2020年、大日本プロレスの最俠タッグトーナメントに参戦し準優勝。2.7湯けむり天然温泉プロレスで、高木三四郎、ばってん×ぶらぶらとの3WAYマッチを制し待望のシングルベルトDDT EXTREME級王座を初戴冠。今DDTでノリに乗っている選…

2020年、大日本プロレスの最俠タッグトーナメントに参戦し準優勝。2.7湯けむり天然温泉プロレスで、高木三四郎、ばってん×ぶらぶらとの3WAYマッチを制し待望のシングルベルトDDT EXTREME級王座を初戴冠。今DDTでノリに乗っている選手の1人だ。その勝俣は2.28後楽園ホールにてDDT EXTREME級王座をかけてDDTサウナ部のMAOと同門対決を行う。


<前編はこちらから>


--勝俣選手は、いつ頃からサウナに興味があったのですか?
勝俣瞬馬(以下 勝俣):以前、DDTが運営しているベストストレッチで働いている時、平田一喜さんから「サウナと水風呂は健康に良いよ」と教えて貰いましたが、ハマるほどではなかったです(苦笑)。
2019年7月熊本大会の時、竹下(幸之介)に西の聖地と言われるスーパー銭湯「湯らっくす」があるから行こうと誘われました。当時、竹下が「サ道」というサウナ好きのドラマにハマっていました。
そして「湯らっくす」に一緒に行った時、サウナの入り方やアウフグースという蒸気を熱波師により扇がれ、熱い空気を浴びることを体験しました。それから東京に戻ってきて、都内の色々なサウナに行くようになりました。だからサウナ好きになって、まだ1年半位ですね。

--好きなことが仕事になるって、すごいことですよね。
勝俣:初めて熱波師を見た時、プロレスを初めて見た時と同じ感動を受けたんです。「メチャクチャ、俺も扇ぎたい」と(笑)。
その後、熱波師の資格やサウナ・スパプロフェッショナル、サウナスパ健康アドバイザー等、資格を取得しました。

--熱波師は大きなタオルで扇いでくれる人ですよね?
勝俣:そうです。僕は10代の頃から好きなことを仕事にしたいと思っていました。それでプロレスが好きでプロレスラーになりました。サウナも好きになって「これは仕事にしたい」と思ったらオーナーさんとの出会いがあった。

--DDTは選手の思いを汲んでくれる団体ですよね。団体内で「DDTサウナ部」を作ることもスゴイですし、好きなサウナを仕事にしたいと夢を形に変えることも素晴らしい。この1年、勝俣選手には驚かされることばかりです(笑)。
勝俣:もはやレスラーなのか、サウナ屋さんなのか分からないという(笑)。

--その勝俣選手のサウナ好きがプロレスに反映されたのが、2.7熊本城天然温泉 城の湯での「湯けむり天然温泉プロレス」でしたね。45分間の死闘で、高木大社長が後半苦しそうでした(苦笑)。
勝俣:高木さんがバテてたところ、最後サウナ室で戦い追い討ちをかけたという(苦笑)。

--あれだけ広い施設で、高木さん・ばってん×ぶらぶら選手と3WAYマッチを行っていかがでしたか?
勝俣:メチャクチャ楽しかったですね(笑)。路上プロレスや広い場所は、「プロレス頭」が試されるんです。戦うだけではなく、一つ一つの行動だったり言葉だったり。
今回は城の湯さんのロケーションに、高木三四郎・ばってん×ぶらぶら・勝俣瞬馬という3人がピタリとハマったと思います。だから45分間という戦いが成立しましたね。

--施設自体も広く様々な部屋がある中、階段シーンでは大林宣彦監督の映画「転校生」のオマージュがあったり、最後のサウナ室でのラダー使用であったり45分間を感じさせない、面白い試合展開でした。
勝俣:ラダーは、こっそり用意しておいたんですよ。最後に使ってやろうと(笑)。サウナ室の「床が熱くて呼吸がしにくい」という特徴を、使えるのか使えないのか…それが路上プロレスの醍醐味ですね。

