日本中を熱狂の渦に巻き込んだ、2002年のサッカーW杯日韓大会開催から19年。10年ひと昔とするならば、気がつけばもう…
日本中を熱狂の渦に巻き込んだ、2002年のサッカーW杯日韓大会開催から19年。10年ひと昔とするならば、気がつけばもうふた昔! 時が経つのは早いものだ。

日本でも圧倒的な人気を誇った、デビッド・ベッカム
それまでは、サッカーや、サッカー選手に詳しかったりするのは男性が多く、こと海外サッカーに興味がある人においては、よほどのサッカー好き、もしくは「マニアック」な位置付けにされていたように記憶している。
しかし、そんな概念はあのW杯を境に一変した。
手っ取り早く国民にサッカーへ興味を持ってもらうために、メディアがこぞって『イケメン外国人サッカー選手』を取り上げたのだ。すると、これが見事にハマり、あっという間に「マニアック」な分野はスタンダードの世界へ。
昨日までサッカーなんて興味ないと言っていた女子たちが、次の日には好みの外国人選手の名前を口にするようになったのだ......イケメンの力ってすごい。
そんなサッカーに無関心だった層にまで認知され、旋風を巻き起こした外国人イケメン選手たちには、どんな選手がいただろうか。
ここで名前を挙げるときに断っておきたいのは、イケメンと言っても、やはり圧倒的な「王子感」が必須だということ。そのうえ愛らしい笑顔、溢れ出るジェントルマンオーラに加えて、プレーヤーとしても一流であればなおいい。雰囲気イケメンじゃダメ。見た目もスマートで、ちゃんと主力で試合に出てなきゃ。
そんな厳しい、こちらが勝手に決めた謎の条件を余裕でクリアし、引退してもなお世界中で愛されるイケメン選手の代表格と言えば、やはりデビット・ベッカム(イングランド)だ。
マンチェスター・ユナイテッドの象徴である7番をつけ(2002年当時。その後の移籍先はレアル・マドリードだった!)、イングランド代表でも絶対的な存在だった。最大の見せ場のセットプレーでは毎度美しいフリーキックを決め、笑った顔は爽やかすぎるの、可愛いの。おまけに妻は超人気ポップスグループ「スパイスガールズ」のポッシュことビクトリア。完璧すぎる。
そして何よりベッカムの凄いところは、男性にもとても人気があったというところ。ある男性サッカーファンは、ただのチャラいイケメン選手だと思っていたが、プレーを見ると泥臭く、守備もサボらない献身的な姿に胸を打たれたとか。
また、メディアからの評判もすこぶる良かった。実際にイングランドで取材をした記者たちからは、取材が立て込んでいる日でも嫌な顔一つせずに、いつも積極的に対応してくれると、その人柄も賞賛されていたものだ。
老若男女から愛された、非の打ちどころのない全方位型イケメン、ベッカム......恐ろしい子...。文句なしの殿堂入りだ。
王子は王子でも、軍団で来られると威力も増大。当時のイタリア代表もまた、とんでもない人気だった。

2001年時のイタリア代表メンバー。濃い顔が揃っている
photo by Getty Images
もはや誰かひとりに絞れない。アレッサンドロ・デルピエロ、フランチェスコ・トッティ、フィリッポ・インザーギ......あんなに彫りの深い、フェロモン出まくりの方々が、サッカーがズバ抜けてうまいっていうんだから、人類の不平等を感じずにはいられない。
黄色い歓声には艶っぽい笑顔にウインクで返答、凄まじい悩殺力を持つ「チャオ」の一言で女性は虜に。そりゃひと目会いたくて空港まで行くファンが続出するわけである。当時、イタリア代表選手の写真集は軒並み完売だった。
仕事帰りに1日の疲れを癒すために書店へ行き、デル・ピエロが表紙の雑誌を毎日目視するのが日課だったという会社員女性からの報告もあがってきている。イケメン選手にはヒーリングの効果もあったのだ。もはや存在が社会貢献で、素敵である。
一方、イタリア代表選手の華やかなイメージとは逆に、寡黙で大人しいのに愛らしさがダダ漏れで放って置けない系貴公子が、アルゼンチン代表だったパブロ・アイマール。小動物系のキュートな顔なのにあのクルクルヘアーとか、もう反則。

