息子が見守る前でヒーローインタビューを受けたい−。
小学3年生から始めたバスケットボールも今年で24年目を迎え、要所で“仕事”をするいぶし銀の活躍は常にアリーナを沸かす。32歳とベテランの域に達し、現在はチームの核として、クラブを、そして日本のバスケットボール界を支えている。
そんな篠山が、プレーだけでなく、精神的支柱を担いながら闘将としてチームを鼓舞できるのは家族の存在が大きい。試合後は3歳になる長男が“ダメ出し”をしてくれるらしく、「勝ち負け、活躍の有無を理解した上で、嬉しさや悔しさといった感情をぶつけてくれます」と話す。子どもを喜ばすためにも「まだまだ頑張らないといけないなというモチベーションは日々もらっています」と気は引き締まるものの、息子の評価はなかなか辛口で「試合には勝っても、『ヒーローインタビューではなかったね』とズバズバ言われています」と苦笑いする。

身内からは“愛のムチ”を受けるが、ファンからは応援のエネルギーで背中を押してもらう。しかし、今季はコロナ禍で観戦形式は大きく変わった。入場数は収容率の50%、声出しの禁止など制限がかかった中での試合開催に戸惑いを隠せなかった。それでも、会場に足を運び、手拍子や応援ボードで懸命に応援してくれるファンの存在は嬉しく、「観客席にいてくれることで安心できるので、選手たちも伸び伸びプレーできる」と喜ぶ。
さらに、昨年の無観客試合があったからこそ、「ファンの人たちの日頃の声援や思いが想像以上にコートに届いていることを改めて感じた」。

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ただ、コロナ禍前の満員の試合と無観客試合の両方を経験したからこそ、「やっぱり満員のアリーナで大歓声の中でプレーしたいです」と篠山。満員にこだわるのは、4年前のシーズンファイナルの舞台で苦杯をなめた宇都宮(当時:栃木ブレックス)戦での悔しさが忘れられないからだという。収容人数1万人以上を誇る代々木第一体育館を見渡すと宇都宮カラーの黄色で埋め尽くされており、数に圧倒されて試合にも敗れた。
負けてはしまったが、「試合後にファンから拍手や労いの言葉をいただいた時の光景は、バスケ人生の中でも1番印象に残っている」と当時を振り返る。
「必ずファイナルに帰ってきて今度は会場を赤色に染め、勝利の喜びを分かち合いたい」と青写真を描き、「その時に初年度のファイナルの会場にいたファンが報われるような気持ちになってもらえれば僕らも嬉しいです」と話した。

現在所属する川崎ブレイブサンダースでは前身の東芝ブレイブサンダース時代を含め、11年目のシーズンに突入。14年からは7季連続でキャプテンを務める。今シーズンも“顔”としてチームを牽引するが、前半戦を終えて東地区6位(3月9日現在は3位)と苦戦。けが人の続出や、ディフェンスの崩壊が主な要因だと分析しており、「前半戦はなかなかチームとして乗り切れない流れが続いた」。

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苦しいことの方が多かった一方で、前半戦の集大成となった天皇杯準々決勝の千葉戦では勝利を収めた。「なかなか結果がついてこない試合もありましたけれど、ぶれずに自分たちのバスケットボールをやってきたことが証明されたので大きな自信となった」と語気を強めた。さらに、けが人も復帰するので「チーム内の雰囲気もよく、(雪辱を果たすためにも)後半戦に向けて最高のスタートが切れた」と4年前の“忘れ物奪還”を誓う。

そして、シーズン終了後には東京五輪が待ち受けている。篠山は「自分が五輪に出られるかもしれないという時に自国で開催されるのは奇跡」と強調。NBAで活躍する八村塁、渡邊雄太らの台頭で日本代表チームが若返っている中でも、ベテランとして「苦しい状況の時にこそ、引っ張り上げる存在になる」と意気込む。
「コート内外でコミュニケーションを積極的にとって、チームビルディング構築の一部を担うことができれば」と今夏を見据える。

日本人にとってのバスケットボールという存在を身近な文化にする夢を叶えるためにも、まずは目の前の壁を着実に乗り越えて、過去最高の状態で夢舞台を迎えたい。

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〜篠山竜青選手のこだわりはシューズ〜
シューズにはうるさいです(笑)。足にフィットしている部分と、履いた際に不安がないかといった点に関しては特にこだわっています。ここ数年は、日本代表と川崎のカラーでもある真っ赤なシューズを履いていて、篠山選手といえば真っ赤なアシックスのシューズだというイメージが浸透させています。

〜拝啓ファンの皆様へ〜
今はコロナの影響で、いろんなところに影響が出ている世の中ではありますが、改めてスポーツができる喜びや、プレーを見てもらえることの嬉しさ、元気になれるファンの皆様の声援の有り難さを改めて感じています。試合会場や、映像などを通して応援していただいて、自分たちの背中を押してほしいですし、少しでも1バスケットボール選手として皆様に活力を与えられるようなプレーを見せていきたいと思います。選手もファンの皆様も一緒になって、バスケットボールを盛り上げることで日本におけるスポーツの価値を高めていければと思っておりますので是非応援してください。