「PACER TRACK CLUB」が運営するランイベントが10日に開催 市民ランナーの「もっと速く走りたい」に本気で応える。新しい形のランニングイベントが熱気を帯びている。 10日、午前9時30分。東京・足立区の舎人公園陸上競技場に集まっ…

「PACER TRACK CLUB」が運営するランイベントが10日に開催

 市民ランナーの「もっと速く走りたい」に本気で応える。新しい形のランニングイベントが熱気を帯びている。

 10日、午前9時30分。東京・足立区の舎人公園陸上競技場に集まったのは小学生から中年世代の男女およそ100人。ランニング愛好家ばかりだ。ランニングイベントといえば、心地よいペースで、なごやかに走りを満喫するという趣旨のものがあるが、ここはひと味違う。

 運営するのは都内を中心に活動するランニングクラブ「PACER TRACK CLUB」。各大会のペースメーカーや「NIKE」のランニングイベントでのペーサーを務める。このイベントでも参加者の先頭を走り、正確なラップで風を切ることが最大の特徴だ。

 ランニングアドバイザーの真鍋未央さんを講師に迎えたこの日のメインは1000メートル×8~10本のインターバル走。Sグループ(1000メートル3分30秒)~Eグループ(同5分30秒)まで異なるペースの9つの組が用意され、ランナーは希望するグループに参加。ペーサーに付いて集団走を行う。

 およそ1時間かける1万メートルの道のりは基本的に無言。響くのはトラックを蹴る小気味いい足音と、ペーサーが鼓舞する掛け声のみ。参加者は1000メートルごとのインターバルを挟みながら走る。ペースはそれぞれ違えど、追い込み方はアスリートのトレーニングさながらだ。

 中盤以降は各グループ、苦しい表情になりながらも、正確にラップを刻むペーサーのアシストを受け、各組が完走した。走り終えた後は充実の表情。グループ内の交流も生まれ、集団走ならではの魅力が表れていた。

 参加者を引っ張った「PACER TRACK CLUB」では代々木公園、皇居周辺などで上級者向け~初心者向けまで、月1回程度のランニングイベントを実施。インスタグラムで定期的に情報を発信し、毎回100~200人規模のランナーが集まり、人気を集めている。

 ゼネラルマネージャーを務める遠藤信康さんは「集団走だと心理的に楽になり、速く走れます。一人では自分でタイムを取るので脳を使って余計に体力も使います。目の前のことに集中できることのメリットが大きく、毎回多くの方に参加していただいています」と説明した。

 また「私たちは市民ランナーが走力を上げ、大会やマラソンを楽しむサポートをしています。スタッフ自身も日々練習を積んで自己ベスト更新を目指し、完璧に安全にサポートできるように心がけ、このイベントで自己ベストを伸ばしたという声をよくもらいます」とも語った。

協賛「日本トリム」から「スポーツと水」の知識もレクチャー

 この日は運営に協力したアテネ五輪1600メートルリレー4位の伊藤友広さんと、多くのトップアスリートの走りの動作改善を手掛けるプロスプリントコーチの秋本真吾さんもイベントを見守ったが、その活気に驚いていた。

 秋本さんは「一般の方もこれだけ熱をもって走ることに意識を向けているのは僕自身も気づきになった。コミュニティ化して、みんなと一緒に走ることで頑張れることがブームになってきていると感じる」と話した。

 イベントでは、今回協賛している整水器の国内トップシェア「日本トリム」の担当者から、水ひとつでもパフォーマンスに影響が出るという「スポーツと水」にまつわる知識のレクチャーも受け、同社の電解水素水の提供も受けた。

 伊藤さんは元トップ選手の立場として「走りの限らず、運動において水分補給は障害予防のためにもパフォーマンスのためにも大事。水にも機能、種類があるという知識を深めるきっかけになれば」と語った。

 さらに「パフォーマンスを上げたいとなると、ウェア、シューズなど競技に直結するところを考えがち。ただ、パフォーマンスは運動と休養と栄養の3つの要素からなる。こうした知識を得ることで、いろんな角度からものを見ていく意識も高まる」と意義を感じた。

 体を動かすだけではなく、学びを得ることもできたひととき。

 遠藤さんは「仕事などでは自分の力だけではどうしようもないこともありますが、マラソンは自分の決めたタイムに自分の努力次第で近づいていく。大人になっても目指せる目標があることはとても大切なこと」と走ることの魅力を説いた。

 5月23日にはランニングコーチの森川千明さんを講師に迎え、同じく舎人公園陸上競技でイベントを開催予定。ランニングブームの高まりとともに「もっと速く」の需要に応える試みは、さらに熱は高まりそうだ。(THE ANSWER編集部)