日高大空投手、平松諒真捕手のバッテリー、懸命な姿でファン魅了

 第93回選抜高校野球大会は20日、2日目を迎えた。第1試合では宮崎商(宮崎)が52年ぶりの出場で春初勝利を目指したが、最速146キロのプロ注目右腕・天理(奈良)の達孝太投手の前に1-7で敗れた。しかし、日高大空投手、平松諒真捕手のバッテリーに目を奪われたファンも多いはず。1勝は遠かったが、深まった絆がそこにはあった。【市川いずみ】

 甲子園のマウンド上で並ぶ姿はまるで兄弟のようだった。普段から接し、「かわいいなって思います(笑)」。頬を緩めてそう話す日高は平松のことが愛おしくてたまらない。

 宮崎商のエース・日高は身長178センチ。受ける平松は158センチ。クシャっと笑う笑顔はもちろん、捕手としてもハートを奪われている。

「身体は小さいんですけど、どっしり構えてくれるので投げやすいです」。日高からは何度も「信頼」という言葉が出てきた。それはグラウンドを離れても一緒に過ごす時間が多いこと、そして何より平松の努力を間近で見てきたからだ。

「ストップ練習とか毎日ずっと遅くまで練習していて、いつも精一杯自分のできるプレーをしようという気持ちが伝わってくるんで、信頼しています」。

 捕手という立場上、指揮官からの檄が飛ぶことも多いが、平松は屈しない。橋口監督の指摘もすぐに吸収しプレーに活かすことが出来る。最速138キロの日高にとって、最大の武器はコントロール。平松はそれをうまく引き出してくれる。「構えが低いので、コントロール面ですごく投げやすいです。常に低めを意識できます」。身長差20センチの功名である。

 日高自身もコントロールをさらに磨いてきた。教科書はツインズの前田健太のYouTubeだった。「肩甲骨のストレッチと“指力”も大事だと言っていたので、それもやってみました」。ダンベルを指先で掴んでは離すを繰り返し、指の力を鍛えた。前田も動画で指がしっかりひっかかるようになりボールの質が変わったと話していたが、日高もその効果を既に実感していた。

「指の力がついて押し込めるようになりました。ボールも伸びるようになりました」。もちろん変化は平松にも伝わっている。「ボールが来てるっていってくれるようになりましたね」。

2人で初めてとった甲子園のアウトは三振…日高は7回6失点も平松は「ナイスピッチング」

 初陣の相手が天理(奈良)に決まってからは2人で常に天理打線をイメージしてブルペンで過ごした。「注目のバッターで瀬(千皓)君とかがいるので、どうやっておさえようという話を常にしています」。

 青空が迎えてくれた、宮商52年ぶりの選抜の舞台。二人で初めてとった聖地でのアウトは空振り三振だった。

「初回の内山君の打席が理想の抑え方だった」。甲子園で初めて迎える1番打者を追い込んでからの4球目、そう話す平松が出したサインはチェンジアップだった。「配球がよくて自分と合っていた」と日高も小気味よく小さな的を目掛けて投げていく。

 ストレート、スライダー、チェンジアップ、カーブ……。「投げたいボールをわかってくれている」と日高は平松のサインに首を振ることはなく、丁寧に低めを突いていった。

 2回に2連打などで2失点、5回に久々にランナーを背負うと平松がマウンドに駆け寄った。「ここまで来たら思い切ってやろう」。肩を並べて、笑顔で空を見上げた。その打者を投ゴロのダブルプレーに打ち取り、ピンチを凌いだ。

 7回に失策絡みで4点を失い、日高は7回6安打6失点(自責2)でマウンドを降りた。息のぴったりあった117球。9つもの三振を二人で奪った。試合後、日高が「ピンチでもっと粘り強く投げられるように」と課題を口にすると、平松も「ピンチで粘れるように自信をつけて夏に帰ってきたい」と同じ言葉を並べた。宮崎商業の選抜初勝利を挙げることはできなかったが、最後に平松はこう残した「ナイスピッチングでした!」。(市川いずみ / Izumi Ichikawa)

市川いずみ(いちかわ・いずみ) 京都府出身のフリーアナウンサー、関西大学卒。元山口朝日放送アナウンサー時代には高校野球の実況も担当し、最優秀新人賞を受賞。NHKワースポ×MLBの土日キャスター。学生時代はソフトボールで全国大会出場の経歴を持つ。