いよいよクラシックシーズンが到来。その皮切りとなるGI桜花賞(阪神・芝1600m)が4月11日に行なわれる。チューリッ…
いよいよクラシックシーズンが到来。その皮切りとなるGI桜花賞(阪神・芝1600m)が4月11日に行なわれる。

チューリップ賞はメイケイエールとエリザベスタワーの1着同着という結果だった
3月には4つの前哨戦が行なわれ、GIIチューリップ賞(3月6日/阪神・芝1600m)は、メイケイエール(牝3歳/父ミッキーアイル)とエリザベスタワー(牝3歳/父キングマン)が1着同着。GIIフィリーズレビュー(3月14日/阪神・芝1400m)は、シゲルピンクルビー(牝3歳/父モーリス)が鋭い決め手を繰り出して桜花賞切符を手にした。
一方、関東で行なわれたリステッド競走のアネモネS(3月14日/中山・芝1600m)は、アナザーリリック(牝3歳/父リオンディーズ)が大外から豪快に突き抜けて快勝。その翌週に行なわれたGIIIフラワーC(3月20日/中山・芝1800m)は、ホウオウイクセル(牝3歳/父ルーラーシップ)が巧みな競馬を見せて鮮やかな勝利を飾った。
こうして桜花賞へ向かう有力どころは出そろったが、昨年末のGI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月13日/阪神・芝1600m)で勝ち負けを演じた1着ソダシ(牝3歳/父クロフネ)、2着サトノレイナス(牝3歳/父ディープインパクト)はぶっつけで桜花賞へ。さらに1月以降のステップレースを制した面々も、そのほとんどが桜花賞へ直行する。
つまり今年は、既成勢力の実績馬と新興勢力の多くが未対戦のまま本番を迎えることとなる。どんな決着になるのか、予想が非常に難しい。
ここでは、そんな桜花賞の行方も占う、現時点(3月28日終了時点)での3歳牝馬の『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックを目指す3歳牝馬の、現時点における実力・能力を分析しランク付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

1位は前回に引き続き、ソダシ。阪神JF以降のレースで、同馬を脅かすような存在が出てこなかったこともあって、2歳女王がそのまま高い評価を得た。
木南友輔氏(日刊スポーツ)
「今年に入っての出走はありませんが、阪神JF4着のメイケイエールがチューリップ賞を勝ったことで、評価は据え置きでよさそうです。桜花賞までは、このまま押し切れると見ています。ただ、クロフネ産駒なので、GIオークス(5月23日/東京・芝2400m)はどうか? という懸念はあります」
土屋真光氏(フリーライター)
「ダートでの活躍が多い血統ながら、阪神JFでは世代トップの能力を披露しました。それでも、この馬を超えるような予感を抱かせる馬がその後に出てくるかも......と思っていましたが、GIIIクイーンC(2月13日/東京・芝1600m)や桜花賞トライアルを見る限り、それだけのスケールを感じさせる馬の台頭はありませんでした。
桜花賞までは、この馬とサトノレイナスの牙城は崩れないのではないでしょうか。オークスにおいても、血統的な不安はあるものの、桜花賞のレースぶり次第では、能力で押し切ってしまう可能性を感じています」
市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「阪神JFの指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)はかなり高く、前回『この調子でいけば、かなり強い世代に育つかもしれない』と評しました。しかし、阪神JFの1、2着馬が桜花賞へ直行。トライアル戦も軒並みパッとせず、昨年のエルフィンS(デアリングタクトが圧勝)のように『これはひょっとすると、ものすごい馬が現れたかも⁉』といったレースは皆無でした。
こうなると、桜花賞では阪神JFの再現もありそう。阪神JF3着のユーバーレーベンが回避してしまったので、個人ランキングでともに1位としたソダシとサトノレイナスの一騎打ち、というのが最も現実味があります。人気は白毛のソダシでも、サトノレイナスには大物感が漂っており、逆転があっても何ら不思議はありません」

