名古屋ウィメンズマラソン、松田瑞生が意地の優勝 名古屋ウィメンズマラソンが14日、バンテリンドームナゴヤ発着の42.195キロで行われ、日本歴代7位の記録を持つ松田瑞生(ダイハツ)が自己ベストにあと4秒に迫る2時間21分51秒で初優勝した。…
名古屋ウィメンズマラソン、松田瑞生が意地の優勝
名古屋ウィメンズマラソンが14日、バンテリンドームナゴヤ発着の42.195キロで行われ、日本歴代7位の記録を持つ松田瑞生(ダイハツ)が自己ベストにあと4秒に迫る2時間21分51秒で初優勝した。3枠の東京五輪代表はすでに他の選手が内定済み。五輪は補欠となっている25歳が悪条件で意地を見せる快走を見せ、近い将来の日本記録更新の期待が高まった。
松田が成長を見せつけた。序盤からハイペース。15キロ地点は49分52秒で通過し、フィニッシュ予想は2時間20分17秒だった。中間点は昨年大会記録を出した東京五輪代表・一山麻緒(ワコール)を上回る1時間10分23秒。22キロ付近から佐藤を突き放し、独り旅となった後半は強風に苦しめられながらも好記録で優勝した。
しかし、自己ベストは更新できず、レース後は悔し涙。「記録にこだわるのはよくないかもしれないけど、どんな条件でも過去の自分を超えたかったという想いがあった。向かい風でも過去の自分を上回りたかった。そういう面では、まだまだ。風と友達になろうと思っていたけど、向かい風が強くて全然友達になれませんでした」と報道陣の笑いを誘った。
日本陸上連盟の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは「粘っていい記録で走った。風を差し引けば2分から1分半くらいはよくなる」と指摘した。所属するダイハツの山中美和子監督も「今日もここに来るまで日本記録を頭に入れて、直前まで意識があった。でも、風向きを考えた時にあまり記録を出せる状態じゃないなと。後半の粘りを見ると、不可能な記録じゃないと思います」と説明。05年ベルリンマラソンで野口みずきがマークした2時間19分12秒の16年ぶり更新を期待した。
松田は昨年1月の大阪国際女子で2時間21分47秒の日本歴代6位(当時)の好記録で優勝。残り1枠だった五輪代表の最有力に躍り出た。しかし、同3月の名古屋ウィメンズで一山が松田の記録を上回って代表内定。松田は五輪出場の夢が絶たれ、悔し涙を流していた。
野口みずきの日本記録更新へ、松田「挑戦したい」
五輪は補欠として備えることになった。それでも「日本記録更新」をモチベーションに奮起。山中監督は「私たちが出したメニュー以上に自分で別の時間に走りに行っていた。そういう時間が回を重ねるごとに増えた」と明かした。怪我のリスクもある中で走る距離を増やしたことに「それができる強い体を持っている」と教え子を称賛。さらにこう続けた。
「私の練習では1000キロいかないくらいと思ったけど、プラスαの練習が『もういいよ』というくらいあるので、その練習が大事。距離を走るだけで不安はあったけど、いろんな先輩、指導者の方々から『そこが一番マラソンに大事だ』と仰っていただいて、マラソンの原点みたいなところに気づかせていただいた」
日本記録保持者の野口さんも、現役時代は「走った距離は裏切らない」を信条に世界の頂点に上り詰めた。故障をしないことを大前提に実力をつけた松田は「今回は万全の状態でスタートラインに立ったので、風のないところでまた挑戦したい気持ちは大きい。マラソンで世界と戦いたい。五輪に出る気持ちでいて、出られなかった場合はその後も日本記録に挑戦したいです」と気合。力強い走りでさらに上を目指す。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)