黒田博樹が2016年を最後に現役を引退した。高い投球技術は投手陣のお手本となり、黒田もまた積極的に若手投手にアドバイスを送った。さらに、練習から手を抜かず、チームのために戦う姿は、チーム全体の模範となった。■黒田が若手投手陣に残した数々のア…

黒田博樹が2016年を最後に現役を引退した。高い投球技術は投手陣のお手本となり、黒田もまた積極的に若手投手にアドバイスを送った。さらに、練習から手を抜かず、チームのために戦う姿は、チーム全体の模範となった。

■黒田が若手投手陣に残した数々のアドバイス

 黒田博樹が2016年を最後に現役を引退した。日米通算203勝。ドジャース時代の2010年から、昨季まで7年連続で2ケタ勝利を達成するなどの実績はもちろん、それ以上にチームに残した功績は大きい。

 高い投球技術は投手陣のお手本となり、黒田もまた積極的に若手投手にアドバイスを送った。さらに、練習から手を抜かず、チームのために戦う姿は、チーム全体の模範となった。

 特に大きな影響を受けたのは野村祐輔だ。15年は5勝8敗に終わっていた野村は、黒田の投球術を参考に完全復活。16勝3敗で最多勝、最高勝率に輝いた。

 黒田と同じくシュート系のボールを得意としていた野村。近年は効果的に使えなかったが、黒田のアドバイスで強気に内へ投げ込むようになった。結果、バッターの芯を外し、凡打に打ち取る率が上がった。

 またプレート板の踏む位置を三塁側から黒田と同じ一塁側へ変えた。右打者の内角へのシュートに角度をつけられるようになった。元々新人王を受賞したこともある、潜在能力の高い投手。必要だったきっかけを、黒田が与えた形だ。

■成績はもちろん精神的支柱として見せた黒田の存在感

 他にも、大瀬良大地には当時悩んでいた体重移動について助言を、なかなか殻を破れない福井優也には「試合を作ることに集中しろ」と、精神面でのアドバイスを送った。ルーキーの岡田明丈にも登板前の調整法などを伝えたこともあった。

 これらはほんの一角に過ぎない。生きたお手本と共にプレーするだけで、得られたものは大きかったはずだ。また同時にあれだけの選手に必死でプレーする姿を見せられては、若手が弱音を吐けるはずがない。ドジャース時代にはサイ・ヤング賞左腕クレイトン・カーショーが黒田から大きな影響を受けたことはよく知られている。

 3年ぶりに黒田不在で迎えるシーズン。野村や福井には成績はもちろん、黒田のようなリーダーシップの発揮も求められるだろう。真価を問われる1年になるのは間違いない。