--サウナ室でのDDTは痛そうでした(苦笑)。ところで施設の使い方は、事前に想定しているのですか?それとも瞬間的な閃きですか?
勝俣:基本、瞬間の閃きですね。ただ下見をした時、「こんなことは出来るかな」と頭の片隅に入れてイメージしておきます。そして試合の時、思いついたことを実行します。路上プロレスは、基本そんな感じですね。

--最後、お風呂場にあったヒヨコにMAOさんを投影し、指名したのも閃きですか?
勝俣:そうです。たまたまヒヨコの人形があって、「MAO、ヒヨコの人形使っているな…」と思って語りかけました(笑)。

--そういった機転が利くかどうか。瞬間的に咄嗟にできるところが素晴らしいですね。とにかく熊本での戦いを制してDDT EXTREME級王座を手にしました。EXTREMEはタイトルマッチの試合形式をチャンピオンが決めることが出来るので、王者によって価値が変わる個性的なベルトだと思いますが、勝俣選手はどういった戦いをしたいのか教えていただけますか?
勝俣:(少し考えて…)まず「自分のやりたいことをやる」、そして「自分がそれを楽しむ」。僕、シングルのベルトを獲得したのが初めてなんです。今まで経験してきたことを出しながら、このベルトの価値をあげていきたいと思っています。もちろんDDTで育ってきたので「DDTらしさ」は意識しますけど。

--勝俣選手の自分らしさ、一つは「ハードコア」、そして「サウナ」があります。それ以外に求めていくものはありますか?
勝俣:やっていく途中で、新しいものに出会うことはあると思います。新しく作ることもあると思います。ただ、今回は「今の勝俣瞬馬」を全て見せたいと思っていますね。もちろん新しいことにも挑戦していきたいと思っていますけど。

--勝俣選手がDDT EXTREME級王座を戴冠したのは、偶然ではなく必然で何か意味があるような気がします。これまでとは違うEXTREMEの闘いが行われるような気がしてワクワクします。そして初防衛戦の相手が、なんとMAO選手。それも勝俣選手から指名しましたね。
勝俣:MAOとは2年くらいキャリア違いますが(勝俣選手が先輩)、MAOのデビュー2戦目の相手をしましたけど負けたんです。あいつとは、これまで5回シングルマッチをして、全て負けています。
DNA甲子園で負けて、2019年8月名古屋のブロック玩具ハードコアマッチでも負けて、後楽園でのMAOの凱旋帰国試合でも負けて、昨年11.3大田区のMAOの復帰戦でも負けて…全部負けてきました。それにMAOは、僕のやりたかったことを全部やってきたんですよ。
MAOは高木さんと抗争していた時期があって、それを見ていて僕は悔しかった。MAOは高木さんを相手に好きなことをしていて、「あいつ、面白いことやってんな」と嫉妬していましたね。
その中で何度か戦うことがありましたが勝てない。でもMAOとの試合では自分がやりたいことができるんですよ。手が合うというか。
その中で、「もし俺がDDT EXTREME級王座を獲ったらMAOとやりたい」という気持ちがずっとありました。だったら今、僕のやりたいこともMAOに出せるし、あいつも僕が相手だったら何でもできると思ってくれていると思うんで、自分たちが楽しいと思える試合、これを見てお客さんが楽しんで貰える試合ができると思ってMAOを指名しました。

--僕は勝俣選手がDDT EXTREMEのベルトを獲得した時、MAO選手を指名するのは、何度か防衛した後だと勝手に思っていました。ただ今のお話を聞いて、これまでのEXTREMEの闘いとは違う、新たな景色を見せてもらえそうな気がしています。
勝俣:僕は同世代の中でMAOを「EXTREME」だと思っているんですよ。だから、一発目でこいつを倒さないとチャンピオンとして今後闘う時、自分の中で納得しないんじゃないかな、と思うんです。
MAOを超えてこそ、DDT EXTREMEのベルトの価値が上がるんじゃないかなと思ったんですよ。だからこの試合、過去を振り返ったら勝率的に0%だし、正直勝てるか分からない。初防衛戦でベルトを失うかもしないですけど、MAOとやりたかったんですよね。

