ヘアスタイルも少し変わった渡邊。明るい表情でメディアに対応していた(写真をクリックするとインタビュー映像が見られます) …

ヘアスタイルも少し変わった渡邊。明るい表情でメディアに対応していた(写真をクリックするとインタビュー映像が見られます)
日本時間4月9日(アメリカ時間8日)にフロリダ州タンパで行われたトロント・ラプターズ対シカゴ・ブルズの一戦で、渡邊雄太が攻守両面で存在感を示す活躍を見せた。渡邊は16分54秒プレーし、3月11日の対アトランタ・ホークス戦以来10試合ぶり(出場しなかった試合を含めると15試合ぶり)となる3Pショット成功を含め、フィールドゴール3本すべてを成功させて7得点を記録したほか、2リバウンド、1アシスト、1スティールと攻守両面で価値ある貢献をもたらした。
カイル・ラウリー、フレッド・ヴァンヴリートに加えこの日はディアンドレ・ベンブリーも欠場したラプターズは、登録プレーヤーが8人だけ。その一人として効率的な仕事をできたことには大きな意義があるだろう。
しかもその活躍はオフェンス面だけではなかった。ニック・ナースHCはこの試合で、渡邊に相手の得点源であるザック・ラビーンとボックスワンでマンアップする役割を担わせたが、渡邊は期待に応えてその時間帯には厳しくプレッシャーをかけてラビーンを苦しめていた。試合後の会見ではナースHCにアメリカの記者からその点についての質問が飛び、ナースHCは「ユウタにとってはやりがいのある仕事ですよ。コートの端から端までぴったりくっついて追いかけ回すように伝えましたが、素晴らしい仕事ぶりでしたね(That’s a great assignment for him. We told him to go off nose to nose, 94 feet. And Yuta does that assignment really really well.)」と答えていた。
待望の3Pショット成功を含めオフェンス面で成長の兆しを感じさせた上に、普段通りのディフェンス面での充実した仕事ぶりも伴っていたこの日の渡邊のプレーぶりは、コーチ陣にもチームメイトにもアピールしたに違いない。
試合後の会見にはナースHCに続いて38得点に19リバウンド(うち9本がオフェンスリバウンド)と大いに奮闘したクリス・ブーシェイが、そして最後には渡邊も姿を見せた。そこで直接得渡邊に、昨今の活躍につながったであろう背景について、方向性の異なる質問を3つさせてもらった。以下がそのやりとりだ。
――NBAとGリーグの行き来をしていた頃は、NBAに対してどこか構えてしまうところがあると言っていましたが、今シーズンはそういったことはなくなりましたか?
いい意味で慣れも出てきているので、変に緊張することもないです。前の2シーズンは基本的にずっとGリーグにいて、コールアップされてもあまり機会ももらえず、もらえたときは本当に人数が少なくてチームとしては僕を出さなければいけないみたいな状況が多かったので、正直気持ち的に難しい部分がありました。ありがたいことに今シーズンはずっとNBAにいさせてもらっているので、去年感じていた変なプレッシャーのようなものはなくなってきていますね
――フレッド・ヴァンヴリートとディアンドレ・ベンブリーは大学時代に対戦したことがありました。ヴァンヴリートはハワイで痛い目を見せた相手だったと思いますが、そういったことが何か助けにはなっていますか?
チームメイトはみんないいやつばっかりで、みんなと仲良くさせてもらっています。ベンブリーとは大学時代にかなり対戦しているので、そういう話もよくします。特にA10(アトランティック10)カンファレンスの、僕が2年生のときにブルックリンで行われた試合(A10トーナメント準々決勝)で、僕たちが前半20点くらい勝っていたのに最後に逆転されて、僕たちはNCAAトーナメント行きを逃して彼らはそのまま優勝して(NCAAトーナメントに)行った話とか。フレッドとは一回だけハワイでの話をしたんですけど、ジョージ・ワシントン大に負けたことは覚えていましたが、さすがに僕がそこにいたっていうのは覚えていなかったですね。
――オフェンス面では、ファン心理としてはまだかまだかといった感覚で見ていた人も多かったと思います。コーチ陣からはどんなアドバイスをもらっていましたか?
