「原点に帰ってもう一花咲かせようと思って、朝も夜も練習しているんで今めちゃめちゃ強いっすよ。誰でもかかってこいって感じです」総合格闘技RIZINの格闘家・皇治選手が、東京都内に新設したジムのお披露目式で取材陣に向かって力強く語った。ジムは当…

「原点に帰ってもう一花咲かせようと思って、朝も夜も練習しているんで今めちゃめちゃ強いっすよ。誰でもかかってこいって感じです」

総合格闘技RIZINの格闘家・皇治選手が、東京都内に新設したジムのお披露目式で取材陣に向かって力強く語った。ジムは当面の間は練習生を取らない。皇治選手自身の拠点だ。
2017年にK-1ルール世界ライト級王座決定戦で勝利し“花を咲かせた”が、RIZIN転向後は2戦2敗。連敗してリングを去ることも考えた皇治選手が、自分専用のトレーニング場を構え再スタートを決った裏側には、勝者へのリスペクトと敗北への反骨心があった。

2020年大晦日。皇治選手は初代PRIDEライト級王者・五味隆典選手と戦い判定負けを喫した。レジェンドとの試合を通し「これが本当にハングリーな男なんや。これを俺はずっと忘れてたんやな」との思いが湧き上がってきたという。「一時代を築いたレジェンドがあれだけストイックで、殴り合いしてる時も本気で勝ちに来たんだなと感じて。自分も階級超えてぶっ倒すつもりでいたんですが、五味選手は勝つことに徹してきはった」
五味選手のハードパンチに折られたのは、自身の“天狗の鼻”だったと明かす。「気づかんうちに慢心になってたんでしょうね。それが五味さんのおかげでなくなりました。昔に戻った感じです。卜部(弘嵩)や武尊とやりたいって、ずっとほざいてた頃に」。“ビッグマウスの男”が、謙虚な表情を垣間見せた。

新しくオープンしたジム『TEAM ONE』は3回建て。1階にリングを置き、2階がトレーニングスペース、3階が事務所となっている。俳優の哀川翔さんに選んでもらったというロゴには、ジムの名前を貫くように「NARIAGARI」と書かれている。「いつもカッコつけてぺちゃくちゃ喋ってますけど、男はほんま成り上がってナンボだと思ってます」とその言葉に懸けた想いを語る。「地方から成り上がるって東京出てきて、負けて帰るのは自分でも許せなくて。もう一回ここで一花咲かそうと思ってやりました」
リング上では1人で闘う皇治選手が“チーム”を強調するのは「自分のスタッフ、全員地元の同級生なんですよ。みんなで成り上がっていこうと。かといって傷の舐め合いは嫌いで、みんなでよしよしするんじゃなくて、お互い自分のやることやって切磋琢磨しようぜって。金じゃない、仲間で上がっていく」と共に成り上がってきた仲間たちと誓ったからだ。

皇治選手は2月に自身初の著書『凡人の勝算 最後に勝つヤツの思考法(宝島社)』を出版。「男は笑われる夢を叶えた時が一番快感だと思うんですよね。自分は全部無理って笑われてきましたけど、反骨精神だけで上がってきました。凡人でもこうなれるって、諦めるなって伝えたい」とのメッセージを綴った。
皇治選手自身も夢へと到る道の最中だ。「本を出したり、専用ジムを作ったり、ずっとやりたいと思ってたことはやったけど満足できない。理想の自分を追いかけ続けてる」。再起を誓う次戦は、5月30日にメイン出場を予定しているRIZIN大阪大会。地元・大阪での試合ということもあり、懸ける想いも強い。「ぶっ飛ばしますよ。大阪大会、まじで盛り上げようと思ってます。口だけでここまで上がってきたら世話ないですよ。実際戦ってきたんでね。それを見せようと思ってます」

“最後に勝つ”ため、不屈の男が成り上がりのロードをひた走る。