2年ぶりに全162試合で行なわれるMLBも開幕まであとわずか。オープン戦では各チームとも主力のスタメン出場が増え、開幕…
2年ぶりに全162試合で行なわれるMLBも開幕まであとわずか。オープン戦では各チームとも主力のスタメン出場が増え、開幕ロースターが固まってきた。昨季、シカゴ・カブスでナ・リーグ最多勝に輝いたダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)や、初の開幕投手に内定した前田健太(ミネソタ・ツインズ)が高いパフォーマンスを見せ、完全復活を目指す大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)も投打で好調だ。
一方の野手陣では、秋山翔吾(シンシナティ・レッズ)や筒香嘉智(タンパベイ・レイズ)の動向に注目したい。共にメジャー2年目にして、初めてのフルシーズンを戦う今季は真価が問われることになるだろう。

勝負のメジャー2年目を迎えるレッズの秋山(左)とレイズの筒香(右)
昨季、秋山と筒香は適応に十分な時間が取れないまま、全60試合の短縮シーズンを戦った。秋山は「数字は何も満足できるものはなかった」と語り、筒香は「個人的には課題も見つかりました」と自身のインスタグラムに綴っている。
不完全燃焼で1年目を過ごした2人だが、現地での評価は決して低くない。
秋山が所属するレッズの地元紙『シンシナティ・エンクワイアラー』で番記者を務めるチャーリー・ゴールドスミス記者は、昨季の秋山を「キャンプ中断でメジャーの投手の球をほとんど見られなかったにもかかわらず、9月には調子を上げ、打率.245を残せたことは賞賛に値します」と高評価。筒香も、レイズ専門メディア『DRAY BAY』のアダム・サンフォード記者は「すばらしい選球眼を見せ、打率.197ながらOBP%(出塁率)で.314をマークしたのが印象的でした」と述べた。
もっとも、そんな高評価は昨季の変則的な状況を踏まえた上でのもの。2年目、それもフルシーズンとなると現地の見方は変わる。誰もが成績を上げることを期待しているに違いない。
過去にメジャーでプレーした日本人野手の多くは、2年目で前年を上回る成績を残している。昨季の秋山や筒香と、過去の日本人選手を単純に比較することは難しいが、リードオフマンである秋山はイチロー、パワーヒッターである筒香は松井秀喜と重ねると、4人とも左打者という点でそれぞれのイメージに近いのではないだろうか。
メジャー2年目のイチローは、打率を前年の.350から.321に若干落としている。1年目にして242安打を放って首位打者のタイトルも獲得しているのだから、相手チームから対策されて当然。それでもこの成績を収めたことはすばらしい。
秋山の場合はどうだろう。前出のゴールドスミス記者は「今季はリードオフマンとして120試合、そのうちスタメンで100試合に出場すること。打率は最低でも265は期待したい」と語り、「出場機会を増やすには、簡単な話、より多く出塁できればいいわけです。特に左腕相手の時にですね。それが可能ならば毎試合出場もできるでしょう」と続けた。
あらためてイチローの成績を見ると、1年目は対右投手の打率が.362、対左投手が.318だったのに対し、2年目は同.308、同.356と逆転。その年から5年連続で、対左打者のほうが打率は高かった。秋山の1年目も対右が.254で対左が.190だったが、左腕を攻略できるかどうかが、メジャーで長くリードオフマンを務めるための、ひとつのカギになりそうだ
今季のオープン戦でヒットが出ず、状態を上げていきたかった秋山だったが、3月13日(現地時間:以下同)の試合で左太もも裏を負傷。数週間離脱することが決まり、開幕を故障者リスト入りして迎えることが報じられた。
『MLB.com』が掲載したレッズの開幕ロースター予想では、「外野手はニック・ カステラノス、ニック・センゼル、ジェシー・ウインカー、アリスティデス・アキーノ、スコット・ハイネマンの5人で開幕を迎えるだろう」と書かれている。離脱のため秋山の名前は載っていなかったが、復帰したあとにポジションが確約されているわけではない。2年目は成績を伸ばすだけでなく、激しいポジション争いの中でシーズンを過ごすことになりそうだ。
一方、筒香は三塁、左翼、DHに加え、キャンプから練習を始めている一塁に就くとみられる。『MLB.com』のアダム・ベリー記者は、オープン戦で一塁の守備を難なくこなす筒香に「高い運動能力を感じる」と評価した。また、レイズ地元紙『タンパベイ・タイムズ』のマーク・トプキン記者も「シーズン序盤は多くの出場機会を得るでしょう」と予想する。
ただ、筒香はオープン戦での打撃がいまだに不調だ。昨季8本(チーム内2位タイ)の本塁打を放った筒香だが、トプキン記者は「日本でのキャリアを考えると、彼にはもっと期待していましたが......」と物足りなさを感じたようだ。
メジャーでの日本人パワーヒッターのパイオニアである松井は、1年目を"メジャーに慣れるための年"として成績を残すことよりも経験を優先させた。そして2年目、打率を.298(前年.287)に上げ、本塁打は31本と倍増(前年16)。筒香も松井のように成績が上がるのではないかと、現地のファンは期待している。
オフにスタンスを修正したようだが、「まだ目立った影響が出ていない」と『タンパベイ・タイムズ』のトプキン記者は指摘。また、『MLB.com』のベリー記者は「オープン戦の成績でシーズンを測るのは無意味ではありますが」と前置きした上で、取材当時(3月15日)までの成績に対し「オープン戦の14打席で1安打のみ。四球を選ぶこともできていますが、三振も6回しています。攻撃的な姿勢がないと、DH出場は難しいかもしれません」という。
さらに、『DRAY BAY』のサンフォード記者からは「筒香の役割は未だ宙に浮いています。打てないのであれば、プレー機会も得られず、最悪の場合リリースされる可能性もあります」という厳しい答えが返ってきた。
筒香が所属するレイズは、昨季のア・リーグのチャンピオン。筒香はワールドシリーズで3打席与えられたが無安打に終わっている。連覇を狙うチームは、より打撃での貢献を求めているだろう。各記者の意見をまとめると、今季の筒香に期待される"合格ライン"は100~120試合出場、20本塁打、60~65打点、打率は.240~.250だ。
秋山も筒香も、2年目はチーム内の厳しい競争を勝ち抜かなくてはならない。彼らにとって今季は、キャリアの中でもっとも重要な年になるに違いない。