片岡篤史が語るYouTubeと今季のプロ野球 中編 前編から読む>> 3月26日に開幕した今年のプロ野球。昨年中止になっ…
片岡篤史が語るYouTubeと今季のプロ野球 中編 前編から読む>>
3月26日に開幕した今年のプロ野球。昨年中止になった交流戦が例年通りに開催され、東京五輪が開催されれば7月19日~8月12日まで中断される。そんなイレギュラーなシーズンの展望を片岡篤史が語った。前編に続き、聞き手は人気YouTube『片岡篤史チャンネル』でアシスタントを務める吉田恵美。日本ハムと阪神で活躍し、セ・パ両リーグに精通している片岡は今季をどう読むのか。

今季の展望について語る片岡篤史と、奥がアシスタントの吉田恵美
吉田恵美(以下:吉田) 今年のセ・パ両リーグの展望についてお聞きします。まずセ・リーグについては、菅野智之投手が残留した巨人が優位という見方が強いですね。対抗馬となるのはどのチームになりそうですか?
片岡篤史(以下:片岡) 巨人に対抗できるのは阪神ちゃうかな。昨年の対戦成績を見ると、阪神は巨人に対して8勝16敗。それが5分になってくれば、阪神が優勝する可能性はあるじゃないかと。2008年以降のシーズンはずっと負け越しか五分五分の成績が続いてるけど、2000年代に入ってから阪神が優勝した年(2003年、2005年)は巨人に勝ち越していますし。
昨年は開幕戦のカードで巨人に3連敗と出鼻をくじかれてしまったのが、今年はヤクルトに3連勝スタート。大物ルーキーの佐藤(輝明)が入ってきて、開幕投手を務めた藤浪(晋太郎)にも期待しているし、いろいろな意味で阪神は魅力があるよね。
吉田 阪神の次を挙げるとすれば、どのチームになりますか?
片岡 巨人と阪神の戦力が高く、他の4チームと差があると思います。中日は、昨季の終盤のような戦いができたら。あと、どのチームも外国人助っ人がなかなか合流できない状況ですが、DeNAは(ネフタリ・)ソトと(タイラー・)オースティンが合流してどんどん打てば面白い。横浜スタジアムはホームランが出やすい球場ですし、その勢いに乗ってチームが上昇していくことはあり得ます。選手個々に力があるチームやからね。
あと、DeNAが上に行くには山﨑(康晃)が復調しないとキツいんやないかと。彼はキレで勝負するタイプですけど、昨年はオープン戦が少なかった影響もあってか、苦労していました。先発投手と違ってリリーバーは試合に登板して肩を作っていくから、苦しんでいたのは山﨑だけではなかったけどね。今年は9回で試合が打ち切りなので、後ろの投手がしっかりしているチームがより有利やし、山﨑の存在は大事だね。
吉田 次にパ・リーグの展望をお聞きしたいのですが、こちらは打倒ソフトバンクの構図がはっきりしています。その一方、田中将大投手の日本球界復帰や早川隆久投手の加入などで楽天を推す声も多いです。現段階で注目しているチームはどこですか?
片岡 やっぱり楽天。今年は田中、早川が入って、最低でも2人で貯金10はするでしょう。涌井(秀章)、則本(昂大)、岸(孝之)もいて先発陣は盤石ですし、優勝ラインに絡んでくると思うんですね。予想通りにいかないのが野球なんですけど、今年の楽天は注目ですよ。
打線も浅村(栄斗)を中心に、成長著しい辰己(涼介)、田中(和基)、島内(宏明)、茂木(栄五郎)や鈴木(大地)と、メンバーが揃っています。東日本大震災から10年という節目の年でもありますし、「そういうタイミングなのかな」という気はしますね。
吉田 楽天以外でソフトバンクに対抗できるチームは、どこだと思いますか?
片岡 オリックスがいいと思っています。侍ジャパンでも活躍している山本(由伸)、山岡(泰輔)、吉田(正尚)がいて、こそっ~と平野(佳寿)がメジャーから帰ってきてるし(笑)。加えて2年目の宮城(大弥)にも期待だし、太田(椋)や紅林(弘太郎)、佐野(皓大)といった若手がどこまでできるかやね。
吉田 昨年はシーズン途中からでしたけど、中島(聡)監督の采配はどう思われましたか?
片岡 キャッチャー出身ということや、オリックスに長くいることもあって、チームを熟知していますね。中島さんが1軍の監督になられたタイミングで、2軍から杉本(裕太郎)らを思い切って抜擢して力を発揮させていました。だから、可能性を感じる若い選手が多い。そういう意味でもパ・リーグの"台風の目"になってほしいです。
吉田 ここ数年は、順位的にも存在感をあまり示すことができていませんね。
片岡 そうだよね。これはちょっと余談になるけど、個人的には(昨年にトライアウトを受験した)新庄(剛志)を獲得してほしかった。かつての日本ハムのように、彼が入ることで注目が集まりますから。今は試合を中継してくれていますけど、オレらが現役の頃のパ・リーグは「見られている感覚」がなかったんです。
そんな時、北海道に移転したばかりの日本ハムに新庄が入ってね。ファンにはこんな風にファンサービスをするんだよ、と選手に教えてくれました。「選手は常に見られているから」と言って、彼はファンを魅了することをどんどんやってくれたじゃないですか。"たられば"になるけど、新庄がオリックスに入団していたら、起爆剤になってオリックスにないものを注入してくれたんちゃうかなって思うんですけどね。
西武もいいと思うけど、西武ファンの吉田さんからすると、楽天に元西武の選手が多いことはどう思うの?
