メジャー各球団が新シーズンへの準備を進める中、ヤンキース・田中将大投手を取り巻く話題が後を絶たない。2017年シーズン終了後にヤンキースとの契約を破棄する可能性があるためだ。 ■注目浴びる田中のメジャー4年目  メジャー各球団が新シーズンへ…

メジャー各球団が新シーズンへの準備を進める中、ヤンキース・田中将大投手を取り巻く話題が後を絶たない。2017年シーズン終了後にヤンキースとの契約を破棄する可能性があるためだ。

■注目浴びる田中のメジャー4年目

 メジャー各球団が新シーズンへの準備を進める中、ヤンキース・田中将大投手を取り巻く話題が後を絶たない。2017年シーズン終了後にヤンキースとの契約を破棄する可能性があるためだ。

 右腕は3年前のオフに楽天からポスティングを経てメジャーへ移籍。ヤンキースと7年総額1億5500万ドル(約178億円)の大型契約を結んだ。その際、選手サイドが途中で契約を破棄してFAになれる条項(オプトアウト)が盛り込まれており、田中は新シーズン終了後にその権利を手にする。

 そのため現地でも田中の動向や球団の対応に着目する報道が多く、ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMも今月に入り、田中との契約延長交渉を行っていないことを地元メディアに明かしていた。

 その中で先日、今季田中が好投した場合、ヤンキースの将来にとって痛手となると伝えたのがニュージャージー州最大のニュースサイト「NJ.com」だ。

 田中はメジャー1年目の途中で右肘を負傷し、2年目も規定投球回に届かなかったが、3年目の昨季に飛躍。31登板で199回2/3を投げ、14勝4敗、165奪三振、防御率3.07の好成績を収めた。3シーズン通算でも75登板で39勝16敗、防御率3.12と勝率は際立っている。

■田中流出ならヤ軍ローテは「球界最悪の一つ」に

 右肘痛再発の懸念を払しょくしつつある田中について、記事でも「ほとんどのデータ上で、タナカはエースで、野球界でトップ10から20に入る投手。2017年も成績を維持、もしくは上回れば、(契約破棄後に)巨額の契約が待っている」と分析。負傷のリスクが最後まで付きまとうことに触れつつも、「2017年に30先発以上、200イニング以上のピッチャーになれば、健康の懸念は霧散する」とレポートし、その場合、ヤンキース側も新たに6年契約を提示せざるを得ないだろうと予想している。当然、今季のチーム躍進のためにも、田中の力が必要不可欠だ。

 ただ一方で、田中が活躍し、年俸が高騰すれば、ヤンキース側の足かせになることも指摘。各球団のメジャー40人枠に入っている選手の総年俸に対する課徴金、いわゆる“贅沢税”がネックとなり、田中との新たな契約が6年総額1億8000万ドル(約207億円)規模となれば、課税ラインを大きく超過することを伝えている。

 そのため「NJ.com」は田中がエースとして好投すればするほど、球団がジレンマに陥ると結論付けており、「マサヒロ・タナカが2017年に活躍すればするほど、ヤンキースにとっては将来強力なチームを構築することが困難になる」、「もしも、エースが流出してしまえば、ヤンキースの2018年の先発ローテーションは球界最悪の一つとなってしまう」と伝えている。

■オプトアウト自体が高いリスクを秘めるという見方も

 一方、米メディアの中には、それとは真逆の見解を伝える報道もあり、地元ラジオ局「WFAN」で長年ヤンキース番を務めるスウィーニー・マーティ記者は「CBSニューヨーク」で伝えた記事の中で、ヤンキース関係者らが田中がオプトアウトすることはないと見ていることをレポート。前述の右肘への懸念から、オプトアウト自体が高いリスクを秘めるとの見方があることを紹介していた。

 新シーズンに向かう田中には、メジャーならではの複雑な事情が絡み合い、多くの分析や予想が浮上。このオフを通じてたびたび話題に上っている。

 ただ、周囲の思惑はどうであれ、本人が昨季と同様かそれ以上の活躍を見せることがベストであることには変わりない。投球回を着実に伸ばし、エースとして評価を高めている右腕はメジャー4年目でどのような投球を見せてくれるのか。今季も飛躍を遂げれば、未来へも多くの道筋が開けてくる。