「2017 TOYOTA GAZOO Racing プレスカンファレンス」(2日)では、今季からワークス復帰したWRCに大きなスポットライトが当てられた。来日したヤリ-マティ・ラトバラは、「毎戦しっかり準備をし、自信を深めてラリーに臨みたい…
「2017 TOYOTA GAZOO Racing プレスカンファレンス」(2日)では、今季からワークス復帰したWRCに大きなスポットライトが当てられた。来日したヤリ-マティ・ラトバラは、「毎戦しっかり準備をし、自信を深めてラリーに臨みたい」との抱負を語っている。
サーキットレースに比べて開幕が早いWRC(世界ラリー選手権)は、既に今季開幕戦を終了。伝統のラリー・モンテカルロにて「ヤリスWRC」での初陣を飾ったトヨタは、ラトバラがいきなり2位表彰台獲得という好成績を収めた(僚友ユホ・ハンニネンは16位)。
王者フォルクスワーゲン(VW)の昨季限りでの突然の撤退によって、初年度からラトバラ(前VW)のようなトップ選手を迎え入れることが可能になり、さらには車両規定変更の影響も相まってフィールド全体が混戦化したこと等、背景も追い風になってはいる。だが18年ぶりのワークス参戦、その初戦として考えればマシンも及第点以上の出来と考えていいだろう。
とはいえ、チームを率いるトミ・マキネン代表(現役時に三菱で4年連続王者)、そしてラトバラ(VW等で通算16勝)も、WRCの難しさは熟知している。それだけに、多忙なスケジュールの間を縫って出席した今回のカンファレンスでも、決して派手に風呂敷を広げるような発言はせず、第2戦以降も着実に前へ進んでいくことの重要性を強調した。
トミ・マキネン
「確かにいいスタートを切ることができたが、我々はハードワークを続けていかなければならない。データを取り、ドライバーの意見を聞いて、マシンとチームを強くしていく必要がある。ラリーが終わるたびに自分たちが強くなった、そう思える一年にしたいと考えている」
ヤリ-マティ・ラトバラ
「いいスタートが切れたが、もちろん簡単なことではなかった。そしてこれからも引き続きハードワークを重ねていく。しっかり準備をして、各ラリーに自信を深めた状態で臨めるようにしていきたい。(トヨタ復帰の)1年目は『学びの年』だと考えている。ただ、僕も(トヨタの人たち同様に)負け嫌いなので、どんどん強くなりたいとも思っているよ」
開幕戦モンテカルロは雪がらみの寒冷ターマック(舗装路)が舞台で、2月の第2戦スウェーデンは基本的にスノーラリー。そういった意味では、グラベル(非舗装路)初戦となる3月の第3戦メキシコあたりで現状の勢力図が見えてくることになるだろう。運や展開、あるいはドライバー頼みといた要素の比重が薄まった時に、ヤリスWRCが本当の意味で真価を問われる、そこが次の焦点だ。
2017年のWRCはMスポーツ(フォード)、シトロエン、ヒュンダイ、そしてトヨタによる最前線攻防。全陣営が新規定車投入年ではあるが、完全な“1年生”であるトヨタが列強相手にどう戦っていくかに注目が集まる。
ラトバラは「ヤリスWRC」でデモランを披露。《撮影 遠藤俊幸》
デモランに臨むラトバラ。《写真 TOYOTA》
左からトヨタの嵯峨専務、豊田社長、ラトバラ、マキネン。《写真 TOYOTA》
今季WRC参戦車は「ヤリスWRC」。《撮影 遠藤俊幸》
開幕戦モンテカルロを走る#10 ラトバラ。《写真 TOYOTA》
開幕戦で2位表彰台を獲得したラトバラ(右)と、彼のコ・ドライバーであるM.アンティラ。《写真 TOYOTA》
モンテでは「ファンに近いサービスパーク」を意識して展開したTOYOTA GAZOO Racing。《写真 TOYOTA》