『特集:We Love Baseball 2021』 3月26日、いよいよプロ野球が開幕する。8年ぶりに日本球界復帰を果…

『特集:We Love Baseball 2021』

 3月26日、いよいよプロ野球が開幕する。8年ぶりに日本球界復帰を果たした田中将大を筆頭に、捲土重来を期すベテラン、躍動するルーキーなど、見どころが満載。スポルティーバでは2021年シーズンがより楽しくなる記事を随時配信。野球の面白さをあますところなくお伝えする。

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ウェブCMの

「神スイング」でブレイクした稲村亜美さん

【稲村亜美インタビュー 前編】 

〈今回微力ながらプロ野球を応援したいということでこんな企画を始めます!!! 名付けて、 #グッズ購入でプロ野球開幕祈願 です

グッズ購入→買った本人はプロ野球の開幕がさらに楽しみになる→球団側はグッズが売れて嬉しい→全部がいい方向に進むはず

球場で観戦できる人の数も限られている中でグッズの売れ行きも少なくなっていると耳にしたので、お家でも気分が上がるようにグッズを買ってプロ野球を応援したいと思いました〉(inamura_ami インスタグラムより)

 稲村亜美さんが「#グッズ購入でプロ野球開幕祈願」のハッシュタグをつけ、プロ野球12球団別のグッズに身を包む自撮り画像をアップするようになったのは、2月1日のことだった。

「毎年2月の3分の1くらいは沖縄に行っていたのかな。でも、今年はコロナの影響でキャンプに行く機会がなくなってしまって。2月がヒマでヒマでしょうがなくて、インスタのプロ野球グッズ写真を始めたんです」

 ウェブCMで披露した「神スイング」で脚光を浴びてから6年。プロ野球の始球式に引っ張りだこになり、スポーツ番組への出演も多い。今や稲村さんが野球好きの女性タレントであることは広く周知されている。

 稲村さんは小学校から野球を始め、中学でも男子選手に交じって硬式野球クラブでプレー。始球式ではダイナミックな投球フォームから放たれる、最速103キロの速球でスタンドを沸かせてきた。

 プライベートでも時間を見つけては野球観戦に出かけていた。お気に入りのスポットは、神宮球場の三塁側スタンドだという。

「ブルペン横の席が比較的安く買えるので、よく座ります。ヤクルトの対戦チームのピッチャーがブルペンで準備する姿が見えるのがいいんです。『次はこのピッチャーがいくのかな?』と思ったり、選手間で水を渡すシーンが見られたり。プロってこんなことをするんだなぁと実感できる席だと思います」



「12球団がフラットに好き」とプロ野球愛を語る稲村さん

 そんな稲村さんも、2020年は一度も野球場での観戦ができなかった。各球団が段階的に観客数を増やしていっても、野球場へと足を踏み出せなかった。

「球場では各球団が万全な感染対策をしてくださっていますが、私の場合は仕事柄、何かあってからじゃ遅いので。もし『球場に行っていたのにコロナに感染した』とニュースになってしまったら、私だけの問題ではなく野球界に迷惑がかかってしまう。そうなるのが怖くて、球場に足を運べませんでした」

 野球場ならではの開放的なライブ感を楽しんでいた稲村さんだが、昨年はテレビ観戦しか楽しめなかった。そうした日々が続くなか、ふと我が身を振り返り、こんなことに気づく。

「去年の私は、野球界に全然お金を落とせなかったな」

 野球場に行きたくても行けない。大好きなプロ野球のために自分ができることは何かないのか。自問自答して始めたのが、「#グッズ購入でプロ野球開幕祈願」の投稿だった。

「コロナがどうなるかわからない状況で、まだ球場に行くのが怖いという人もいると思うんです。だからこそ新しい観戦スタイルも必要になってくるので、野球グッズを買って"おうち観戦"でも気分を高められたらいいなと」