--かなり熱い初防衛戦になりそうですね。そしてその舞台が後楽園のメインイベントです。
勝俣:過去、DNAでは後楽園ホールで上野とメインで戦った時がありますが、DDT本体のメインというのはデビューしてからDDTの後楽園を見てきて、「いつか立ってみたい」とずっと憧れていたので、緊張もしますけど楽しみの部分もある。
自分が勝った時に後楽園のメインを締められるのか…等、いろいろ考えます。後楽園のメインに立てる人って選ばれた人しか立てないじゃないですか。「やっと自分のプロレスキャリアで後楽園のメインに立てるようになったんだ」と思いました。

--今の勝俣選手が、昨年5月クリス・ブルックス戦に挑む前の勝俣選手に言葉を送るとしたら、どんな言葉を送りますか?
勝俣:「とにかく自分を信じてプロレスを楽しめ!」ですかね。

--あの頃は、プロレスを楽しめるかどうか、ちょうど狭間の時期でしたか?
勝俣:そうですね。コロナになって緊急事態宣言が明けた時期ですから。でも難しいですね、過去の自分に言葉を送るのは(苦笑)。

--前回の取材も、今回と同じようにZoomでお話を伺いました。現在の勝俣選手が「自分に自信がある」というのが画面を通じて感じることができます。前回は暗中模索というか、「どこか手探り状態」だったように感じました。それが今回は余裕があって、レスラーとして充実している様子が伺えます。
勝俣:このコロナが自分を強くしてくれました。逆境をプラスにできたかと思っています。自粛期間中もプロレスとは違う生配信をしてお客さんに楽しんでもらったり、無観客試合も経験して心が強くなりましたね。

--自粛期間をプラスに捉え心身ともに強くなった勝俣選手が、2.28後楽園でMAO選手を指名したわけですが、そのMAO戦はどういう気持ちで臨みますか。
勝俣:「今までの俺とは違うぞ」というのをMAOにぶつけます。こんな世の中だからこそ、みんなが明るくなれる試合をやりたいし、そんな中でMAOを超えてDDT EXTREMEの価値を上げていきたいと思うので「俺たちしかできない試合をしよう」という気持ちで臨みます。

--そして最後に会場に来てくれるお客さんとWRESTLE UNIVERSEで観戦してくれるファンの方にメッセージをお願いします。
勝俣:会場に来てくれる方、WRESTLE UNIVERSEで観戦してくれる方、見てくれるだけで僕の力になります。会場では声は出せないけど、居てくれるだけで応援になります。
常に全力を出して毎回戦っていますが、今回は特に「ぶっ壊されてもいい」という気持ちでタイトルマッチに臨みます。そして僕たちの戦いを見て、何か一つでも感じてもらえれば嬉しいですし、元気になってもらえたらメチャクチャ嬉しいです。
こんなご時世だからこそ、僕たちの戦いを見て笑って楽しんでもらえたら良いと思います。だから2.28後楽園、応援宜しくお願いします!

<インフォメーション>
第50代DDT EXTREME級王者の勝俣瞬馬選手が、挑戦者のMAO選手を指名した初防衛戦が2.28後楽園ホールで行われます。初めてDDTのメインイベントのリングに立つ勝俣選手。詳細はこちらをご確認ください。→https://www.ddtpro.com/schedules/14978
また2.28後楽園大会の模様は、動画配信サービス「WRESTLE UNIVERSE」でLIVE配信されます。→https://www.ddtpro.com/universe

勝俣瞬馬 Twitter →https://twitter.com/k_shunma_ddt
勝俣瞬馬 Instagram →https://www.instagram.com/k_shunma/
勝俣瞬馬 YouTube→ https://www.youtube.com/channel/UCTxPKeihfEoehArNS0mHfug
DDTサウナ部 Twitter →https://twitter.com/DDT_SaunaClub

勝俣瞬馬選手が総支配人を担当するサウナ小屋『Sea Sauna Shack』は3月下旬のオープンを予定しています。詳細はこちらのウェブサイトをご確認ください。→http://sea-sauna-shack.com
Sea Sauna Shack Twitter →https://twitter.com/sea_sauna_shack?s=21


文・編集/大楽聡詞
写真提供/DDTプロレスリング