品行面で問題を抱えるテニスプレーヤー、ニック・キリオス(オーストラリア)は、全豪オープン2回戦でのアンドレアス・セッピ(イタリア)に対する“味のある”敗戦のあと、「間違いなく、コーチを持つことから実りを得られるだろう」と認めた。 アンド…
品行面で問題を抱えるテニスプレーヤー、ニック・キリオス(オーストラリア)は、全豪オープン2回戦でのアンドレアス・セッピ(イタリア)に対する“味のある”敗戦のあと、「間違いなく、コーチを持つことから実りを得られるだろう」と認めた。
アンドレ・アガシ(アメリカ)はキリオスにある種の親近感を覚えているが、自分はコーチに適任ではないと言う。
「今のところ時間が、それができない問題点だね」
アガシはメルボルンでのビデオを介してのニュース・カンファレンスで、ラスベガスからコメントした。
アガシによれば、もうひとつ理由がある。もしアガシが誰かをコーチするならば、それは学びたいと望んでいる選手でなければならないからだという。
「キリオスは若い。また彼は興味深い人間だ。理解するために、より多くの時間をともに過ごす必要のある人物だよ」とアガシ。「彼が誰と働くことになろうと、彼の側に成長したいという意欲があるよう願っている」。
キリオスは全豪2回戦でのセッピに対する5セットマッチの間に、ときどき精一杯力を尽くしていないように見えたため、ブーイングを受けていた。セッピが、これをキープすれば勝利というサービスゲームに入ったとき、キリオスは何の理由も必要性もない場面で、足の間からリスクの高いショットを打ちさえしたのだ。
試合にほぼ勝ちかかっていたにも関わらず、キリオスは、その振る舞いを批判された。自身、選手時代にコート上での落ち着きや、いい振る舞いで知られていたわけではないジョン・マッケンロー(アメリカ)は、ヨーロッパのテレビで解説を行っているときに、キリオスは「テニスにとっての恥だ」と言った。
昨シーズンの上海で、勝とうという努力を怠ったと判断されたために出場停止処分を受けていたキリオスは、コーチを持つことで実りを得られるかもしれないと気づいた、と話していた。
「これは明らかに僕がより真剣に考え始める必要のある分野だと思う」とキリオス。「トップ100位以内でコーチのいない選手は、僕以外には誰もいないのではないかと思う。これは変える必要があるだろう」。
アガシは、やることなすことを監視され、批判されていることについて、キリオスの状況に置かれた者の気持ちを理解することができるはずだ。アガシもまた一度は、彼の有名なCM『イメージがすべてだ』風のキャラクターを嫌われ、真剣さが欠如していると思われていたことがあった。
「僕はキリオスのバックグラウンドを知らない」とアガシ。「僕は自分が自分を守るために演じていた役よりも、ずっと気遣いや関心のある人間だった。あれ(過去のふるまい)は、自分から自分を隠すための僕なりの方法だったんだ。そして僕は長く辛いプロセスを通し、そのことと折り合いをつける必要があった」。
「僕が体験した旅は、人の苦闘がいかに深くなり得るか、同時にどれほどよいものが存在しうるかについて大いに教えてくれた」
アガシはまた、キリオスがテニスを愛していないと認めたことは、実際にはいいことかもしれないと言い添えた。アガシもまた、テニスを嫌っていたが、そのことを隠し続けていたのだ。
「僕は実際、彼がそのことを進んで認めたということに心を動かされ、励まされた。なぜなら僕の場合は長いことあった、僕のその特殊な感覚を理解するのに長い時間を要したし、間違いなく、その感情の最中にいるときにそれについて口に出して言う必要性を感じていなかった」とアガシは言った。
しかしながら、コーチということに関しては、アガシは選手がキリオスであれ誰であれ、その役に足を踏み入れる準備はないと言う。それでも彼はその考えに対し、完全にドアを閉めようとはしなかった。
「僕は自分が信じていることを誰かに押しつけることには興味がない」と言った。
「僕は、自分たちをよりよくしたいと願う誰かの意欲には大いに興味がある。そして、ともすれば僕を、彼らがそのステップを踏むことを助ける伝達手段とすることにも。これらは僕をコーチすることから遠ざけるか、あるいはいずれやることにさせるか、仕事に関わる2つの構成要素なんだ」。(C)AP