ジェシカ・ペグラ(アメリカ)は広く知られた選手ではなかったが、先月の「全…
ジェシカ・ペグラ(アメリカ)は広く知られた選手ではなかったが、先月の「全豪オープン」では第5シードのエリナ・スビトリーナ(ウクライナ)ら有力選手を次々と倒して準々決勝に進出した。ニューヨークのバッファロー出身の彼女は、アメリカ有数の富豪の娘でもある。豪ニュースサイトnine.com.auなどが報じている。【動画】ジェニファー・ブレイディ vs ジェシカ・ペグラ/全豪オープンテニス2021 準々決勝
現在27歳のペグラはもともと才能に恵まれた選手だったが、怪我の影響もあり、今年の「全豪オープン」以前のグランドスラムでの最高成績は3回戦止まりであったように、プロ選手としての活躍は限られていた。
テニス選手としてのサクセスストーリーは始まったばかりだが、成功という言葉は常にペグラの家族と共にあった。富や権力、影響力という言葉と共に。
石油・ガス業界で富を築いたペグラの両親は、ドナルド・トランプ前アメリカ大統領やロックスターのジョン・ボン・ジョヴィを抑えてNFLのアメリカンフットボールチーム「バッファロー・ビルズ」を買収し、さらにNHLのホッケーチーム「バッファロー・セイバーズ」も所有。米経済誌のForbesは父親の資産を54億ドル(約5886億円)と見積っている。
ペグラは、この資産のすべてではなくとも、かなりの部分を相続する権利がある。このため、ペグラの資産はロジャー・フェデラー(スイス)、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)、マリア・シャラポワ(ロシア)というテニス界を代表するスターたちの資産を合算した額よりも多いのだ。
プロテニス選手であるペグラ自身もビジネスに深く関わっており、スキンケア企業を所有。慈善活動も行っている。
このような家庭に生まれれば当然多くの機会に恵まれるが、ペグラはテニス選手として名を成すため、以前は一家の名前とは距離を置きがちであったと語る。
「以前は、独力で名を成したいという思いが強かった。でも、年齢を重ねて、それよりも家族に関する側面を丸ごと受け入れるべきだと気づいたの。それは決してなくならないものだから以前は嫌だったけど、そういう面を受け入れて、ある意味楽しむことを学んだのよ。
と言っても、今でも自分のことと家族のことを分けておきたいことはあるわ。テニスは私自身のもので、私の仕事で、私のキャリア。それは家族には関係のないものだから、今では両親は私がテニスコートですることについてほとんど意見を言えないの」
これが功を奏しているのは明らかだ。パワーと落ち着きを兼ね備えるペグラは、フルセットに突入した「全豪オープン」4回戦でも集中を切らさず、スビトリーナに6-4、3-6、6-3で勝利した。この試合の後、ペグラは積極性とコントロールの最適な組み合わせを見つけることに集中していたと話した。
「間違いなくそれを試合に取り入れようとしていたわ。特にスビトリーナのような選手に対してはね。第2セットで少し打ちすぎの傾向が出始めたし、あまり前に出ていなかったから、第2セットの終盤で調子を戻せたのは、第3セットで流れをつかむために重要だったと思う。第3セットの終盤が激しい闘いになったこともあって、ちょっと疲れてるわ。でも今はいい気分よ」
家族もバッファローでテレビ観戦していただろうと言い、ペグラは「みんな大喜びしているはずよ」と続けた。
「バッファローは小さな町だけど、みんなが応援してくれるようなところよ。この場を借りて、いつも地元で応援してくれるバッファローのみんなに感謝を伝えたいわ」
ペグラは「全豪オープン」の後も、「WTA500 ドーハ」でベスト4、「WTA1000 ドバイ」でベスト8を達成。3月15日付のランキングではキャリアハイの世界33位になるなど、活躍を続けている。
(テニスデイリー編集部)
※写真は「WTA1000ドバイ」でのペグラ
(Photo by Francois Nel/Getty Images)