 大好きなマスコットキャラクターの関連商品など、グッズは自腹で購入しており、「本当にお金がかかるんですよ!」と稲村さんは笑う。球団によってメイクやヘアースタイルも変え、自分でライトを焚いて撮影する。3月16日現在、ヤクルト、オリックス、広島、日本ハム、DeNA、楽天の6球団分のグッズ写真投稿を終えた。ファンからの反響も上々で、「早くウチの球団グッズも載せてください」といったリクエストも届く。

「SNSで『どの球団のファンですか?』とよく聞かれるんですけど、本当に選べないんです。どの球団にも推しの選手がいたり、マスコットがいたりするので。だからどの球団もフラットに応援しています」

 そして稲村さんは冗談めかして、「すごく都合のいい女だと思われるんでしょうね」と笑った。

 2021年のプロ野球にどんな期待を抱いているのかを聞くと、稲村さんは少し間を置いてからこう答えた。

「例年以上に盛り上がってほしいですね。トリプルスリーとか、令和の三冠王とか、偉大な記録の誕生が見てみたいです。スポーツには人を元気にする力があると思うんです。コロナの影響で『世界はどうなるんだ?』と不安を覚えた人も多かったでしょうけど、スポーツの力で『世界復活!』の上昇気流を作ってほしいです」

 令和の三冠王を達成するとすれば、候補は誰だろうか。柳田悠岐(ソフトバンク)、坂本勇人、岡本和真(巨人)、山田哲人、村上宗隆(ヤクルト)といった有力な候補が挙がる。そんなスター選手に思いを馳せつつ、稲村さんの口から出てきたのは2人の意外な新鋭の名前だった。

「阪神のルーキーの佐藤輝明選手のフルスイングは多くの解説者の方が褒めていますし、早く見てみたいです。あとはロッテの山口航輝選手。ロッテ情報ばかり送ってくる友達が山口選手のティーバッティングの動画を送ってくれたんですけど、あれはエグいですよね(笑)。打球のスピードと角度がすごかったです。今年はそんなニュースターが出てきてほしいですね」

 明るく語る稲村さんだが、前述の通り沖縄取材がキャンセルになったように、仕事面でコロナ禍の影響を大きく受けている。緊急事態宣言が発出された2020年4月は「仕事は週1回あるかないか」という状況だった。

 それでも、稲村さんに絶望感はなかった。

「お仕事の不安はありますけど、仕事がないのはみんな同じだから仕方ないかと切り替えました。むしろ宅トレ(自宅トレーニング)をしたり、好きなアニメや漫画をたくさん読んだり、お母さんと過ごす時間が増えて仲良くなったり、楽しかったですね。私は自粛生活に向いているんだなと思いました」

 あり余る時間を「自分を見直す時間」と有意義なものへと昇華させた。そして、稲村さんは晴れやかな表情で「この自粛期間に人生観が変わりました」と語った。

「今まで私はオフがあったら、分刻みで予定をみっちり詰め込んで計画を立てるタイプでした。でも、今思えば何をそんなに生き急いでいたのかなと思うんです」

 自然体で、好きなものを好きと言う。12球団のグッズを身にまとう稲村さんは、心の底から野球界の復活を願っている。

 稲村さんのSNSをきっかけに、新たに野球に興味を抱く人もいるかもしれない。そんな人に野球の魅力を伝えるとしたら? そう問うと、こう答えた。

「野球はのんびりと見られるスポーツだと思うんです。ボールや人が常に動いているわけではないし、試合時間が決まっているわけでもない。試合の合間に飲食やおしゃべりだって楽しめるし、時間を忘れられる空間だと思います。そんなリラックスタイムを味わってほしいですね」

 誰よりも野球場で至福のリラックスタイムを堪能したい――。そんな本音を胸の内に秘め、稲村亜美さんは今年も野球の魅力を発信し続ける。

(後編:「イップス」の苦悩と再起への思い)