スーパーエース・西田有志 がむしゃらバレーボールLIFE(19) 第18回を読む>> バレーボール日本男子代表の若きエース、西田有志(ジェイテクトSTINGS)。Vリーグの2020-21シーズンも終盤を迎え、ジェイテクトは3月4日時点でリー…

スーパーエース・西田有志 
がむしゃらバレーボールLIFE(19) 第18回を読む>>

 バレーボール日本男子代表の若きエース、西田有志(ジェイテクトSTINGS)。Vリーグの2020-21シーズンも終盤を迎え、ジェイテクトは3月4日時点でリーグ4位。勝利数によって上位3チームが進出(※)するファイナルステージ(4月3日、4日に向けて、正念場を迎えている。連載の第19回は、昨年12月に行なわれた天皇杯優勝後、再開されたリーグでの戦いについて聞いた。

(※)新型コロナウイルスの影響などで消化試合数にばらつきが出た場合、勝率が高いチームが上位になる。

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2連覇を目指すジェイテクトのエースとして活躍する西田

――2021年のファーストゲームになった1月16日、17日は、リーグ1位のパナソニック・パンサーズを相手に2連敗。緊急事態宣言が出て前週の試合が中止になるなど、リーグ再開まで1カ月以上時間が空いた影響があったんでしょうか。

「僕はあまり気になりませんでした。連敗したのは、パナソニックさんの対策や、細かい部分の準備が上回っていたということ。ジェイテクトも準備はしていたので、それが今のレベルの差なのかなと」

――翌週にホームで行なわれたウルフドッグス名古屋(現リーグ3位)との2試合も、ワンサイドな展開でやはり2連敗となりました。

「大事なのは、『何対何』という点数にフォーカスするのではなく、自分たちがやるべきことをやれていたかということ。ワンサイドな展開になってしまったのはジェイテクトのミスによるところも大きかったので、そういう点はつぶしていかないといけません。あの2試合も、パナソニックさんと同じように、名古屋さんがチームをしっかり作ってきていたので流れを覆すことができませんでした。でも、あの負けが起爆剤となって、徐々に調子が上がっている部分もあると思います」

――実際に4連敗したあとは勝ちが続きました。どのように調子を取り戻したんでしょうか。

「チームの雰囲気を変えることですね。サーブ、ブロックの位置、レシーブといった細かいことは、1週間で見違えるように改善することが難しい。6対6のゲーム練習のときに、何を意識して練習するか、を変える必要があると思いました」

――チームの雰囲気をよくするために、西田選手はどのようなアプローチをしたのでしょうか。

「無理に『元気を出していこう』というわけではなく、ひとつひとつのプレーについての確認を細かくできるように、よりコミュニケーションを取るようにしました。『今のコンビはすごくよかったけど、試合でも使えるのか』といったところや、(レシーブで)上げられるはずのボールを落としてしまったら、その原因なども共有するなど。そういったことの積み重ねによって、自然と雰囲気はよくなっていくと考えているので」

――これから、ファイナルステージ進出をかけた大事な試合が続きます。そういったプレッシャーを乗り越えるために、メンタル面で取り組んでいることはありますか?

「僕は、他のチームの結果や順位を見ないんです。見たところで、チームの順位が変わることはありませんから。勝ち続けることだけを考えて、次の試合の相手を研究し、対策を練って練習する。その繰り返しです」

――連敗を止めた1月30日の大分三好戦のあとの会見でも、「これから、全部勝てばいい」とコメントしていましたね。

「そうですね。残り試合や順位を気にしすぎてしまうと、『今の状況では、このチームには絶対に勝たないといけない』となる可能性がある。そうなると無駄な力が入って、精神的、肉体的にも影響が出てしまうかもしれない。思考を止めるわけではありません。楽をする、というか、意識する点を少なくしてそれに集中しやすくするということでしょうか。これについてはいろんな意見があるとは思いますけど、僕にとっては今の考え方が単純でいいんですよね」

――2月7日の堺ブレイザーズ戦では連続でサービスエースを記録するなど、サーブの得点ランキングで1位(3月4日時点で48得点)です。

「サーブは着実にステップアップできた感じがします。『何が』というのは言葉で説明するのが難しいんですが......ミスが少なくなり、サーブ効果率が上がってきていることは成長ができた証明なのかな、と思います。タイトルについては、リーグが終わった時に、結果的に取れたらいいですね」

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 このインタビュー後、ジェイテクトは2月28日のFC東京(リーグ8位)戦で、セットカウント0-3のストレート負けを喫した。試合後の記者会見で、西田は「今週の調整がダメだったということ。練習からやるべきことを、自分も含めてやれていなかった」と厳しい口調で述べた。

 ファイナルステージ進出を争う3位・名古屋との勝利数の差は「2」。2年連続で頂点に立つために、ジェイテクトと西田は再び敗戦を乗り越えて前進する。