格闘技イベント「RIZIN.27」が21日、日本ガイシホールで行われた。今大会メインイベントとなったのが、現王者の浜崎朱加VS浅倉カンナの女子スーパーアトム級タイトルマッチだ。・今すぐ読みたい→元PRIDEファイター、『ジョシカ…

 格闘技イベント「RIZIN.27」が21日、日本ガイシホールで行われた。

今大会メインイベントとなったのが、現王者の浜崎朱加VS浅倉カンナの女子スーパーアトム級タイトルマッチだ。

・今すぐ読みたい→
元PRIDEファイター、『ジョシカク』不要論を一蹴!浜崎vs浅倉戦で見えた女子格闘技の意地 https://cocokara-next.com/athlete_celeb/shungooyama-rizin27-summary-01/

 

これまで本誌では、度々浅倉に独占インタビューを実施してきた。昨年春に取材した際には「今年の目標はベルト争い」と口にしていたが、新型コロナウイルスの影響もあり、実現は困難な状況に。昨年大晦日の「RIZIN.26」で女子スーパーアトム級タイトルマッチが行われたが、そこに挑んだのは浅倉ではなく浜崎と山本美憂だった。大晦日の対戦カード発表会見時、その会見で初めてタイトルマッチのカードを知ったという浅倉が、会見後に「自分がそこに呼ばれなくて悔しい」と口にしていたのを覚えている。

タイトルマッチは実現しなかったものの、この1年で浅倉は特にフィジカルと打撃を強化。昨年8月の対古瀬美月戦では、その打撃強化の成果が現れ、グラウンドパンチによる1RTKO勝ち。同年大晦日の対あい戦では3Rを戦い判定勝ちをおさめるなど、着実にレベルアップをしてきた。

そしてフィジカル面においても、驚いたことがある。試合2日前、19日に行われたメディアデーの際、撮影場所に現れた浅倉の身体は、大晦日の試合時よりも確実に一回り大きくなっていた。

前回の試合からおよそ3ヶ月の間に、さらに強化をしたのだろう。

戦前のインタビューでも「浜崎さんや(山本)美憂さんに負けてからフィジカルを強化してきました」と語っていた。

そんな中、およそ2年ぶりに手にしたタイトルマッチへの切符。相手は前回のタイトル挑戦時に敗れた浜崎だ。浅倉にとっては、タイトルマッチであると同時にリベンジマッチでもあった。

 

対戦カード発表記者会見の際には浜崎から「大晦日の試合を見る限り、2年前の対戦時と変わっていない。差は縮まっていない」と、『煽られていた』浅倉。自身も会見後にSNSを見たものの、直ぐに見るのをやめ、その後も試合まで見ていないと口にしていたほど、圧倒的に浜崎優勢の声が多く上がっていた。

だが、どんなに周りがそう言おうとも、自分だけは自らの勝利を信じて疑わなかった。それだけ、ベルト奪還に向け強い思いを抱き、計り知れない努力を積み重ねてきた。試合前会見でも「2年経って強くならない人って絶対いない。2年やって伸びない選手は中途半端にやってきた選手。自分はそういう選手ではないので自信を持って戦いたい」と、口にしていた。

 

 

そして迎えた試合当日。会場内を見渡すと、スタンドの一角にあるものが目に飛び込んできた。横断幕だ。左手には浜崎のものが、そしてその隣、右手には浅倉のものが掲げられていた。

実は、この横断幕、浅倉の兄・凱斗さんが中心となり作成したもの。「いつも浜崎さんの横断幕が掲げられているので、今回はカンナのものも作りたい」という思いで、本人には内緒で作成したという。

周りのサポートとファンからの声援、そして自らを信じて浅倉はリングに上がった。

試合は1Rから激しい撃ち合いに。浜崎優勢な状況が続いたが、浅倉はそれを跳ね除け立ち上がった。

続く2R。今度は浅倉のペースに持ち込んだ。浜崎をリング際に押し倒すと、そこからパウンドの連打を浴びせた。

そして迎えた最終ラウンド。両者見合う形が続いた。終盤に浅倉はアームロックを取られそうになるものの凌ぎ切り試合は終了。勝負は判定へと持ち越された。

判定は、1人目が浜崎、続く2人目は浅倉と割れる形に。運命の最終ジャッジを浅倉は目を瞑り信じた。だが、結果3人目は浜崎に。2-1の判定負けを喫した。その瞬間、両膝に手をつき悔しさを噛み締める浅倉の姿がとても印象的だった。

試合後、インタビュールームに現れた浅倉の右目周りは変色し、足も引きずっており、激しい戦いを繰り広げた痕跡が現れていた。

今回の試合を、浅倉は時折涙を拭いながら、こう振り返った。

「(試合後の率直な感想は)今回、本当にベルトを獲れると思ってやってきたので、またベルトが遠くなってしまったなと思ったんですが、ここまで練習を追い込めたのも浜崎さんが相手だったからだと思うので、そこは本当に感謝したいです。2年ちょっと経ってもまだ追い越せていなかったので、もっと追い越してさらに強くならなきゃなって思いでまた頑張ります。」

そして、自身がこの1年強化してきた打撃については

「今回は(手応えを)あまり感じなかったですね。練習では打撃が上手くできていて、自信持って戦おうと思っていたんですが、やっぱり浜崎さんの方が一歩上だったなと思うので、全然満足は出来ていないですね。」

と、まだまだ強化が必要だと口にした。

この直前には一足先に浜崎が会見。そこで浜崎は「カンナ選手が強くなっていて嬉しい」と口にしていた。この言葉を浅倉はどのように受け止めたのだろうか?

「なんだろう・・・自分を奮い立たせるために煽ってくれているのかなと思っていて、試合が終わって1番に『煽ってごめんね』と言われたので、強い人ってそうなんだなと思いましたね。」

今大会はRIZIN史上初の女子によるメインカードとなったが、まさにメインに相応しい試合となったのは間違いないだろう。

試合後、SNS上では「浅倉カンナが想像を超える強さで驚いた」「メインカードに相応しい試合だった」「心の底から感動した」「今回のMVPは浅倉カンナ」「浜崎を超えられる存在はカンナしかいない」と、浅倉への称賛と今後への期待の声が溢れていた。

今回、惜しくもベルトを逃したものの、王者への可能性を感じさせたまま「浅倉カンナ物語第1章」は幕を閉じた。浅倉は現在23歳と、この先間違いなくまだまだ成長を続け、強くなっていくだろう。

これから始まる「第2章」は、どんな物語を見せてくれるのか。今後も浅倉が繰り広げていくストーリーを楽しみながら追っていきたい。

 

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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【RIZIN】浅倉カンナが語る自身の在り方、ファンへの想い「強いです、ファンの人がいると」 https://cocokara-next.com/athlete_celeb/kannaasakura-feelings-for-fans/

[文/構成:ココカラネクスト編集部]