2位も前回と同じく、サトノレイナスがキープ。ソダシとの差はなく、桜花賞では
「2強」を形成することになりそうだ。
吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「阪神JFではソダシをわずかに捕らえきれませんでしたが、スタート力によるポジショニングの差が大きかったように思います。直線でも、ベストの進路を探しながら追い出して、結果的には凸凹の激しい内目を選択するしかなかったことが多分に影響しました。また、レースが前後半ともに平均ラップで流れたことも、ソダシのパフォーマンスを高める要因となったのは確かです。
そういう意味では、桜花賞での逆転は十分に見込めます。全兄サトノフラッグ同様、折り合いに不安のないサトノレイナス。桜花賞特有の、緩急がついて上がりが強調される流れになれば、ソダシより分があるのは間違いありません。それと、ある程度時計が出やすい馬場で、冬場と比べて向かい風の強くない舞台設定も、サトノレイナスにはマッチしそうな印象です。
この中間も、同厩舎のアカイトリノムスメ同様、早めにトレセンに戻して至極順調な調整過程を踏んでいます。牝馬三冠馬を2頭も手がけてきた国枝栄厩舎のノウハウは、今年もしっかりと生かされそうです」
3位に入ったのは、三冠牝馬アパパネの子という良血、アカイトリノムスメ(牝3歳/父ディープインパクト)。クイーンCを制して、ついにランクインを果たした。
吉田氏
「好メンバーが集まったクイーンCを制覇。中団で折り合って、勝負どころでは外目に進出して追い出しを我慢し、最後までしっかりした脚勢(あしいろ)を見せました。着差以上に余裕のある勝ちっぷりで、3連勝は本物でしょう。
3連勝はすべて左回りのコースでしたが、走法や気性、手前などからして、阪神の広いコース形態なら右回りでも問題はないでしょう。パドックで落ち着いて歩けていることから、長距離輸送も心配なさそう。個人ランキングも3位にしていますが、阪神JFの1、2着馬を逆転する可能性は、決して低くはありません」
木南氏
「一戦ごとにレースぶりが良化し、クイーンCは完勝でした。初の関西への輸送が大きな課題となりますが、それを克服できれば、好勝負を演じても不思議ではありません」
4位は、前回もともに4位タイだったメイケイエールとアールドヴィーヴル(牝3歳/父キングカメハメハ)の2頭。メイケイエールはチューリップ賞で1着となり、アールドヴィーヴルはクイーンCで2着と好走して、ともに前回よりもポイントを上げた。
土屋氏
「メイケイエールが秘めた能力は、阪神JFの上位2頭にもひけを取りませんが、とにかく問題は名手・武豊騎手ですら手こずる気性。チューリップ賞でもスタート直後から、かかりっぱなしでした。
ところが、完全に終わったと思われた手応えから、ひと踏ん張りどころか、三踏ん張りして1着同着。もしかすると、ペースが速くなりやすい桜花賞のほうが、競馬がしやすいかもしれないので、無視できない存在です」
木南氏
「チューリップ賞もムチャクチャな走りを見せたメイケイエール。それでも、1着(同着)に入線して重賞3勝目を挙げました。桜花賞は思い切って逃げるのか、今度こそ折り合うのか、楽しみです」
吉田氏
「クイーンCはまさかの18kg減で臨んだアールドヴィーヴル。3歳牝馬がこの時期に長距離輸送をする難しさが出た印象を受けましたが、それでいて2着に入って本賞金を加算したことは評価できます。
クビ差しが長く、胴長+脚長で、つなぎも長め。ストライドを稼げる走法で、骨格に似合う上質の筋肉がつけば、相当なレベルアップが見込める逸材です。
クイーンCでは、重賞で好走しているククナより先に追い出しながらも、叩き合いでしっかりとねじ伏せた底力は見事。馬体の立て直しや体質の強化など課題は残るため、低いランキング付けになりましたが、上昇する可能性は秘めています」
この他、アネモネSを勝ったアナザーリリックを市丸氏が、チューリップ賞で1着同着となったエリザベスタワーを土屋氏が高く評価。3位以下は大混戦と言える。桜花賞の結果次第ではガラッと順位が変わりそうだ。
はたして、阪神JF上位の既成勢力がクラシックでも強さを示すのか。それとも、ステップレースを勝ち上がってきた新興勢力がさらなる躍進を果たすのか。牝馬三冠初戦の桜花賞に注目である。