試合後のオンライン会見では、代表関連に質問が集中した。日本U-24代表は3月26、29日にアルゼンチンU-24代表と戦…
試合後のオンライン会見では、代表関連に質問が集中した。日本U-24代表は3月26、29日にアルゼンチンU-24代表と戦い、フル代表は3月25日に韓国、30日にモンゴルと対戦する。海外組も含めて、メンバーが発表されたばかりだった。
「国のために頑張ってほしい」「もともとポテンシャルの高い選手」
湘南ベルマーレのU-24代表GK谷晃生に関して、監督や選手たちがコメントしていた。あるいは、試合中にケガをしてベンチに下がったセレッソ大阪の日本代表MF原川力について、いくつかやりとりがあった。その時点ではケガの状態は確定していなかったが、結局、試合後に代表辞退が発表された。
日の丸を背負っての戦いは、ひとつの基軸なのだろう。
しかし、所属クラブでの日々がそこに通じている。現場の選手たちは、強い風雨を受けながら「今」を戦っていた――。

日本代表に招集された坂元達裕(セレッソ大阪)は湘南ベルマーレ戦にフル出場
3月21日、平塚。今シーズンから、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督に代わってレヴィー・クルピ監督が率いるセレッソは、湘南の本拠地に乗り込んでいる。開幕以来、新加入の大久保嘉人が6戦5発と大暴れ。昨シーズンまでの日本人の主力を残しており、今回、フル代表に選ばれた坂元達裕、U-24代表の瀬古歩夢を擁する有力チームのひとつだ。
しかし、主導権を握ったのは、湘南だった。
アンカーに入った三幸秀稔は秀逸のビジョンとスキルを見せた。大げさを承知で言えば、「Jリーグのアンドレア・ピルロ(元イタリア代表でレジスタとして活躍)」だった。ボールが彼を経由すると、プレーの道筋が見えた。単純なパスの出し入れで、受け手は楽に次のプレーに入っていた。前半は風上に立ったこともあって、左右にロングパスを振り分け、変幻自在に味方に"翼を与えていた"。
「三幸は展開力のある選手で。守備は課題でしたが、(今日は)しっかりしたポジショニングでセカンドボールも拾っていましたね。攻撃だけでなく、守備でもバランスを取って良かったと思います」(湘南・浮嶋敏監督)
三幸は代表どころか、J1でのプレー経験も乏しい。
しかしセレッソは、三幸ひとりに翻弄される形となった。戦術的に対応がすべて後手。簡単にラインを突破され、サイドチェンジで前後を突かれ、ゴール前に迫られた。もし湘南に代表級のストライカーがいたら、2、3点は放り込まれていただろう。
「守備陣はしっかりと集中してプレーしていた。ピンチというピンチもそこまで多くなかった。お互い、コミュニケーションもとれていたと思う」(セレッソ・クルピ監督)
しかし、セレッソは後半になってもペースをつかめない。
今や守備の柱となった瀬古も、後半立ち上がりには珍しく自分のポジションに入られてしまい、決定的なシュートを放たれている。局面での高さ、強さは見せたし、激しい雨風でイレギュラーな対応も求められる中、適応力は見せた。しかし、周りと連係した守りが希薄になって迷いがあるのか、危うさがあった。
「昨シーズンまでチームを率いたロティーナ監督のサッカーは守備的で、退屈だった」
そんな声も聞くが、はたして本当だろうか?
ロティーナ・セレッソは、いい守備をいい攻撃に結びつけていた。たとえば、坂元が代表に選ばれるようになった理由は、まさにその戦いのひとつひとつが源泉だった。整然とした守りの陣形を敷き、チャレンジ&カバーを繰り返す。いいポジショニングを体に叩き込むことで、守備面だけでなく攻撃面でも鍛えられたのだ。
湘南戦の坂元は、右サイドで1対1からトリッキーなタッチで抜け出し、ファウルを受けてFKを得る場面もあった。左利きでカットインできるが、縦への突破もできる。アタッカーとしての片鱗を見せた。しかし、攻撃は単発だった。
「個人の判断に任せる」
それがクルピ監督の基本で、ロティーナ時代の規律はゆるやかに消えつつある。守備の決め事がルーズになって、攻撃もオートマチズムが感じられなくなった。その分、個人の自由度が増した。
新加入の大久保はその恩恵を大いに受けている。培ってきた感覚的なプレーで、Jリーグ歴代最多得点のゴール能力の高さを顕示。体力を温存し、攻撃に入った時に思い切り使えるのだ。
「やっていて楽しい!」
大久保はそう言う。それもひとつの真実だろう。
結果はスコアレスドロー。2試合連続の完封で、結果としては悲観すべきではない。セレッソは暫定で4位と好調だ。
「キャンプからここまでトレーニングを重ねてきて、(クルピ)監督が求める攻撃的なサッカーに変わっているところで、今日のような相手に、全体としてどう守るか。(去年まで)やってきたサッカーと今年やっているサッカー、それぞれ状況によって出せるようになったら、と思います」(セレッソ・高木俊幸)
選手個人の判断には、ロティーナ時代が今も透けて見え、監督が代わってもそれはしばらくは残る。そこに新戦力が加わって、一時的にいいブレンドになっているのかもしれない。しかし、前の時代の色は薄れ、新時代の色が強まっていく。その時、クルピ・セレッソの真価が問われる。
セレッソはどんな色に染まるのか。代表戦を挟んで4月2日に3位と好調のサガン鳥栖と対決する。