吉田 本当に多いので複雑な気持ちがないわけではありません。西武と楽天のファンは、SNSの一部でバチバチになっているところもあるような......。ただ、(昨オフは)増田(達至)投手が残ってくれたり、残留してくれる流れになってきていますけどね。シーズン開幕後も、「打倒!楽天」という思いを抱く西武ファンは多いように感じます(笑)。昨年に続いて勝ち越したい(12勝10敗2分)ところです。
今年は、東京オリンピックが開催されれば、7月19日~8月12日まで中断期間となります。このことがペナントレースにどんな影響があると思いますか?
片岡 それは、オリンピックに出場する選手の人数で影響が全然違うと思います。西武では、山川(穂高)や森(友哉)は抜けると痛いと思いますけど、昨年の成績などを見ると侍ジャパンに選ばれるのかどうか。そのあたりはどう思う?
吉田 3年前ぐらいの代表戦などでは両選手とも選ばれていましたが、2019年の「プレミア12」あたりからは選ばれていないですよね。確かに出ないほうがチームにとってプラスになる部分もあると思うんですけど、2人のような豪快な打撃が魅力の選手が、西武の代表として、日本の代表として戦ってほしい気持ちはあります。でも、出たら出たで疲労が心配ですし......(笑)。
片岡 過去には代表戦でケガをしてしまって、チームに帰ってきてから戦力になれなかった選手もいたよね。そのへんは保証の問題もあって本当に難しいところなんやけど......今回は東京開催ということもあるから、できたら2人には出てほしいな。あくまで、メンバーに選ばれたら、というのが前提やけど。
吉田 セ・リーグでいうと、巨人の対抗馬に挙げた阪神からはどのくらいの選手が選ばれそうでしょうか。
片岡 最近の阪神からは、常に選ばれている選手はおらんよね。今年の結果次第では、サードには巨人の岡本(和真)もいるけど、大山(悠輔)にも可能性があるかと。あと、近本(光司)がシーズンですごく活躍したら選ばれるかもしれない。オリンピックみたいな短期決戦は、「守れて走れる」というのが貴重やからね。それでいて打てる選手がいれば最高。
ただ、おそらく侍ジャパンで近年の実績を残している選手が、オリンピックでも中心になると思います。ここ数年で招集していなかった選手をいきなり呼ぶってことは考えにくい。やっぱり侍ジャパンも「チーム」だから、稲葉(篤紀)監督は今まで一緒に戦ってきたメンバーでいくんじゃないかなと。
吉田 今までのように、巨人の選手が多く選ばれることがあると、ペナントレースで阪神が有利になりますか?
片岡 いや、そうとも限らんのよ。疲労に関しては、早く負ける可能性もあるし、試合に出る選手も限られている。むしろ、約3週間の期間が空く中で、オリンピックに出ていない選手たちの調整のほうが難しいかもしれない。
今年は9回で試合が打ち切りで、五輪での中断期間を考えるとピッチャーもどんどんつぎ込める。だから、余計に分業制になってピッチャー有利というか、野球も変わってくるんちゃうかなと思いますね。
吉田 今年は交流戦があることも、昨年とは違いますね。
片岡 その影響はあると思いますね。昨年の日本シリーズを見てもわかるように、パ・リーグは強いやん。セ・リーグはなかなか交流戦でパ・リーグに勝てない。
吉田 パ・リーグファンの私としては、交流戦でパ・リーグのチームはたくさん勝てますし、「お祭り」みたいなイメージがあります(笑)。選手からするとどうなんでしょうか。
片岡 セ・リーグの選手は、札幌とか福岡とか、普段のリーグ戦では行けないところがあるやん。試合はまた別にして、年に1回だからうれしいんよ(笑)。リーグ順位にも大きく関わってくる。今は隔年でホームとビジターで3連戦を戦う形になっているけど、かつてホーム・アンド・ビジターで各2試合の時がありましたよね。あの時は「連敗」したまま次のカードになってしまうのがすごく怖かった。"流れ"があるから。
吉田 リーグ戦の順位が、交流戦で大きく変わることもあり得そうですね。
片岡 ありますね。交流戦で10連敗するようなチームが毎年出てくるわけだから。2年ぶりの交流戦は、大型連敗して借金を積み上げることだけは避けないといけないね。
(後編:片岡篤史の左バッター診断>>)
【プロフィール】
◆片岡篤史(かたおか・あつし)
1969年6月27日、京都府生まれ。PL学園時代に甲子園春夏連覇を達成。同志社大学を経て、1991年のドラフトで日本ハムから2位指名を受け入団し、主力野手として活躍。2001年オフにFAで阪神に移籍し、2003年にはリーグ優勝に貢献した。引退後は阪神の一軍ヘッドコーチや打撃コーチを務め、現在は解説者や、自身のYouTubeチャンネル「片岡篤史チャンネル」など多方面で活躍中。
◆吉田恵美(よしだ・めぐみ)
1998年12月10日生まれ。2017年のミス東京薬科大学グランプリ。メットライフドームでビールの売り子として働いていたこともあり、西武ファンに。『non-no』(集英社)の専属読者モデルとしてで活動するほか、ボイスメディアVoicy『スポニチニュース』月曜の公式パーソナリティーなど活躍の場を広げる。2021年1月26日から、「片岡篤史チャンネル」のアシスタントを務めている。