歴代の日本人サッカー選手で、各ポジションなどでナンバーワンと言える選手は誰か。同じトップレベルを経験した目線で、元選手に…

歴代の日本人サッカー選手で、各ポジションなどでナンバーワンと言える選手は誰か。同じトップレベルを経験した目線で、元選手に語ってもらう企画だ。今回はサイドバックのポジションのランキング。2000年代を中心にガンバ大阪や日本代表で活躍された加地亮さんに、ランキングを決めてもらった。

3位 内田篤人(元鹿島アントラーズ、シャルケほか)

 ウッチーは外せませんね。鹿島アントラーズで、高卒1年目で先発に抜擢されて出てきた時は、ちょっと衝撃でした。オーバーラップするタイミングの良さ、加速するスピードを目の当たりにして「お、新しい時代のサイドバックが来たな」と思いました。守備よりも、攻撃で相手をねじ伏せるイメージですね。

 僕もそうでしたかが、従来のサイドバックだとオーバーラップで思いっきりあがっていって、クロスならクロス、シュートならシュート。そういう感じでプレーがはっきりしているものでした。

 でもウッチーの場合は、何をしてくるのかわからないんです。クロスにしても、ファーサイドに柔らかいボールを入れてきたり、相手DFとGKの間に鋭いボールを入れてきたり。そうかと思ったら、切り返して左足でシュートを打ってきたりもしました。ペナルティーエリアに入ってきても、状況を見てプレーを選択できる余裕がありました。サイドバックらしからぬ発想力、創造性は、ほかの選手にはないものを持っていましたね。

 それからウッチーは、女性人気もありましたね。人気も実力も日本トップクラスで、プレースタイルも含めて、日本の新しいサイドバック像をつくってくれたと思います。

2位 長友佑都(マルセイユ)

 もう鉄板の、日本を代表するサイドバックだと思います。誰が見てもわかる身体的な強さと、1対1の圧倒的な強さがあって、攻撃でも良いクロスをあげますよね。攻守の安定感、レベルの高さから2位に選びました。

 セリエAのインテルで長くプレーをして、ワールドカップでも活躍しましたけど、海外のトップ選手と対峙しても止められるディフェンス力は、やはり日本のサイドバックのなかではトップクラスだと思います。日本代表では相手に強力なアタッカーがいても、彼に任せておけば大丈夫だろうという安心感がありました。

 FC東京でやっていた頃と比べると、アップダウンの数は減ったと思います。オーバーラップして、確実に仕事ができるタイミングでしかあがらなくなった。それは逆に、自分の裏のスペースを自分でしっかりと埋められるタイミングを見ているんです。

 誰かにカバーに入ってもらうのではなく、自分で穴をつくらないような動き方になった。それは守備のしっかりしたセリエAでの経験でしょう。オーバーラップした穴を突かれるのを嫌がられるんでしょうね。

 イタリアだけではなく、トルコやフランスと、いろんな国でプレーした経験から、サイドバックとしてより洗練された選手になったと思います。


新旧の日本代表を担った、名サイドバックたちが揃った

 photo by AFLO

1位 駒野友一(FC今治)

 サイドバックでこれだけチャンスメークできて、得点も取れる選手は、なかなかいないと思います。クロスはスペシャリストで精度が抜群だし、しかも左右どちらの足でも遜色なく蹴ることができる。ミスが少ないし、アップダウンも繰り返せて守備も粘り強い。トータルに見てとにかく完成度の高いサイドバックでした。

 とくに評価したいのは、アシストをはじめとした攻撃面ですね。ほかにも攻撃に秀でたサイドバックはたくさんいますが、駒ちゃんが歴代で貢献度がいちばん高いと思います。

 日本代表では、南アフリカW杯でPKを外したのは覚えています(笑)。それは冗談として、ドイツW杯の時に直前に僕がケガをして、初戦のオーストラリア戦に駒ちゃんが出場したんですよね。その時に彼のプレーを見て、一つひとつの精度の高さを感じました。

 性格はすごく温厚で、メンタル面の落ち着きがプレーにも表われていますよね。僕もあんな安定感のあるプレーがしたいなと、同じ右サイドながらいつも思っていました。監督なら誰でも使いたくなると思う、というところで1位に選びました。

番外編 田渕龍二(コンサドーレ札幌ほか)

 JFL時代からコンサドーレ札幌で活躍されたサイドバックなんですが、この人は本当に粘っこい。マンツーマンの鬼ですね。この人が対面にいた時は本当に嫌でした。

 うまさというより、とにかくマークの執念がすごい。どこまでもついてくるし、90分間つづけてくるんですよ。僕もうまさはなかったので、対戦する時はふたりでとにかく泥臭く走り合いでした。

 僕が大分トリニータにいた頃、J2は同じチームと4回対戦したので、4回目にはもう「今日もよろしくお願いします」と挨拶していました(笑)。札幌とやる時はいつも「今日もタフな走り合いになるな」とちょっと気が重かったのを覚えています。今でも覚えているくらい、強烈に思い出として残っているのが田渕さんとの対戦でしたね。

加地 亮
かじ・あきら/1980年1月13日生まれ。兵庫県出身。滝川第二高校からセレッソ大阪に入団。その後、大分トリニータ、FC東京、ガンバ大阪でプレー。運動量豊富な攻撃的右サイドバックとして大活躍し、数々のタイトル獲得に貢献した。1999年ナイジェリアワールドユース準優勝メンバー。日本代表では国際Aマッチ64試合出場2ゴール。04年アジアカップ優勝。06年ドイツW杯に出場した。14年からはアメリカのチーバスUSA、15年からファジアーノ岡山でプレーし、17年に引退。現在は解説者として活躍中。