打力アップへ、盛岡大付で副部長を務めた赤堀佳敬氏が2019年にコーチ就任

 第93回選抜高校野球大会が19日に開幕する。2年ぶりに実施される全国舞台に、超強力打線を武器に乗り込むのが昨秋の関東大会王者・健大高崎(群馬)だ。公式戦10試合で計15本塁打。走力を駆使した「機動破壊」をバージョンアップさせた「打撃破壊」で頂点を目指す。

 2002年の創部から健大高崎を率い、全国屈指の強豪に仕立て上げた青柳博文監督には忘れられない試合がある。2017年選抜準々決勝。秀岳館に2-9で完敗した一戦だ。当時、圧倒的な機動力で高校球界に新風を吹き込んでいた同校だが、それだけでは限界があると思い知らされたという。

「完膚なきまでにやられました。5点くらい差をつけられると、打力がなければ跳ねのけるのは厳しい。接戦にならないと機動破壊は無意味なんです」

 攻撃力強化へ、打撃コーチの招聘に乗り出した。目を付けたのは強打の盛岡大付(岩手)で副部長を務めていた赤堀佳敬氏。選手を視察する場などによく居合わせ、その眼力に感服していたという。

 花巻東・大谷翔平(エンゼルス)、大船渡・佐々木朗希(ロッテ)という超高校級右腕を打ち砕いた“モリフメソッド”を吸収した赤堀氏は、2019年に健大高崎のコーチに就任。同じ年に入学した現在の3年生は入学時から薫陶を受けて打撃力を伸ばした。3年生が放った本塁打数は主将・小澤周平内野手(3年)の35本超を筆頭に230本を超える。

フリー打撃では12メートルの距離から投手が全力投球

 打撃練習は壮観だ。4か所つくられた打撃ケージ。約12メートルという近距離から打撃投手は全力投球を試みる。体感速度で150キロに達するボールを打者はガンガン打ち続ける。これに低めの変化球も加える。ストライクからボールになる変化球を見極めることが目的だという。

 基本的にピッチングマシンは使用せず、全員が打撃投手、捕手を持ち回りでこなしてきた。「マシンが相手では打ち返すだけ。やはり投手のモーションに合わせてタイミングを取ることが重要だと思います。打撃投手を務めることでスローイング強化はもちろんのこと、打者としての視点も養える。打者に一番近い位置にいる捕手をやってもらうのもそういう意図があります」と赤堀氏は語る。

 しっかりと自分の形をつくって投球を待つ。これができるようになれば、“打者主導”で投手と勝負できるようになるという。昨秋の関東大会は4試合で8本塁打という長打力で2年連続頂点に立った。「打撃では確実性を高めようとやってきました。選抜では一戦必勝で戦って頂点を目指したい。個人的には60本塁打を超えたいと思いますし」と小澤は力を込める。

 例年の練習は打撃と守備の配分が6:4くらい。しかし今年の3年生世代は「9:1くらいの割合で打撃に比重を置いてきた」(チーム関係者)という。「機動破壊」から「打撃破壊」のチーム、変貌を遂げた健大高崎が聖地でどんな野球を見せるか。初日第3試合で下関国際(山口)と激突する初戦は必見だ。(Full-Count編集部)