故郷を思ってプレーしてきたが、5年の月日は自他ともに簡単な道のりではなかったようだ。

「5年って長いようですけど、今もなお418人が仮設で過ごしているというニュースを見て、5年も経ってまだ生活が変わっていないと思うと、やっぱり長くはないのかなと。まだたった5年なんだなと思います。冬に久々に帰ってきて他の人とゴルフに行くと、阿蘇の方とかまだ厳しい状況を目にすると聞きます。長いようで短いもんなんだなと思います。

 改めて自分が熊本で育ってきたことを考え直す時間にもなりました。身近な人が大変な生活をして、自分の両親も熊本で生活をしているので心配になる。今まで以上に深く、強く思うことがあるし、改めて熊本のことを調べて、知ることによって今まで以上に好きになっています」

 ゴルフのこと、熊本のことを語る上田の言葉はいつも熱い。会見時間は16分だった。コロナ禍の影響で今週は無観客。地元の大声援はない。それでも、テレビを通して雄姿を届ける。「まずは元気な姿で戦っているところをお見せしたい。ここには負けた思い出も、よかった思い出もある。『このショットが見たかった』と思ってもらえる一打を打ちたい。優勝を目指してきているので良い位置で回りたいし、とにかく“その一打”と言えるものを打ちたい」と力を込めた。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)