オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)の大会12日目は男子シングルス準決勝が行われる。 グランドスラム大会でのビッグマッチの経験がどんなに豊富であっても、ラファエル・ナダル(スペイン…

 オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)の大会12日目は男子シングルス準決勝が行われる。  グランドスラム大会でのビッグマッチの経験がどんなに豊富であっても、ラファエル・ナダル(スペイン)は少しナーバスだ。彼は次の準決勝の相手、グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)との過去の対戦成績が7勝1敗であっても、気持ちがなだめられることはない。  第一に、ナダルは4ヵ月前の北京で、ディミトロフが自分に対して初勝利を挙げたことを自覚している。そしてディミトロフが3週間前のブリスベンで優勝したことで、今季最初のグランドスラム大会に向けて完璧な準備をし、今、上昇気流に乗っていることもわかっている。  「彼は信じられないような才能、並外れた潜在能力を持つ選手だよ」とナダル。「彼は驚くべきプレーをしながら、今季をスタートさせた。だから僕にとって準決勝は非常に厳しい試合になるだろう。そして、彼にとってもそうなるよう祈る。彼が非常に大きな自信を胸にプレーすることはわかっているから、僕は自分のベストのテニスをするよう努めるよ」。  もちろんナダルは、ふたたびチャレンジすることをためらってはいないし、自分自身の調子からも強い手応えを感じている。彼は若手のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)、ガエル・モンフィス(フランス)、そしてビッグサーバーのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)を倒して勝ち上がった。  「(勝った相手の)皆がトッププレーヤーだと思う。これは僕にとって重要なことなんだ。なぜって、それは僕の競争力が高く、いいプレーをしているということだから」とナダル。「多くのトレーニングを積んだあと、またこのラウンドに進むことができて、すごくうれしいよ。特にここオーストラリアは、僕にとって特別な場所なんだ」。ナダルは2009年に全豪を制している。  ナダルは、左手首の故障によって強いられた休養からの復帰戦となった、今月初めのブリスベンでラオニッチに敗れたが、その結果を全豪準々決勝で覆した。メルボルンでのナダルは、より攻撃的なアプローチで試合に取り組み、相手にミスを強いるため、より早いタイミングでボールをとらえている。  「彼がベースラインからいいプレーをしていたときにさえ、僕は彼のアグレッシブなショットを止めるため、コートの中にポジションをとるよう、ベースラインの後ろに押されないように努めていた。これは僕にとって重要な変化だ」とナダル。「自分のコート上での姿勢をとてもうれしく思っている。すごくいいパッシングショットも打てた。これは僕にとって吉報だね。それができるということは、僕がいいプレーをしているという証拠だからね」。  第15シードのディミトロフは準々決勝で、第11シードのダビド・ゴファン(ベルギー)に対してわずか9ゲームしか与えなかった。その試合は彼にとって、ナダルに対する準決勝に向けてのウォームアップであるようにさえ見えた。  先の7月、ディミトロフはここ3年で最低となる世界ランク40位まで落ちている。その後、ふたたびランキングを上げたディミトロフは今、高いフィットネスレベルを誇り、活力に満ちている。  「僕はただ、ずっと信じていたことをやり続けていただけだ」。彼は、コーチのダニエル・バルベルドゥとフィットネス・トレーナー、そしてほかの「厳しいときに僕を助けてくれた」人々に感謝を捧げながらこう言った。  「僕は一度も自分が間違ったことをしていると感じたことはなかった。ただ、いい練習やいいプレーができていない、適切なことができていないと感じていた。でも正しいチームスタッフの助けによって、ことはゆっくりとよい方向へ前進し始めた。僕は今、自分がいい場所にいると思っている」  ディミトロフは、自分はグランドスラム決勝に進むための才能を持ち、そうするための準備もしてきたと自負する。

 「僕は、さらに先にいくためのすべての道具を持っていると感じている。そして、僕の仕事はまだ終わっていない。僕は、さらに先までいく準備ができているよ」。  「前の大会(決勝で錦織圭を倒して優勝したブリスベン)から積み上げた自信をもって、前に進んでいくだけだ。試合をするたびにフィーリングはますますよくなってきている。今、この時点ですべてはかなり自然にできているんだ」。  ディミトロフは水曜日の夜に、ホテルでリラックスしながら、準々決勝のナダル対ラオニッチの試合をテレビ観戦する贅沢に恵まれた。  「今、僕は戦いを楽しんでいる。それは間違いないことだ。僕はすべてのボールを追いかけて走ることを楽しんでいる。肉体的にいい感じを覚え、試合に乗り込んでいきたいと感じている」とディミトロフは言った。「対戦相手が誰であろうと、勝つための自分なりのチャンスをつかむのだ、とわかっている----そんな感覚が僕の中にある」。(C)AP(テニスマガジン)