堅守。ファイナルマッチに向け、その強みを再確認する。 日本選手権2連覇を目指すパナソニックは1月24日、5日後の同決勝戦(東京・秩父宮ラグビー場)に向けて本格始動した。群馬・太田のクラブハウスとグラウンドで、ミーティングとトレーニングを実…

 堅守。ファイナルマッチに向け、その強みを再確認する。

 日本選手権2連覇を目指すパナソニックは1月24日、5日後の同決勝戦(東京・秩父宮ラグビー場)に向けて本格始動した。群馬・太田のクラブハウスとグラウンドで、ミーティングとトレーニングを実施。2016年の日本代表でも先頭に立ったHOの堀江翔太主将は、「個人としても組織としても、いい状態で迎えたい」と意気込む。

 対するサントリーは今季、国内最高峰のトップリーグ(TL)を15戦全勝で制している。TL3連覇中だったパナソニックは、9月17日の第4節で15-45と敗れた(秩父宮)。リーグ戦、日本選手権準決勝と直近の5試合でゲーム主将を務めるFLの布巻峻介は、当時の黒星をこう捉えていた。

「大きな考え方で言えば、我慢強さ、粘り強さが…(足りなかった)。(決勝戦でも)僕らの上手くいかない時間帯は来る。そういうなかで、粘り強くトライをされないように…」

 フォーカスポイントは、組織的な守備か。筑波大4年生ながら史上初の大学生トップリーガーとなったSOの山沢拓也は、「いろいろなスキルも必要になってきますが、なかでもディフェンスが鍵になると思います。サントリーがアタッキングラグビーをするので」。今季トップリーグのベストフィフティーンに輝いたジョー・ウィーラーとマッチアップするLOの谷田部洸太郎も、「タックルでしっかりと相手を止め、すぐに起き上がって次のタックルへ行く」と言葉を重ねる。

 日本代表として58キャップ(国際真剣勝負への出場数)を持つSHの田中史朗は、クラブの伝統を踏まえて「ディフェンスが昔からの僕たちの強み。ディフェンスから、チャンスを作っていきたい」と語る。特に、日本代表で仲の良いFBの松島幸太朗を警戒する。

「あいつのカウンターアタックは世界的にも評価されている。しっかり止めていきたい」

 攻撃時は、相手のジャッカル(接点のボールに絡むプレー)を警戒したい。ここでチェックすべきは、オーストラリア代表111キャップを持つボールハンター、ジョージ・スミスか。田中も「ジョージのジャッカルには注意をしたい」と応じる。

 同じFLの位置で対峙しそうな布巻は、味方ランナーへの素早いサポートを徹底したいという。

「パナソニックにとっては脅威の選手。排除しなくてはいけない。それを自分が(遂行)できるのは楽しみですが、まずはチームとして(スミスにジャッカルをさせないプレーを)徹底したい」

 強豪同士の最終決戦。1つひとつの接点でのつばぜり合いなど、細かな出来事が勝負を分けうる。2年目の今季は念願の代表デビューも果たした布巻が、こうも続ける。

「相手が上手くいくであろうと思っている部分の、ちょっとしたところへ、入っていく。そうしてリズムを崩したいです。(接点で)ボールが出るだろうと思っているところを出させない、とか、相手が強いと思っているであろうスクラムを押されない、とか…。(想定と現実の)ずれを生じさせたい」

 堀江と同級生である31歳の林泰基は、おもにインサイドCTBを任される。ここまでSOの山沢、アウトサイドCTBのリチャード・バックマンといった新加入選手の間に入ってきた。多彩なタレントの集まりを一個の生命体とすべく、細やかな連携を心掛ける。

「パナソニック(のラグビーの仕組み)をわかっているメンバーが、(攻守の陣形などの)フォーマットを整える。そうすると、能力の高い選手は自然と活きる。僕らは声を出すことを基礎としてやってきた。それが本当に生命線だということも、それをすれば(チームが)上手くいくこともわかっている」

 伝統の「守」り、勝負所での「細」かい部分へのこだわり、何より味方の判断を助ける「声」で、大一番を制したい。(文:向 風見也)