オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)の大会8日目は男女シングルスのボトムハーフの4回戦が行われ、ベスト8がすべて出揃った。 第11シードのダビド・ゴファン(ベルギー)が第8シードの…

 オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)の大会8日目は男女シングルスのボトムハーフの4回戦が行われ、ベスト8がすべて出揃った。

 第11シードのダビド・ゴファン(ベルギー)が第8シードのドミニク・ティーム(オーストリア)に5-7 7-6(4) 6-2 6-2で逆転勝ち。第15シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)はワイルドカード(主催者推薦)のデニス・イストミン(ウズベキスタン)を2-6 7-6(2) 6-2 6-1の逆転で下した。

 第3シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)は第13シードのロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)に1セットを奪われたものの7-6(6) 3-6 6-4 6-1で後半は力を発揮。第9シードのラファエル・ナダル(スペイン)は第6シードのガエル・モンフィス(フランス)を6-3 6-3 4-6 6-4で退け、一昨年の全仏オープン以来の準々決勝進出を決めた。

 女子は第2シードのセレナ・ウィリアムズ(アメリカ)、第9シードのジョハナ・コンタ(イギリス)、第5シードのカロリーナ・プリスコバ(チェコ)といずれも優勝候補の一角に挙げられていた上位シードが8強へ駒を進める中、異色の勝者は34歳のミリヤナ・ルチッチ バローニ(クロアチア)だ。グランドスラムのベスト8進出は、ベスト4入りした1999年のウィンブルドンに次ぐ好成績となった。

 16歳だったルチッチの快進撃はもう18年も前のことで、身体的・経済的な事情で一時はツアーを離れ、丸7年もグランドスラムの本戦から遠ざかり、復帰してからも過去2年は一度も3回戦を突破できなかった。しかし今大会は、2回戦で第3シードのアグネツカ・ラドバンスカ(ポーランド)を破り、その後はシードと対戦することなく、4回戦では予選上がりのジェニファー・ブレイディ(アメリカ)に6-4 6-2と快勝した。

 36歳のビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)、35歳のセレナ、そして34歳のルチッチ。2つの世紀にまたがって活躍する彼女たちの独特のパワーに、20代半ばの中堅どころが次代の力をアピールすることができるのか。今後の成り行きもおもしろくなってきた。    ◇   ◇   ◇

 トップ2シードが消えた男子シングルスで、かつての〈2強〉に熱い視線が注がれている。半年のブランクの間に35歳になったロジャー・フェデラー(スイス)は第5シードの錦織圭(日清食品)を4回戦でフルセットの末に破り、この日は第9シードのナダルが続いた。

 自分よりも上位の第6シード、モンフィスに対し、6-3 6-3で2セットを連取したナダルだが、第3セットは第9ゲームでブレークを許す。直後のゲームでトリプルのブレークポイントがあったが、時速210km台のサービスを連続して叩き込まれてデュースにもち込まれ、ダブルフォールトでもらったアドバンテージも生かせなかった。

 第4セットは第5ゲームでモンフィスがブレークするが、ナダルが第8ゲームでブレークバック。5-4の第10ゲームで握ったマッチポイントの2度目を、ラリー戦に勝ってものにした。

 プレーの派手さはモンフィスがまさる。エースはナダルの2本とは比較にならない15本を放ち、ウィナーはナダルの2.5倍の52本。しかし同時に、ダブルフォールトも10本、アンフォーストエラーもナダルの倍以上という内容で、要所でナダルの集中力が上回った。

 グランドスラムの準々決勝進出は一昨年の全仏オープン以来。その全仏で6連覇の道を塞いだのはジョコビッチだったが、それ以降、ナダルが大事な舞台で敗れてきた相手はジョコビッチやマレーではない。20位以下、ときには100位以下の選手だった。過去2年、対ジョコビッチに7連敗という成績で喪失していった自信は、格下に取りこぼす結果を招いた。

 「もう一度グランドスラムの準々決勝に戻って来られて最高だ。シーズンをこんなかたちでスタートできてすごくうれしい」

 今年コーチについた元王者のカルロス・モヤ(スペイン)も、「試合を重ね、自信を取り戻せば、またグランドスラムの優勝を狙える」と確信を込める。準々決勝の相手は、そのモヤが昨年コーチしていた選手、前哨戦のブリスベンで敗れた相手でもあるラオニッチ。見逃せない一戦だ。

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 なお、ジュニアの日本勢は、第14シードの内藤祐希(TEAM YONEZAWA)が2回戦でルクセンブルクの予選上がりの選手に逆転勝ちし、ベスト16に駒を進めた。内藤は台湾の選手と組んだダブルスでも1回戦に勝利した。タイの選手と組んだ永田杏里(チェリーTC)も前日のシングルスに続いて初戦を突破している。

(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)