名門・富士通から世界を目指す6選手がオンライン会見 男子走り幅跳びで19年世界選手権8位入賞の橋岡優輝(日大)が、新たな環境で東京五輪を目指す。富士通陸上競技部は31日、4月から新たに加入する6選手のオンライン記者会見を行った。東京五輪への…

名門・富士通から世界を目指す6選手がオンライン会見

 男子走り幅跳びで19年世界選手権8位入賞の橋岡優輝(日大)が、新たな環境で東京五輪を目指す。富士通陸上競技部は31日、4月から新たに加入する6選手のオンライン記者会見を行った。東京五輪への出場と、そこでの飛躍が期待されている橋岡は「明日から社会人になる。より一層、自覚を持ち、社会貢献など様々なことにチャレンジしたい。今シーズンは、屋外の日本記録の更新と、五輪でのメダル獲得が第一目標。チームにバックアップしてもらいながら、世界に羽ばたいていこうと思う」と社会人生活のスタートを切る心境を語った。

 橋岡は、2018年のU20世界選手権、19年のアジア選手権を優勝するなど飛躍。同年の世界選手権で8位入賞を果たし、東京五輪に向けて注目度が高まっている。3月の日本陸上競技選手権大会・室内競技で8メートル19の室内日本記録を樹立し、五輪イヤーも好スタート。社会人としての初戦は、4月29日に広島広域公園で行われる織田幹雄記念国際大会を予定しており「8メートル32の自己記録を超えることを目標にしたい」と意気込みを語った。踏み切り時に地面からの反発を受け切れていないことを課題とし、さらなる成長を期す。

 両親は、ともに元陸上競技選手。父の利行さんは男子棒高跳びで、母の直美さん(旧姓:城島)は三段跳び、100メートルハードルで、元日本記録保持者。陸上界のサラブレッドとして注目される部分もあり「五輪に出場することで、やっと、しっかりと両親を超えて世界のトップに近付くのかなと思ってはいます」と大舞台での自身の実力アピールを誓った。

 橋岡のほかにも、福島正監督が「それぞれが将来性を秘めた選手」と期待を込める選手が新たに加入。男子棒高跳びで19年世界選手権出場の江島雅紀(日大)は「競技力の向上だけでなく、棒高跳びの普及にも取り組みたい。そのためにも五輪や世界選手権に出場し、100メートル走や走り幅跳びのように、身近に感じてもらえるように精進したい」と話し、織田記念から東京五輪参加標準記録5メートル80のクリアを目指す意気込みを示した。

東京パラリンピック出場内定の兎澤朋美らも新たな環境に意欲示す

 1月の箱根駅伝第1区で見せた積極的な走りが記憶に新しい塩澤稀夕(東海大)は「自己管理ができる人間になり、競技、仕事を両立したい。ニューイヤー駅伝で連覇がかかっているチームなので、貢献したい」と話し、再び正月のロードレースで活躍を目指す。

 田中佑美(立命大)は、女子100メートルハードルの学生女王。「今まではレベルの高い大会での入賞を目指していたけど、メダル争いに加われるようになれればと思う」と社会人大会でのトップ争いに意欲。男子競歩の村山祐太郎(順大)も「富士通のウェアを着て競技できることを嬉しく思う。日の丸を背負って活躍できる選手になりたいと思っている」と今後の台頭を誓った。

 パラ陸上女子走り幅跳びのT63クラス(下肢切断)で東京パラリンピックの出場が内定している兎澤朋美(日体大)は「実業団として名のあるチームで、パラの選手として活躍することで、競技の普及にもつなげたい。富士通陸上部として地域とのつながりに取り組むプロジェクトもあるので、積極的に参加したい。これまでパラ競技を知らなかった人に向けても、知ってもらえる機会になると思う」と活躍と競技の普及に意欲を示した。19年のパラ陸上世界選手権では銅メダル。東京では金メダル争いも期待される。

 富士通は、陸上界の名門。男子50キロ競歩の鈴木雄介や、男子20キロ競歩の高橋英輝、男子マラソンの中村匠吾がすでに東京五輪の出場内定者となっている。新たに6人の選手を加え、世界の大舞台での活躍を目指す。(平野 貴也 / Takaya Hirano)