ロジャー・フェデラー(スイス)は日曜日の夜、疲れきった脚に最後の大きな努力を強いた。全豪オープン(オーストラリア・メルボルン)で獲得した18度目のグランドスラム・タイトルを祝うため、踊りに行ったのだ。  そして太陽が昇ったあと…

 ロジャー・フェデラー(スイス)は日曜日の夜、疲れきった脚に最後の大きな努力を強いた。全豪オープン(オーストラリア・メルボルン)で獲得した18度目のグランドスラム・タイトルを祝うため、踊りに行ったのだ。  そして太陽が昇ったあと、彼は家族で泊まっていたホテルのスイートルームで目を覚ました子供たちと、さらにお祝いをした。

 多くの人々が史上もっとも偉大なテニスプレーヤーと呼ぶこの男は、驚くべきカムバック・タイトルからさらに先を見つめ、今年のウィンブルドンでもうひとつタイトルを加える希望について話した。  35歳のフェデラーは膝の故障により6ヵ月の休養をとったあと今月復帰を果たし、そして第17シードで全豪オープンに臨んで優勝を飾った。自分自身を驚かせたこの結果に、彼は相応しいお祝いをしないではいられなかったのだ。  「日の出までにはホテルに戻ったよ」

 まだ喜びにあふれ、晴れやかな表情のスイスのスターは、ラファエル・ナダル(スペイン)に対する5セットの勝利の翌日にこう言った。

 「メルボルンの日の出を見て、それから部屋に戻っていった。素敵だったよ。長い夜だったけど、すごく楽しかった。皆が上機嫌だった。これは特別な日だった。特別な…数週間であり、それは素晴らしい形で幕を閉じた。バカなことをして、楽しんで、すべてを忘れた。すべてのプレッシャーは消え去り、僕らは皆、ただただ祝っていた。素晴らしかったよ」  フェデラーは体調は大丈夫だと感じたが、恒例となっている優勝者の記念撮影で疲れきったと言う。

 「脚がものすごく痛んでいるし、背中も凝っている。なにせ何も治療を受けず、その上で踊っていたわけだからね」とフェデラー。「まだ気分はハイだ。最終的にどこかでつぶれるとは思うが、それはそれでいいよ」。  自分はいいダンサーというより、“楽しいダンサー”だと告白したフェデラーは、2歳の双子の息子、レオとレナートが父親のグランドスラム大会を初めて経験したことにワクワクしたと言う。また彼は7歳の娘ミラ・ローズとシャーリーン・リバは、彼のトロフィーを見てこの上なく興奮していたとも話した。  「僕が部屋に入っていったとき、子供たちは目を覚ました。だからちょっぴり奇妙な瞬間だったよ」と彼は言った。「でも、それでもやはり、本当に素晴らしかった。僕がトロフィーを手に入っていって、子供たちが目を覚ましたとき、皆とても機嫌がよかったからね」。  2012年ウィンブルドン以来となる、このフェデラーのもっとも予想外のグランドスラム優勝の重要性を感じとったのは子供たちだけではない。

 「人々は僕がふたたびグランドスラムで優勝したということについて、純粋に僕のために喜んでくれているようだった。特に、この優勝について…たぶんケガから復帰したあとにこんな形でカムバックするというのは、おとぎ話みたいなものだからだろう」。

 彼は押し寄せたメディアにこう言った。

 「あらゆるレベルで多くの人々が喜んでくれていると僕は感じたが、そのことは僕自身が幸福だということ以上に重要なことだ」  それから、フェデラーはこう続けた。

 「ビッグマッチだということは自覚していたが、もしかすると僕はこうもビッグな試合だったとは気づいていなかったのかもしれない」  フェデラーは復帰第一戦のグランドスラムで優勝できるなどという考えは、決して抱いていなかったと言った。準々決勝くらいまで勝ち進み、シーズンの残りに向けてポジティブな流れをつくれれば、と思っていたのだと言う。  「僕は今回、第17シードで早いラウンドで強敵と当たるタフなドローになるだろうから、通常よりずっと厳しくなるだろうとわかっていた」とフェデラーは言う。

 「自分がトップ選手にとって危険な存在となることが可能だとは思っていた。もしかしたらひとりくらい倒せるだろうが、でもおそらくそれが限界だろうと想像していた。なぜって体が痛み始め----実際そうだったが----そのせいでレベルが落ちるだろうと思ったから。ところが、体が痛んでもレベルのほうは落ちなかった。僕のレベルが安定していたということ、これは僕自身にとっても大きな驚きだったよ」  フェデラーは2月27日からドバイで始まる大会の前に、よく考え、体をしっかり回復させるための時間をとるという。それから彼はインディアンウェルズ、マイアミに臨み、そのあと欧州でのクレーシーズンに移行するが、細かい日程はまだ完全には決められていない。彼はグラスコート・シーズンとウィンブルドンに移行する前に、全仏でのプレーを意図していると言い、「あそこ(ウィンブルドン)では、よりいいプレーができるとわかっている」と言い添えた。  フェデラーは全米でもいい成績を挙げるチャンスを擁していると感じており、また来年にふたたび全豪のタイトルを加えることができれば、と願っているとも言った。

 「もちろん、来年戻ってこられるよう願っている」とフェデラーは言った。「あと数年はプレーできるよう願っているからこそ、僕は6ヵ月のオフをとったのだからね」。(C)AP