女子ツアー注目の「プラチナ世代」に迫る(3)吉田優利インタビュー(前編)2000年度に生まれた「ミレニアム(プラチナ)世代」にあって、 2018年の日本女子アマと日本ジュニアの二冠を遂げた実績を持つ吉田優利。プロデビューイヤーとなった昨年は…

女子ツアー注目の「プラチナ世代」に迫る(3)
吉田優利インタビュー(前編)

2000年度に生まれた「ミレニアム(プラチナ)世代」にあって、 2018年の日本女子アマと日本ジュニアの二冠を遂げた実績を持つ吉田優利。プロデビューイヤーとなった昨年は、12戦の出場で最高順位が19位タイ、賞金ランキング57位と、不本意な一年を過ごした。まもなく21歳となる吉田にとって、巻き返しをはかる2021年への意気込みを聞いた――。



――昨年の成績をご自身ではどのように受け止めていますか。

「すごく悔しい一年でした。プロになって、必要な練習の仕方、調整の仕方......アマチュアとはどうしても違うし、環境も異なる。そのなかで、自分の想定していなかったことが次々と起こって、うまく調整できずに12試合を"こなして"しまいましたね」

――「想定していなかったこと」とは具体的にどういったことでしょうか。

「たとえば、初日に調子が悪かったとしたら、すぐ次の日には修正しないといけないですよね。調子が悪いなかで、スコアを作るということは、これまでもやってきたことだとは思うんですけど、どうしても初日を引きずってしまったり、自分の中で修正したつもりでも、修正できていなかったり、また違った悪い癖が出てきてしまったり......。とにかく、いろんなことが起こった1年目でした」

――調子が悪かったのはどういった点になりますか。

「基本的にショットが曲がっていて、特に夏場はラフに入った時の対応でスコアを崩すことが多かったです。フェアウェーの真ん中から打ってもグリーンを外すこともありましたし、技術だけじゃなく、体の使い方にも原因があったのかな。

 コーチと、トレーナーと意見交換しながら戦ったんですけど、シーズンを戦いながらだとどうしても時間が足りなくて、修正が難しかったです」

――アマチュアとの一番の違いは、シーズンが短縮されたとはいえ、毎週のように試合が開催されることです。

「そうですね。アマチュア時代は、たとえば日本女子アマなら、その何カ月も前から計画を立てて、技術を仕上げて、コンディションを整えてピークを持っていけばよかった。毎週試合があると、ピーキングに苦労しますよね。そういうところの対応を少しずつ覚えて、今後は波のない選手になりたいです」

――最高順位が19位タイということも"想定外"でしたか。

「プロデビューということで、正直、自分がどれだけの成績を残せるのかわからなかったです。1年目を終えて、自分の調子が悪ければこのぐらいの成績しか残せないんだということがわかりました。

 もっといい成績を残したい、こうしたい、ああしたいというのが、たくさん生まれて、オフの合宿の課題につながりました。昨年1年間の苦労は、将来に向けて絶対に踏んでおかなければならない過程だったと思うので、それが早めに経験できたと前向きに受け止めていますね」

――新型コロナウイルスの感染拡大によって、スケジュールが大幅に変更になったことも何かしら影響がありましたか。

「もし例年のように3月に開幕していたとしても、同じような成績で、悪い調子をズルズルと引きずってしまう1年になっていたかもしれない。コロナの影響で大会数が減ってしまったことは本当に残念ですが、(2年に渡るシーズンとなったことが)私の中では"ついているな"と思っています」

――シード権を確保するうえで、2年におよぶシーズンになったことはご自身にはプラスになる、というわけですね。

「前向きに捉えられますよね。今年成績を残すことができたら、シード権は自然と見えてきますから」

――プロになって、初めて手にした賞金で何か買い物はされましたか。

「これまで支えてくださった方々全員にプレゼントをしました。男性ならネクタイやゴルフウエア、女性なら化粧品とか。そのあとに、自分のモノを買い始めました」

――開幕を目前に控えて、宮崎で合宿を消化されました。

「はい。辻村(明志)コーチと、コーチに師事するプロ全員で合宿をこなしました。毎日練習して、コースに出ていました」

――重点的に取り組んでいた課題などはありましたか。

「とにかくパーオン率を高めたいので、アイアンの精度にこだわって練習していました。フィジカルの強化にもフォーカスを当てていました」

――確かに昨年のスタッツを見ると、パーオン率は67位。平均パット数が6位ですから、セカンド、アプローチの精度が上がれば、バーディーの数も増えていくような気がします。

「ナショナルチーム時代から、毎試合のスタッツを機材に入力して、分析することを習慣にしていました。昨年はとにかくパーオン率の低さが浮き彫りになりました。

(自分は)もともとショートゲームで(スコアを)拾っていくタイプのゴルファーだと思っていますが、ショートゲームが悪ければ、戦えない。アイアンショットがよくなれば、バーディーパットを打つ回数が増えるじゃないですか。そういう環境を作りたいので、今はアイアンを重視して練習しています」

(つづく)

吉田優利(よしだ・ゆうり)
2000年4月17日生まれ。千葉県出身。身長158㎝。血液型O。2018年に日本女子アマ、日本ジュニアを制した「プラチナ世代」を代表する選手のひとり。昨年からツアー本格参戦を果たし、12試合に出場。2020-2021シーズン現在の賞金ランキングは57位(獲得賞金817万1200円)