放って置けない雰囲気を醸し出していたアイマール
私は以前、彼が所属していたバレンシアが来日した時にクラブの密着取材をしたことがある。もちろん編集部のオーダーは「アイマールの写真多めで!」。それに応えようとなんとか奮闘するも、カメラを向けると毎度恥ずかしそうに逃げてしまうのだ。
「スターなのに、イケメンなのに、こんなにシャイな選手もいるのか......!」と驚いた反面、そのはにかむ様が「可愛すぎる!!」と必死に撮ろうしたのは今ではいい思い出だ。
ちなみにアイマールはとても優しくて、紳士で感激した。当時、外国人はみんなフレンドリーで陽気なのかと思っていた自分に、内気な外国人もいるんだと教えてくれた貴重なサッカー選手、アイマール。イケメンは学びも与えてくれますね。ありがとうございます。
さて、日本に関わりのあるイケメン外国人選手と言えば、やっぱりこの人は外せない。
そう、イルハン・マンスズ。トルコ代表として日韓W杯で来日すると、一気にその美貌が脚光を浴び、また決勝トーナメントで日本とトルコが対戦したことでその人気はさらに加熱。「イルハン王子」の愛称で、女性人気は圧倒的なものだった。

日韓W杯での活躍で、圧倒的な人気を得たイルハン
photo by Getty Images
まさに見つかった系イケメン。その勢いのまま04年には、当時のJリーグでは異例の移籍金5億円、年棒3億5000万円のワールドクラスな金額でヴィッセル神戸に降臨。しかし昔から抱えていたヒザのケガの影響で、まさかの3試合のみの出場で離日。
その後は欧州でいくつかクラブを渡り歩くもなかなか活躍はできず、引退したイルハン。選手生活の晩年は大変だったね......としみじみするのも束の間、フィギュアスケートの選手としてソチオリンピックを目指すと、フィギュアスケーター・イルハンが爆誕。
え? 待って、そういうパターンってあるの? と度肝を抜かれた大転身劇にかつてのファンは、今度はトルコ国旗を持ってスケートリンクに行ったとか行かないとか......行ってないか。しかしイケメン選手はやることがダイナミック。未知の世界に飛び込む勇気と、動じないメンタルに脱帽だ(氷の上でジャンプして着氷すると足への負荷がすごいけど、ヒザは治ったのだろうか?)。

安貞桓はJリーグで3シーズンちょっとプレーした
そして、忘れてはいけないのは、アジアを代表するイケメン選手、韓国代表の安貞桓だ。ワールドカップ前にすでにイタリアで活躍していた彼は、大会後、一瞬イタリア方面とごちゃごちゃあったみたいだけれど、晴れて02年9月に清水エスパルスに移籍。
長髪で甘いマスク、韓流スターも顔負けの王子感は、W杯大会期間中からすでに注目の的だった。それもあり、加入記者会見場はサッカーの現場ではかつて見たことがないほどに取材陣が溢れかえっていたのを思い出す。普段は見かけない女性誌のカメラマンとスポーツ新聞のカメラマンが撮影場所をめぐって殴り合い寸前になっていたり、殺気だった現場となったのも、すべては安貞桓が素敵すぎるから。罪な男です。
Jリーグでは、清水のあと横浜F・マリノスでも活躍した安貞桓。3年ほど日本でプレーしてくれたので、彼のプレーする姿を目にした記憶がある方も多いのではないだろうか。
さて、まだまだこのあともイケメン選手はいっぱい出てきていて、例えば昨年までサガン鳥栖で活躍してくれた超王子系のフェルナンド・トーレス(スペイン)や、まだ現役バリバリの王子というか、もはや王様の域のクリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)、コロンビア代表でワールドカップでも日本と対戦したハメス・ロドリゲス......ほかにも「あの選手が入っていない!」って声が起こるかもしれない(個人的にはロケ・サンタクルスも......)。
ちなみに現在進行形のおすすめの、若手有望選手を紹介したかったのだが......厳選なるリサーチをした結果、残念ながらここまでに紹介してきた選手の域に達しているプレーヤーはおらず!
強いて挙げるならば、現在アトレティコ・マドリード(スペイン)で活躍中のジョアン・フェリックス(ポルトガル)でしょうか。プレーヤーとしては本当に注目で、申し分ないんですが、あともう少し垢抜けたらなぁ......なんて(何様)。
いや、でもまだ21歳! いろいろ意味でこれからの進化と活躍に期待です!!