やっぱりリング周りのフィニッシュ力が僕にはまだついていないので、そこの部分は重点的に練習していました。メンバーがそろっていたときは、やっぱり出ても短い時間で交代というような状態だったので、僕の意識としてはまずやっぱりディフェンスで僕がやらなければいけないことをやって、チームに貢献できればと思っていました。
ただ、それだけで生き残っていくのは難しいですし、それは僕が一番わかっているのでリム周りのフィニッシュ力をつけて…。3Pは、タッチ自体は悪くないと思っていて確率は上がってくると思うので、あまり心配はしていないです。もう少し積極的になっていくところはなければいけないなと思っています。
最初の2つのやり取りから、渡邊がラプターズではすでにNBAでの居場所を確立できていることがうかがえる。そのような環境が、渡邊にプレーに集中することを可能にしているのではないだろうか。
最後のやり取りはかねてからナースHCも会見で話してくれていたことだ。この日の試合で渡邊は、ボールを持ってラウリ・マルカネンと左コーナーでマッチアップし、バックビハインド・ドリブルをうまく使ったクロスオーバーでベースライン際を抜いてレイアップを成功させていたが、こうしたプレーは目前の状況を打開して得点してくる能力がついてきている証しだろう。コーチ陣との間で課題を共有し、改善に努めていることが実ってきているのだ。
なお、この日の試合はブルズが122-113で勝利した。これにより、イースタンカンファレンス10位のブルズ(22勝28敗)と11位のラプターズ(20勝32敗)に順位の変動はないが、両者のゲーム差が3に広がり、プレーオフ進出を争うプレーイン・トーナメント(カンファレンスの10位までが出場できる)への出場権争いで、ブルズが一歩前進した形になっている。
☆次ページ: ニック・ナースHCの試合前会見
【関連記事】 渡邊雄太(ラプターズ)の直近3試合オフェンス評
【関連記事】 渡邊雄太とディアンドレ・ベンブリー、ラプターズで育まれる友情
ニック・ナースHCインタビュー - 渡邊雄太の3Pシューティングについて
(日本時間4月9日、ラプターズ対ブルズ戦試合前会見より)

この日の試合前会見でナースHCは渡邊のシューティングについて楽観的な見通しを語っていた(写真をクリックするとインタビュー動画を見られます)
――渡邊の3Pショット動作に修正が必要な点があるかについて
いえ、まったくありません。問題は別で、シューティング動作は良いと思います。現代はさまざまなデータ解析や追跡が練習においても活用される時代ですから、毎試合毎試合で、もしも外したらその原因を調べ、右に外したか、左に外したか、長すぎたか短すぎたか、軌道に問題があったかなどを分析しようと試みます。もしもそれで何らかの傾向が見つかれば、練習でそれに立ち返ってその部分に重点を置いて取り組むのです。
でも彼の場合はそういったことよりももっと普通のことだと思います。誰しも練習の方がずっとよく入るものですよね。同じ位置から、トントントンと同じリズムで繰り返し打ちますし。実戦では一本一本が違ってきますし、速い展開の中でディフェンダーも高いレベルで追いかけてきますから。それに慣れなければいけません。いわゆる経験というもので、その状況で狙える自信が必要なだけで、繰り返しになりますが私は彼がショットを狙うことにグリーンライトを出しています。
打ち続けてほしいですね。ちょっと苦労しているのはわかっていますがぜひそうしてほしいです。ボールが廻ってきて自分がオープンだったら打っていいのだという自信を得てほしいのです。オフェンスのリズムはそうしたところから生まれるものです。私は大丈夫だと思っています。シーズンの終盤にかけて入り始めるでしょう。なぜなら、元の質問の答えに戻って彼のショットの動作は非常に良いものだからです。しかも取り組む姿勢も非常によく、毎日練習していますから。
No, not really. I think that’s part of the thing. He does have good mechanics. You know we obviously in this day and age you get all these things, that chart and track all the shots even in practice, right? We try to do some analysis after each game of…, you know, if you missed, why you missed or was it right or was it left or was it long or was it short, was it the arc…, whatever there is things you’re studying. And if there is a trend you see in games you try to go back to the stuff and emphasize that on the practice floor.
