フェデラーには「甘いボールを一球も打てない」と錦織 [全豪オープン]

　オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」（1月16～29日／ハードコート）の男子シングルス4回戦で、第5シードの錦織圭（日清食品）は元世界1位で第17シードのロジャー・フェデラー（スイス）に7-6(4) 4-6 1-6 6-4 3-6で敗れた。

　試合時間は3時間24分。

　第1セットの出だしはミスが多いフェデラーに対して、錦織は落ち着いてプレーした。4-1、5-2と錦織がリード。しかしフェデラーが徐々にプレーを落ち着かせてタイブレークまでもち込む。錦織はそのフェデラーより攻撃的に出て、7-4でセットを先取した。

　フェデラーは第1セットでの挽回を、続くセット連取へつなげた。サービスの調子を上げていき、第2、第3セットでは一度もサービスゲームを落としていない。一方の錦織は第2セット第7ゲーム（ファーストサービスの確率は8本中3本、ダブルフォールあり）と第3セット第3ゲーム、第5、第7ゲームでサービスを落とした。セットカウントはフェデラーから2-1に。

　第4セット第4ゲームで、ふたたび錦織にサービスダウンのピンチが訪れた。合計20ポイントのやりとりの中には2度のブレークのピンチがあったが、逃れてキープ。すると第5ゲームで錦織に突破口が開ける。フェデラーのセカンドサービスを錦織がとらえてバックハンドのリターンエースを決めると、続いてフェデラーがスマッシュミスとボレーミスを重ね、第1セット以来、3ゲーム目のブレークに成功。錦織がセットを取り返し、セットカウント2-2となった。

　第5セット第1ゲームでフェデラーがダブルフォールトをおかしたときは、錦織に流れが行くかと思われた。だが、サービスポイント、さらにサービスエースと2本続けて決めたフェデラーがキープ。すると第2ゲーム、錦織のサービスにプレッシャーがかかる。フェデラーは錦織のサービスを読み、リターンをクリーンヒット。さらに配球で揺さぶりをかけ、錦織がバックハンドで3本のミスをおかすなど、このゲームを落とした。

　第3ゲームをフェデラーがすんなりキープしたあとで、錦織がメディカルタイムアウトをとり、左腰周辺の治療を受ける。

　第4ゲームで、またも錦織がサービスダウンのピンチを迎えるが、ここは耐えた。ここまで、どのゲームにも錦織に反撃するチャンスがあるように見え、緊迫の時間が続いたが、終盤に入るとフェデラーが高いレベルへ到達。自身のサービスゲームでは、第1ゲームこそデュースとなったが、以降、第3、第5、第7ゲームは40-15、第9ゲームは40-0と、それ以上ポイントをプレーせず。錦織はワンゲームダウンのまま、敗れることとなった。

　以下は錦織の試合評。

 「（フェデラーは第1セット）5-2から格段とプレーがよくなり調子を上げてきた。出だしはミスが多かったが修正してきて、自分のミスも相次いで5-5とされたのがよくなかった。（引き離していれば）セカンドセットの入り方が違ったと思う」

「（第1セットをリードしたが）いずれサービスが入ってくるだろうと思った。ミスが減って、リズムが合ってくれば危なくなると感じていた」

「常にプレッシャーをかけてくるテニスを、第2セットから感じていた。サービスもよく、リターンも攻められ、前にくるタイミングもいい。後半、先にブレークされたが、耐えていれば内容が変わったかもしれない」

 「（フェデラーは）ほかの選手より明らかに展開が早い。甘いボールを一球も打てないので、ほかの選手より難しい」

「（4回戦敗退について）もったいないとしか言いようがない。マレーも負けてチャンスはあったので、物足りない」

　錦織とフェデラーの対戦成績はフェデラーから5勝2敗となった。前回対戦は2015年11月のATPツアー最終戦（イギリス・ロンドン／室内ハードコート）のラウンドロビンで、フェデラーから7-5 4-6 6-4。今回グランドスラムで初対戦し、5セットマッチで初めて戦った。

　錦織は全豪オープンに7年連続8度目の出場。2012、2015、2016年にベスト8に進出。昨年は優勝したノバク・ジョコビッチ（セルビア）に3-6 2-6 4-6で敗れた。

　フェデラーはグランドスラム17度優勝の最多記録を誇る元世界1位。全豪は2004、2006、2007、2010年に優勝している。昨年は準決勝で優勝したジョコビッチに敗れた。全豪で5度目、グランドスラムで18度目の優勝を目指し、次の準々決勝ではミーシャ・ズベレフ（ドイツ）と対戦する。ズベレフは4回戦で、大会初優勝を目指した世界1位のアンディ・マレー（イギリス）を7-5 5-7 6-2 6-4で破って勝ち上がった。

（テニスマガジン／Tennis Magazine）