京本は大淀ボーイズで日本一経験、鷹・今宮に憧れて明豊に進学

 第93回選抜高校野球大会が開幕した。大会3日目(21日)に東播磨(兵庫)と対戦する明豊(大分)にはプロ注目の2投手がいる。表情が巨人・坂本勇人内野手の高校時代を彷彿とさせるエース右腕の京本眞と巨人・太田龍投手を兄に持つ左腕・太田虎次朗。タイプの違う2人は互いに刺激し合いながら甲子園へやってきた。念願だった甲子園のマウンドを踏む京本に思いを聞いた。【市川いずみ】

「甲子園のことばっかり考えていて、早くグラウンド行きたいなあ、野球したいなあって気持ちでいっぱいです!」

 京本の頭の中は甲子園で埋め尽くされている。

 2009年夏、テレビで見ていた明豊-花巻東(岩手)の試合が忘れられなかった。

「今宮(健太・現ソフトバンク)さんと菊池雄星(現マリナーズ)さんが投げていて、かっこいいなって。高校を決めるときに自分の中で一番印象に残っているのが明豊だったので大分に来ました」

 明豊の印象はどんなチームだろうか? 例えば2017年夏の甲子園の戦績を振り返ってみると、2回戦で坂井(福井)に7-6、3回戦で神村学園(鹿児島)に9-8、準々決勝の天理戦(奈良)では9-13といずれも5得点以上。強打の印象が強い。一方で、全ての試合で5失点以上している。

 京本が明豊を選んだのは後者の印象が強かったから。「打撃は強いけど10点くらい取られたりしていました。自分が入って、そこを0点に抑えることができたらチームも日本一になれると思いました」。中学時代、大淀ボーイズ(大阪)でジャイアンツカップを制した。今度は明豊を常勝軍団にしたいという思いで入学した。188センチから投げ下ろす直球は現在、最速143キロを記録する。

背番号11で昨年のセンバツ出場予定も…交流試合は故障でスタンド応援

 本当なら、既に甲子園の土を踏んでいたはずだった。

「コロナで去年の選抜がなくなって、その期間に投げすぎて怪我をしてしまいました」。昨春、出場が決まっていた第92回選抜高校野球大会は新型コロナウイルスの影響で中止となった。京本は背番号「11」を貰っていたが、憧れの舞台での登板は夢のまま終わった。

 その間に肩甲骨周辺を故障。夏になっても万全の状態にまで回復しなかったため、8月に行われた甲子園での交流試合はスタンドで観戦した。目指してきたマウンドには一足早く同級生の太田が立っていた。

「素直にすごいなと思ったんですけど、すごいと思っているだけじゃ勝てない。悔しいという気持ちで太田のピッチングを目に焼き付けて、これからは自分がずっとチームのエースになろうと思いました」

 甲子園で見た同級生の躍動が何よりの原動力となった。黙々と1人で投げ続けた。「負けたくないという気持ちが1番強かったんで、新チームが始まってすぐから自分が1番をつけようとやってきました」。その目標はしっかり達成した。

 7か月前に銀傘の下から眺めていた場所に立つ日がやってくる。選抜出場が決まってから高揚感は日に日に高まっているという。「ほぼ全部が野球の夢で他の夢は見ないです。毎日、選抜のマウンドに立っている夢を見ます」。

 夢の中での投球は完璧だ。「だいたいはノーヒットノーランでしたし、ノーアウト満塁で3者連続三振にとった姿もありました」。明豊のエースとして初めて立つ甲子園のマウンドで、何度も頭で描いた投球を披露する。(市川いずみ / Izumi Ichikawa)

市川いずみ(いちかわ・いずみ) 京都府出身のフリーアナウンサー、関西大学卒。元山口朝日放送アナウンサー時代には高校野球の実況も担当し、最優秀新人賞を受賞。NHKワースポ×MLBの土日キャスター。学生時代はソフトボールで全国大会出場の経歴を持つ。