延長11回の激闘、1回戦からハイレベルな戦い

 第93回選抜高校野球は2日目が終了。第3試合では東海大相模が東海大甲府を延長11回、3-1で下した。選抜では初めての東海大系列高校同士の対戦。勝負のポイントはいくつかあった。東海大相模の先発がエース・石田隼都投手ではなく、右の石川永稀投手だったことも挙げられるが、敗軍の将、東海大甲府・村中秀人監督の挙げたポイントは他にもあった。

 自身9度目の甲子園のタクト。指揮官はこの試合を2-0、エース・若山恵斗投手が完封しているというイメージでいた。実際にそうなる可能性は十分にあった。それほど、引き締まった展開だった。

 先制点がほしい。しかし、思わぬ形でそれを献上してしまった。5回まで1時間もかからない投手戦。両校とも鉄壁の守備だった。そんな中、喉から出るほどほしかった1点は7回に、東海大相模に入った。

 2死二、三塁からのパスボール。東海大甲府のバッテリーミスからだった。「試合の流れというのが、ここ一番で出てしまった。予想していなかったパスボール。あそこに隙があったのかなと思います」と振り返った。それまで再三のピンチを乗り越えてきたバッテリーに出た綻びだった。

 また、1点を追った8回の攻撃についても悔しがった。1死二、三塁から4番・久井の左前適時打で同点に追いつくも、二塁走者は左翼手・門馬の返球でアウトになった。「冷静さを欠いてしまった」と試合前の相手のシートノックで肩の強さや送球はどうなのか――。判断をチーム内でしていれば、防げたものだったのではないかと、今後の課題とした。

 レベルの高い、好ゲームだったからこそ、村中監督の言葉通り「ほんのちょっとした心の隙」が勝敗を分けた。ナインの戦いは素晴らしかった。指揮官も「若山を攻めることはできません。完封ペースでしたし、気持ちと精神力があの素晴らしい制球につながっていました」と褒め称えていた。選手時代も、監督としても、勝利を収めてきた指揮官は「素晴らしい球場。選手たちにこの甲子園で勝たせてあげたかった」と悔しがった。

 その綻びをしっかりと結び直し、チームの絆として、最後の夏にまた戻ってきてほしい。そう思わせるチームが見せてくれた意地のぶつかり合いだった。(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)