オーストラリア・メルボルンで開催されている 「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)の車いすテニスの部 女子シングルス決勝で、第2シードの上地結衣(エイベックス)が第1シードのイスケ・グリフィオン(オランダ)を6-7(2) 6…

 オーストラリア・メルボルンで開催されている 「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)の車いすテニスの部 女子シングルス決勝で、第2シードの上地結衣(エイベックス)が第1シードのイスケ・グリフィオン(オランダ)を6-7(2) 6-3 6-3の逆転で破り、初優勝を飾った。試合時間は2時間18分。

 上地のグランドスラムでのシングルス・タイトル獲得は、2014年の全仏オープン(フランス・パリ/クレーコート)と全米オープン(アメリカ・ニューヨーク/ハードコート)に次いで3度目。

 この日は風の影響が見られ、両者がサービスキープに苦しむ展開だった。「リターンで決められるポイントが多く、気持ち的に苦しくなった」と言ったのは上地だ。

 第1セットは両者2度、第2セットではグリフィオンが4度、上地が2度、サービスを落としている。セットを分けたあとの第3セット第1ゲームで上地がまたしてもサービスを落とし、0-2から追いかける立場となった。

 だが、3連覇がかかるグリフィオンは気持ちにアップダウンが見られ、加えて風にも手こずっているように見えた。

 上地はサービスゲームを補うべく、リターンゲームから戦略的に攻める。特に、スピンの効いたショットが持ち味の上地は、これを風を使ってうまく利用した。

  「風上からはスピンをかけて高いバウンドのボールを、風下からは相手に打たせるように」との言葉通り、上地が風上から打つスピンはグリフィオンを後ろに追いやり、上地が風下から打つ軌道の高いボールは、グリフィオンに攻め急がせ、打てばボールが風に乗ってラインをオーバーした。まさに作戦通りに進んでいた。これで上地はグリフィオンのサービスを2度破って逆転勝利をおさめた。

 「率直にうれしい」と喜んだ上地。だが、「ここで獲れなかったらいつ獲れるんだろう」という思いもあったことを話す。

  「うれしい気持ちと、最後まで自分が決めきれなかったという気持ちがある」とも言った。「優勝してすぐに課題があると思えたことはよいこと」と自分で自分を分析する様子は、すぐに次を見据えてのことで、頼もしいというよりほかない。

 全豪オープンには4年連続5度目の出場で、やっと手に入れた優勝。もっと喜んでもいいものだ。シングルスでは2度の準優勝(2014年、15年)がこれまでの最高成績だった。

 上地はこの勝利でグリフィオンとの対戦成績を14勝13敗と勝ち越した。昨年は5度対戦し、グリフィオンの3勝2敗。現在の世界1位はグリフィオンで、上地は2位。ふたたびの世界1位への挑戦はまだまだ続く。

(テニスマガジン/Tennis Magazine)