今やJリーグトップクラスの選手として、毎試合のプレーぶりが注目されている、川崎フロンターレの三笘薫。あのするする抜けるド…
今やJリーグトップクラスの選手として、毎試合のプレーぶりが注目されている、川崎フロンターレの三笘薫。あのするする抜けるドリブルは、なぜ成功しているのか。かつての名アタッカー、名ドリブラーだった解説者の水沼貴史氏に、三笘のプレーを分析してもらった。
さらにそうした得意の形を確実に持っていながら、アドリブも利くから手がつけられません。
今季リーグ戦2試合目のセレッソ大阪戦で、三笘がエラシコ(アウトサイド→インサイドの連続タッチ)で相手を抜き、ゴールを決めるシーンがありました。こういう技をやる時は「さあ、これから抜いていきますよ」という雰囲気が出てしまいがちなんですが、この時の三笘は、相手の動きを見ながらものすごくナチュラルにアウトサイドでかわし、インサイドで相手の前に入った。しかもボールを動かす幅が広く、速かった。
サッカーはやはり想定していないシチュエーションのほうが間違いなく多いですから、そのなかでどれだけ臨機応変にアイデアを出していけるかが優れたプレーヤーの条件ですし、サッカーの面白さだと思います。
確かなロジックがありつつ、アドリブも自然と出せる。こうしたスタイルは、見た目の派手さはないけど、ネイマール(ブラジル/パリ・サンジェルマン)のようですね。
今後、間違いなく海外でプレーする選手だと思いますが、最初は日本人DFとは違う体のサイズや足の出方の違いに苦労するでしょう。そこに対して三笘がどうアジャストしていくのか、その過程には興味があります。アフリカ系のサイドバックが多いフランスのリーグ・アンなどでプレーしたら、面白いだろうと個人的には思います。
川崎はJリーグのなかでは群を抜いてうまいチームで、三笘にはいい形でボールが回ってくることが多いですよね。今後そうではないチームに行って周りの環境が変われば、チームのなかでの彼の立ち位置も間違いなく変わります。
ドリブルもできて、パスもできるとなれば、ボールを預けられることが多くなるかもしれない。逆に相手に消されて、パスが回って来ないシーンが多くなるかもしれない。そうなれば、オフ・ザ・ボールのところで何ができるかなど、成長していく必要がある。
いろんな人からの話で、彼については、メンタルはそれほど強いほうではないし、新しい環境に強いタイプでもないとも聞いています。ただ、プレー面では問題なく順応できる力はあると思うので、うまくいかなくなった時にメンタル面が崩れずに解決していけるかが重要になるでしょう。
久しぶりに、見ていてワクワクする選手なので、今後どんな成長をしてくれるか楽しみにしています。