But it’s just more of I think this is like a general thing. Guys obviously shoot a lot better in practice, right? You’re shooting one after another from the same spot, rhythm, rhythm, rhythm. Well in the game it’s a one shot from that spot. Speed of the game is fast. The defenders. The level of contest…, all those things. That’s just…, you just gotta get used to that. That’s like what experience is. You just got to be able to be confident enough and I again…, I’m green-lighting him.
I really want him to keep taking them. I know he’s struggled a little bit. But I really want him to keep taking them. I want him to get confident that those are the shots when they’re swung around to him when he’s open, he’s gotta…, every time he’s gotta…. That’s kind of the rhythm of how the offense works. And I’m confident here in this last portion of the season, he’s going to start making some of them because again, going back to the original part of your question his mechanics are very good. And his work ethic is very good, too. He works at it every day, too.
――インサイドに攻め込むようにといったアドバイスをしていたかどうか
一般論として、彼には一直線にゴールに向かってドライブしてほしいと思っています。ボールを受け取ったらディフェンダーを抜き去ってゴールのすぐそばまでいってほしいですね。誰かが対応してくるか、2人に囲まれるようならパスを考えますが、有利な状況なら決めてきてほしいです。1対1になったらまず得点をねらわなければ。それがゴールのそばならこのリーグでは決めてこられなければいけません。
この点でも私は彼が良くなってきているとみています。そういった状況が(試合中に)増えていますから。良い判断ができるようになってきていて、決めきることもできるようになってきました。これも先日お話ししましたが、彼は2つ前の試合でアンドワンの機会を2度見逃されていました。映像を見てジャッジミスだと確認しましたよ。アンドワンの機会を2度、相手のファウルを見逃されたことで失い得点できませんでしたが、いずれにせよ、彼はよくなってきています。
プレーする機会も、特に短期的には増えるでしょう。欠場者が多く、試合は多いですからね。何しろこれからの6-7日間ほどで5試合だったと思います。出場時間が増えると思いますから、またよくなっているところを見せてもらえるに違いありませんよ。
So, normally we’re wanting him on those direct line drives you know he catches it and he blow by his defender. Yeah, we’re going to the..., right in front of the rim. And somebody steps up or two guys come in to help them, then you’ve done your job then you gotta kick it out. But if you’ve got a…, you know an advantage, you take it. If you’ve got a one-on-one, you should…, you know you try to score that. In this league, you need to be able to score kind of one-on-one at the rim.
And you know I’m seeing improvement there from him, too. I think he’s getting in there more often. I think he‘s making better decisions and getting a couple finishes there. Again, like I said two games ago he got two and-ones called off. They were…, they were both wrong calls after watching the tape. You should have had two and-ones when he got fouled and they didn’t give him the bucket but anyway… he’s good.
He’s gonna certainly get his opportunity here especially in the short term. We got a lot of guys out, a lot of games. You know I think we’ve got five games coming up here about six days or seven days, whatever it is. So he’s gonna get some minutes and it’ll be good to see him improve.
【関連記事】 渡邊雄太(ラプターズ)、ウィザーズ戦でラッセル・ウエストブルックを苦しめる
【関連記事】 ゲイリー・トレントJr(ラプターズ)、渡邊雄太との距離を一歩縮める - 名前の呼び方は「ユウタ」と確認
取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)