<競技用の車いす>はタイヤが“ハの字” こんにちは、車いすテニスプレーヤーの田…
<競技用の車いす>はタイヤが“ハの字”
こんにちは、車いすテニスプレーヤーの田中愛美です。
今回は、車いすテニスを語る上で欠かせない「ギア」、テニス用の車いすについてご紹介していきたいと思います!
選手の足となる車いす。一人一人が自分のプレーや障害に合わせてオーダーメイドで作るテニス用の車いすは、日常で使用するものとは大きく異なります。
では、具体的に<日常用の車いす>と<競技用の車いす>の違いは一体どんなところにあるのでしょうか?
【写真ギャラリー】田中プロのプレー写真から車いすをチェック!!
まず大きく見た目で分かるのは、左右についたタイヤの角度です。
<日常用の車いす>は、狭い建物内でも動けるようにタイヤのサイズは基本24インチ、キャンバー角(タイヤの設置角度)は付けないのが普通です。しかし、<競技用の車いす>は、前から見ると大きくハの字に広がっていて、これによってより素早く安定したターンを行うことができます。このキャンバー角は競技によって推奨角度が違い、テニスは20~22°。角度が大きければ大きいほどターンがしやすく、小さければ小さいほど直進性が上がると言われています。
<競技用の車いす>は、タイヤが”ハの字”に付いている
<競技用の車いす>はサイドブレーキ付き!?
次にタイヤ周辺での違いは<競技用の車いす>には「ブレーキがないこと」です。
日常用のものには、タイヤのブレーキが付いていて、動く必要がない場合には手を使わずに車体を止めておくことができます(自動車のサイドブレーキのような機能)。
しかし競技用にはそういったものは付いておらず、完全に動くことを第一に考えられています。実は思ったより少ない力で動き出してしまう<競技用の車いす>。サーブの時などあまり車いすが動いてほしくない時は、体のバランスを意識して車いすの動きを制御しています。
そして最後に大きく違うところは、後ろについている「リアキャスター」です。
<日常用の車いす>には、メインのタイヤの他に足元に2つの小さなタイヤ(前キャスター)がついていますが、競技用の車いすにはそれに加えて後ろにも小さなタイヤ(リアキャスター)がついています。
このリアキャスターは様々な方向に体重をかける競技中に転倒を防止するためにつけられていて、一般的には1つだけですが人によっては2つのキャスターをつけています。
<日常用の車いす>で転倒することはあまりないため、イメージしづらいかもしれませんが、このリアキャスターがついていないとターンもままならない非常に重要なパーツなのです。
リアキャスターがあることで、複雑な動きが可能になる!
さて、思ったより少ない力で動き出してしまうと前述しましたが、<競技用の車いす>にはどんな秘密が隠されているのでしょうか。
激しく動くことを前提に考えられた<競技用車いす>には、余計なものが付いていないため軽く、より操作性を上げるために体にフィットするように作られています。ベルトで選手と車いすは固定してあり、ほんの少しの体重移動だけでも車いすが回ってしまったり、前に進んでしまうこともあります。手でタイヤを漕ぐことなく、“腰の動き”だけで車いすを動かすことを「腰こぎ」と呼び、車いす操作がうまい人は「腰こぎ」のみでテニスコート一周するスゴ技も!
直進だけでなく曲がることもできてしまうので、初めて見た時は魔法のように感じました。もし見てみたい方は、選手のウォームアップなどを観察してみましょう。運が良ければ見られることも…。基本的には<日常用の車いす>ではできない動きなので、生で見れたらラッキーかもしれません。
大まかにテニスで使用する車いすのご紹介をしましたが、なんとなくイメージが湧いたでしょうか?
<競技用の車いす>は人それぞれの特徴があり、メカニックのこだわりもある奥深いギアなので説明しきれない部分がたくさんありますが、プレーとの関連性にも注目してもらえたら面白いかと思います。
またの機会に、具体的な競技用車いすの特性についてもご紹介しますので、興味のある方はぜひご覧ください!
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