女子ツアー注目の「プラチナ世代」に迫る(4)吉田優利インタビュー(後編)吉田優利は日本女子ツアーで躍動する「ミレニアム(プラチナ)世代」の有望株のひとりだ。プロデビューを果たした昨年は思うような結果を残せなかったものの、オフに課題克服に取り…

女子ツアー注目の「プラチナ世代」に迫る(4)
吉田優利インタビュー(後編)

吉田優利は日本女子ツアーで躍動する「ミレニアム(プラチナ)世代」の有望株のひとりだ。プロデビューを果たした昨年は思うような結果を残せなかったものの、オフに課題克服に取り組んで臨む今年は大いなる飛躍が期待される――。



――昨年出場した12試合の中で、印象に残っているトーナメントはありますか。

「ふたつ、ありますね。ひとつは(国内)プロデビュー戦のアース・モンダミンカップ。天候が悪いなかスタートして、予選通過できましたから」

――予選ラウンドでは、同世代の安田祐香選手と同じ組でのラウンドでした。

「一緒に回っていて、すっごく楽しかった。デビュー戦というのは、生涯で一度きりで、その試合を祐香と回れたのは思い出深いです。

 もうひとつは(スコアの過少申告で)失格となってしまったTOTOジャパンクラシックの翌週に開催された伊藤園レディスです。前週のことを引きずらずにしっかり予選を通過できた。自分の中で、転機となった、いい流れに向かうきっかけになった大会だと思います」

――失格になってしまった件はショックが大きかったのではないですか。

「やってしまったことは仕方ない。アテストが終わってから、スコアボードを見て間違いに気づいた。もし気づかずにいたら、そのまま3日間プレーしていたかもしれない。自分で気づけてよかったし、二度とやらないように注意すればいい。これも勉強だと、落ち込むことはなかったです」

――同世代の古江彩佳選手が3勝を挙げ、西村優菜選手もツアー初優勝を遂げました。「負けていられない」という感情も芽生えたのではないですか。

「よくそうした質問を受けるんですけど、まったくそういった気持ちはなくて。高校生の時からナショナルチームで一緒に生活して、練習して、戦ってきた仲間たちなので、悔しいというより、素直に『すごい!』と思います。『かっこいい!』とか、『尊敬!』とか、そういうプラスの感情しかないですね。

 ふたりが優勝して、私も優勝したいと思いますし、きっと自分にもチャンスは来ると信じています。そのために自分が今、何をすべきか。そうした自分のゴルフと向き合う機会になったのが、彼女たちの優勝だったと思います。

 同級生で友だちだけど、尊敬すべきところがたくさんあるし、みんなレベルが高い。私自身、この世代に生まれて恵まれているなと思います」

――さらにひとつ歳下の笹生優花選手も優勝しました。

「高校生なのに、一緒のプロテストに合格した。私が高校生の時に受験していたら受かっていたかわかりません。強い気持ちを持ってゴルフと向き合っている。勉強になりますね」

――「焦り」などを感じることはありませんか。

「成績でしか恩返しができない立場ではあるんですけど、焦ることはありません。日本女子アマと日本ジュニアを勝った時に、優勝への"流れ"みたいなものが自分に向いてくるのが感じ取れた。たとえプロの舞台でもそうした"流れ"を敏感に私は感じ取れるはず。そうした流れがいつか私にも来ると信じて、一生懸命信じて、待ちます」

――女子ゴルフ界はまさに百花繚乱の時代です。

「端から見れば華やかなイメージが大きいと思うんですけど、選手たちは『優勝』とか、『賞金女王』とか、それぞれ目標を持って一生懸命練習に取り組んでいる。同じ気持ち、強い気持ちで、みんなゴルフに取り組んでいると思います。

 私はそれにプラスして、効率のいい練習と、時間の有効活用を意識しています。強い気持ちに、そのふたつの要素を加えて練習していけば、いつかいい成績につながるんじゃないかな」

――成人式はコロナ禍にあって中止になったそうですね。

「参加したかったですけど......仕方ないですね。20歳になって、これまでと心境に変化があるかといえば、特にないですし、変わったことというとお酒を飲めることぐらい。18歳の時には18歳の時の、19歳の時には19歳の時の目標がありましたけど、ゴルフに取り組む姿勢というのはまったく変わりません」

――昨年もインタビューをさせていただきましたが、明朗さに磨きがかかって、より大人の女性になった印象を受けます。

「本当ですか(笑)。20歳になって、大人の女性として、プロゴルファーとして、自分の言動には責任を持たないといけない、という思いは強くなりましたね。

 たとえば、ゴルフの専門誌などで、レッスンを依頼されることがありますよね。(その記事を)読んでくださった方が、少しでもゴルフがうまくなれるように、的確なアドバイスをしたいし、間違って伝わらないように発言には気を遣っています。そのためにも、普段から自分の取り組んでいること、やりたいことを理解して、言葉にすることを意識しています」

――自身の考えや目標を言葉にすることは、メディアの前に立つプロゴルファーに不可欠の要素だと思います。

「はい。それに、選手同士だと伝わる会話でも、コーチやトレーナーさんにはわからないことがあると思うんです。プレーヤーにしかわからない感覚を詳しく言葉にしてコーチやトレーナーさんに説明することで、どこを強化すべきか明確になるし、結果的にパフォーマンスの向上につながると思います。

 コース上で一緒に戦うキャディーさんとも、マネジメントで話し合う時に、意見が分かれても、しっかり耳を傾けて、どちらの意見を採用するのか決断しなければならない。それも、普段から自分の意見を伝えるということが大事だと思います」

――では、今年の目標を教えていただけますでしょうか。

「やっぱり優勝したいです。もちろん、シード権を確保することも大事です。そのためには、上位で戦い続けることが大事だと思う。いい調子を保つ安定さ。その土台をしっかり開幕までに作って、2年目に臨みたいと思います」

――オフ期間の練習、トレーニングを経て、2年目での優勝は視界に入ってきましたか。

「見えているか、見えていないかでいうなら、見えていないわけではないけれど、見えているわけでもないという状況ですね。パーオン率が上がれば、自然とスコアも伸びていくと思いますし、それだけ優勝に近づける。シーズンの戦い方も、短かったとはいえ、昨年の経験が生きると思います」

(おわり)

吉田優利(よしだ・ゆうり)
2000年4月17日生まれ。千葉県出身。身長158㎝。血液型O。2018年に日本女子アマ、日本ジュニアを制した「プラチナ世代」を代表する選手のひとり。昨年からツアー本格参戦を果たし、12試合に出場。2020-2021シーズン現在の賞金ランキングは57位(獲得賞金817万1200円)