オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)の大会12日目に行われた男子シングルス準決勝。  グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)は初めてのグランドスラム決勝進出に、わずかにお…

 オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)の大会12日目に行われた男子シングルス準決勝。  グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)は初めてのグランドスラム決勝進出に、わずかにおよばなかった。それはきっと辛いことだろうが、しかし彼は明るい一面のほうを見ている。  25歳のディミトロフはキャリア2度目のグランドスラム準決勝に進み、ラファエル・ナダル(スペイン)に3-6 7-5 6-7(5) 7-6(4) 4-6で敗れた。試合時間は4時間56分。5時間近くをかけて、ナダルをぎりぎりまで追い込んだのだ。  この長くなった試合でディミトロフは過去の対ナダル戦で彼の行く手を阻んできだケイレンを起こすことなく、彼は予想よりもずっとよいコンディションを保っていたという。  「このような試合を落とすというのは、決して楽なことではないよ」とディミトロフは言った。「でも、多くのことについて僕はうれしく思っているんだ。このポジティブな見方を維持して、頭を上げていたい」。  ディミトロフは素晴らしい一年のスタートを切ったばかりだ。2014年ウィンブルドン以来のグランドスラム準決勝進出を決めただけでなく、彼は今月初めのブリスベンですでにタイトルを獲得している。そこではドミニク・ティーム(オーストリア)、ミロシュ・ラオニッチ(カナダ)、錦織圭(日清食品)とトップ10選手たちを続けて破り、全豪でも5試合に勝って、合計すると10勝1敗の戦績を誇っている。  ディミトロフはこの成功は新コーチのダニエル・バルベルドゥの功績であると考えている。バルベルドゥは昨年彼のチームに加わり、試合の準備の仕方やトレーニングまで、彼のテニスへのアプローチを能率化する手助けをした。ディミトロフは現在、非常に集中できていると感じており、それがこのシーズン初めの成功の鍵だったと言った。  「オフシーズンに入ると、ことは非常にシンプルだった」

 ディミトロフはデニス・イストミン(ウズベキスタン)と対戦した4回戦のあと、こう話していた。

 「僕ら(コーチとディミトロフ)はよりよくできることが何であるか、練習で何に働きかけ何を磨く必要があるのか、上達させる必要があるのはどの部分か、2017年にはどんなふうでありたいか、などについて話し合った。それはシンプルなことだったんだ」  ディミトロフはメルボルン・パークで2度にわたり1セットダウンから挽回勝ちしており、ナダルに対する準決勝でも、もう少しでふたたびそれをやってのけるところだった。

 ディミトロフは鋭い角度のついたグラウンドストロークと息もつかせないネットプレーでナダルをベースラインの後ろに釘付けにし、この試合を通してよりアグレッシブな選手であり続けた。  彼はナダルが放った45本のウィナーの2倍近い79本のウィナーを放ったが、同時に70本のアンフォーストエラーをおかしており、不安定だったのも彼のほうだった。  それでもディミトロフは最後までラインぎりぎりを狙い続け、美しいまでに組み立てられたポイント展開でナダルの最初の2つのマッチポイントをしのぎ、最終的にバックハンドをアウトしてナダルに試合を献上したのだった。  「今この時点で、僕はただの一瞬も自分の頭を下げたくない。特に気分がいいときには素晴らしい戦いをしている」とディミトロフ。「ここまでの僕の歩みをうれしく思う。素晴らしい年のスタートになった。10試合連続で勝利して年をスタートさせるなんて、そう頻繁に起こることじゃない」。  新しい自信を得た今、ディミトロフは難関を乗り越え、グランドスラム決勝にたどり着くのはもはや時間の問題だと考えている。  「ウィンブルドンの準決勝では、僕は1セット半の間、ものすごくナーバスだった。嘘をつくつもりはないよ。僕はただただ、ナーバスだったんだ」とディミトロフ。「でも、もし本当により高いところを目指し、より多くを期待するなら、そんなふうであってはならないと思うんだ」。(C)AP(テニスマガジン)