2021年の球春到来——。3月26日のペナントレース開幕へ向けて準備を進めるセ・リーグ6球団。いよいよオープン戦も始まり、各チームの戦力、陣容も見え始めた。

 そこで注目されるのが、新たに加わった助っ人たちだ。新型コロナウイルスの影響でほとんどの選手が来日できずにいる中、「Vの使者」になれる男はいるのだろうか。

【写真提供=共同通信】3月7日のオープン戦で“来日初アーチ”を放った新外国人のクロン(広島)。コロナ禍で大多数の外国人選手の来日が遅れている中、開幕へ向けて調整を続けている。

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 その“当たり外れ”でチームの成績が大きく左右する新外国人たち。過去のシーズンを振り返ってみても、その重要性は高く、そして広く周知されている。

 「期待値=年俸」と考えた際、今季のセ・リーグの新外国人の中で最も高額な年俸で契約した選手が、メジャー通算196本塁打のスモーク(巨人)だ。身長193センチ、体重99キロの両打ちの34歳内野手。2008年にレンジャーズからドラフト1巡目(全体11位)指名を受け、2010年にメジャーデビュー。ブルージェイズ時代の2017年から19年は3年連続で20本塁打以上を放った実績を持ち、昨年8月のカブス戦では、7回1死の場面でダルビッシュ有からソロアーチを放ってノーヒットノーランを阻止した。

 今オフ、2年契約で推定年俸300万ドル(約3億1000万円)プラス出来高で入団。メジャー通算打率.229という確実性が課題になるだろうが、パワーは間違いない。巨人としては、4番・岡本和真の後の「5番・ファースト」として起用したい構えだ。

 2番目に高額なのが、韓国二冠王のロハス・ジュニア(阪神)である。身長189センチ、体重102キロの両打ちの30歳外野手。メジャー経験はないが、2017年に韓国KTに加入すると4年間で通算132本塁打、409打点をマーク。特に昨季は打率.349、47本塁打、135打点の大暴れで、今オフに推定年俸250万ドル(約2億6000万円)で入団した。

 その争奪戦に巨人も加わっていたことで、虎ファンは早くも興奮気味で、現地では「サンズやロサリオよりも上」との評価。高い打率を残している点が好印象で、日本投手の変化球にも対応できる柔らかさがある。「3番・レフト」が想定され、打倒巨人の重要なキーマンになる。

 彼らに続く注目の打者が、メジャー通算516試合出場で打率.255、77本塁打、244打点の実績を持つサンタナ(ヤクルト)だ。最大の売りはパワーで、ブルワーズ時代の2017年にはシーズン30本塁打を記録した。三振の多さが気になるところだが、右方向に大飛球を飛ばすことができ、狭い神宮球場ならばアーチ量産が可能。山田哲人、村上宗隆の後ろに座ることができればシーズン100打点も視野に入る。

 ロハス・ジュニアと同じ韓国経由でNPB入りしたテームズ(巨人)も実績がある。メジャー通算6年で605試合出場、打率.241、96本塁打、235打点に加え、2014年から韓国で3年間プレーし、2015年には打率.381で首位打者に輝くとともに「40本塁打40盗塁」を達成し、KBO歴代最高となるOPS.1.287をマークした。現在34歳でスピードの衰えはあるが、理想はスモークの後の「6番・レフト」に入ることだ。

 その他の野手陣では、左の長距離ヒッターで勝負強さと強肩が魅力のガーバー(中日)、ミート力の高い打撃に内外野を守れる万能性を持つオスーナ(ヤクルト)がいるが、彼らに共通しているのが、「まだ来日していない」ということ。

 緊急事態宣言が延長され、出入国制限と2週間の隔離対策が継続されている現状では、3月下旬に来日しても実際に1軍の試合に出場するのはゴールデン・ウィーク頃になると考えられる。特例処置が設けられない限り、大幅な調整遅れが必至の状況となっている。

 そこで俄然、他の新助っ人陣と「差を付ける」ことができるのが、カープ打線の新たな長距離砲として期待されるクロン(広島)だ。マイナーでは通算151本塁打もメジャーでは通算2年で47試合出場、打率.170、6本塁打で推定年俸80万ドル(約8400万円)での入団だったが、昨年11月の契約締結の後、年明けの1月3日に来日すると、春季キャンプでもフルメニューをこなして実戦にも休むことなく出場。

 対外試合成績24打数2安打、打率.083と苦しんでいたが、3月7日のオープン戦(対ヤクルト)で待望の来日1号アーチを放って光が見えた。研究熱心な真面目な性格で日本の生活へも適応できそう。コロナ禍で早期来日は、必ず成績に反映されるはずだ。

 投手陣を見ると、推定年俸200万ドル(約2億800万円)で入団したアルカンタラ(阪神)への期待値が高い。ドミニカ出身の先発右腕で、昨季は韓国・斗山で20勝2敗、防御率2.54と大活躍した。最速158キロで常時150キロを超えるストレートを軸に、スライダー、スプリット、チェンジアップなど変化球も多彩でスタミナも抜群。

 韓国と日本の野球の違いはあるが、過去に韓国で活躍して来日した外国人投手たちと比べて見てもアルカンタラへの期待値は高いものになる。他の助っ人たちの例に漏れず合流が遅れるが、それでも2ケタ勝利は期待したいところだ。

 その他では、最速155キロのストレートに打者の手元でボールを動かしながら試合を作るサイスニード(ヤクルト)、ドミニカ共和国出身の剛腕で2018年、19年とメジャー2年間で通算26試合に登板したロメロ(DeNA)、リトアニア出身で最速157キロのストレートと落差のある高速カーブを武器に高い奪三振率を誇るメジャー通算76試合登板のネバラスカス(広島)が新たに加わった。リリーフ陣では、ドミニカ共和国出身で精度の高いスライダーが武器の左腕・ロサリオ(中日)、同じく速球&スライダーで高い奪三振力を持つ左腕・バード(広島)がいる。

 そして日本経験組として注目なのが、かつて中日のリーグ連覇に大貢献した左腕、チェン・ウェイン(阪神)とソフトバンクに6年間在籍して通算84試合43勝19敗、防御率3.68という実績を残したバンデンハーク(ヤクルト)の2人。特に先発投手陣に大きな課題を持つヤクルトに加わったバンデンハークには救世主として働いてもらわなければ困る。

 この新外国人投手陣の中でも、現時点で来日しているのはチェン・ウェインの1人のみで調整遅れが心配される。しかし、野手よりも投手の方が個人練習での調整が容易であることを考えると、合流即、大活躍ということも期待できる。

 とはいえ、第一の関門は「来日する」こと。そして、それまでの間に彼らがどのようなトレーニングを続け、しっかりと仕上げて来ることができるか。その調整具合が、来日後のパフォーマンスにも直結することは目に見えている。例年以上に、ハングリー精神を持ち、練習熱心な選手が、日本で成功を掴めることになるだろう。