テニスは劇的な変革に差し掛かっているのかもしれない。テニス運営の効率化に…
テニスは劇的な変革に差し掛かっているのかもしれない。テニス運営の効率化に向けた計画を立てるために、主要関係者が一堂に会して前例のない取り組みを行っているのだ。ATP(男子プロテニス協会)のアンドレア・ガウデンツィ会長の語った内容を、ロイターが報じている。【最新】ATP世界ランキング
ATP、WTA(女子プロテニス協会)、4つのグランドスラム運営組織、そしてITF(国際テニス連盟)という7つの組織による「T7作業部会(T7 working group)」が今月中にも発足し、統一カレンダー、共通の商品やスポンサーシップ、テレビ放映権などについて検討する。
「このような過程を経験できることにワクワクしています。これまで一切行われていなかったことですからね。結果がどうなるかは分かりませんが、あらゆる選択肢を検討することを楽しみにしています」とガウデンツィ氏は取材で語っている。
「“全豪オープン”後の3月からコンサルタントの助けを借りながらこのプロジェクトに一緒に取り組むことを約束していたんです。運営、カレンダーに関する決め事、商業媒体での相乗効果、データに関する権利、スポンサーシップ…すべてが議題に挙がっています」
テニスは世界中で絶大な人気を誇るが、7つの組織がめいめいで運営しているため、統制は行き届いていない。現在はランキングのシステムが違う他、ロゴやウェブサイトも異なり、視聴者が試合を見るためには別々の有料プラットフォームを利用しなければならない。運営が一本化できれば、放映権やスポンサーシップの契約も単純化することができる。
パンデミックによる前例のない危機にさらされたことで、関係団体がより緊密に連携する機運が生まれてきている。例えば、2020年5月には下位選手を支援するために600万ドル(約6億5400万円)以上の資金を集めるべく結集し、これがT7作業部会の土台となった。2020年3月のツアー中断から12ヶ月が経過したが、今までに650人の男子ツアー選手に対して約1600万ドル(約17億4400万円)の救済金が分配されている。
「我々は機敏に、素早く意思決定を下せることを示してきました。大変危険な海の中で、船をうまく導いていくということ。どの企業もその必要に迫られています」とガウデンツィ氏は語る。
「私は大きな組織でも駆け出しの企業でも働いたことがあります。駆け出しの企業の利点は、動きが素早いということです。動きが素早ければ、市場の変化や、最近は非常に短期間で変化するイノベーションやトレンドの動きにも即座に対応できます」
「今現在やっていることは、おそらく2年後には有効ではなくなっているでしょう。4年後に乗り遅れていたくなければ、今から動き出す必要があります」
ガウデンツィ氏によると、今後6ヶ月から9ヶ月の間、2週間に1度の頻度で会合を開き、変化する市場における課題にテニスがよりうまく対処できるようにするための案を洗い出し議論するという。
「我々はエンターテイメント業界にいるのです。今日の我々は、コンテンツ制作に年間200億ドル(約2兆1800億円)を費やすNetflixと競合関係にあります。音楽、エンターテイメント、ゲームなど、すべては素早く即座にアクセスできます。私の子供も毎日ゲームをしたがります。週3時間に減らさせましたが、それがなければ週10時間ゲームをするでしょうね」
ATPの大会は昨年6000万~8000万ドル(約65億~87億円)の損失を計上。ガウデンツィ氏によればマスターズ大会では収入の45%を入場料が占めていたそうだが、大会中止で入場料が入らず、スポンサー収入もパンデミック前に比べて約30%ダウンした。また、今年最初のグランドスラムとなった「全豪オープン」では1億オーストラリアドル(約85億円)以上という歴史的な損失を記録したと報じられている。ガウデンツィ氏は、テニスはチケット売上に依存し過ぎており、正しい方向に向かうためには構造的な変化が必要だと考えている。
「メディアやデータ、それにデジタル環境での体験を豊かなものにすることが、コンテンツ配信の未来です。世界には70億の人がいますが、その全員が大会を見に来られるわけではありません。新型コロナウイルスが現在の潮流を少し後押ししました」と、かつて自らも上位20位に入るテニス選手であったガウデンツィ氏は語る。
昨年ATPの会長に就任して間もなく、ガウデンツィ氏はテニスに大変革をもたらすような野心的な計画を提示したが、パンデミックによってすべてのスポーツ関係機関が危機対応状態に置かれた。
「これは激しい嵐のようなものです。でも嵐はいずれ去ります。被害はいくらか出ますが、我々の基盤は強固です。この経験から学ぶことができれば、以前より強くなって復活することができると確信しています」
「これからは、今までとは違う運営構造を作りたいと思っています。そして、我々は全員が協力して取り組むことができると示してきました。それが重要です」
※為替レートは2021年3月14日時点
(テニスデイリー編集部)
※写真はテニスのイメージ
(Photo by Nicolò Campo/LightRocket via Getty Images)