第1シードの現世界王者で、ここ「全豪オープン」で最多8回の優勝記録を持つ…
第1シードの現世界王者で、ここ「全豪オープン」で最多8回の優勝記録を持つノバク・ジョコビッチ(セルビア)と、予選勝ち上がりでグランドスラム本戦初出場の世界114位アスラン・カラツェフ(ロシア)の初対戦。【写真】ジョコビッチとカラツェフの比較表
だがジョコビッチは怪我の影響か、ここまでの5試合でストレート勝ちは1回戦の元世界25位ジェレミー・シャルディ(フランス)戦だけ。2回戦の世界64位フランシス・ティアフォー(アメリカ)、4回戦第14シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)、準々決勝第6シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)にはいずれも4セットでの勝利。3回戦第27シードのテイラー・フリッツ(アメリカ)戦ではフルセットを戦い、試合時間の合計は14時間52分。
対するカラツェフは、第8シードだったディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)との3回戦を含む最初の3試合にストレート勝利。4回戦第20シードのフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)にはフルセットで、準々決勝では不運にも怪我をしてしまった第18シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)に4セットで勝利しており、試合時間の合計は11時間ちょうどと、ジョコビッチよりも4時間近く短い。
ジョコビッチはこれまで「全豪オープン」で8回準決勝に進出し、8回とも勝利。その後の決勝でも勝利しており、つまりこの大会で準決勝まで勝ち進めば、必ず優勝している。
グランドスラムでの準決勝の戦績は通算で27勝11敗だが、最近14回中13回に勝利しており、1敗は2019年「全仏オープン」でのドミニク・ティーム(オーストリア)戦だった。
過去にグランドスラムで19回、そのうち「全豪オープン」では3回、予選勝者と対戦しているが、負けたことはまだない。他の大会も含めた通算での予選勝者との対戦成績は80勝6敗。
グランドスラムで114位よりランキングの低い選手に負けたのは1度だけ。2017年「全豪オープン」2回戦で、当時117位だったデニス・イストミン(ウズベキスタン)に敗れている。
「全豪オープン」にはこれが17回目の出場で、8回の優勝だけでなく8回の決勝進出も史上最多記録。現役選手で、決勝進出回数でジョコビッチに続くのはロジャー・フェデラー(スイス)の7回、ラファエル・ナダル(スペイン)とアンディ・マレー(イギリス)の5回。
グランドスラムは63回目の出場で、もし今日勝てば28回目の決勝進出となり、これはナダルと並んで歴代2位タイ。決勝進出回数最多はフェデラーの31回。
グランドスラムでの勝利試合数は今大会ここまでの5試合を含めて301勝45敗。これはフェデラーの362勝59敗に次ぐ歴代2位。3位はナダルの286勝40敗。
「全豪オープン」はもちろんジョコビッチの最も得意とするグランドスラムだ。ここでの成績は優勝8回、通算80勝8敗、決勝進出8回。優勝回数を基準にすれば、以下は「ウィンブルドン」の優勝5回、72勝10敗、決勝進出6回、「全米オープン」の優勝3回、75勝12敗、決勝進出8回、「全仏オープン」の優勝1回、74勝15敗、決勝進出5回となる。
フリッツとの3回戦の勝利により、キャリア通算での5セットフルセットでの勝敗は33勝10敗。これは勝利数で歴代3位タイ。1位はイリー・ナスターゼ(ルーマニア)の38勝19敗、2位イワン・レンドル(アメリカ)の36勝22敗、3位タイの他2人はピート・サンプラス(アメリカ)の33勝15敗、マリン・チリッチ(クロアチア)の33勝17敗。
またグランドスラムでは5セットフルセット30勝9敗となり、勝利数で歴代1位のフェデラー(30勝17敗)と並んだ。
2020年、ジョコビッチは「全仏オープン」決勝でナダルに0-6、2-6、5-7で敗退。ジョコビッチがグランドスラム決勝で0-6でセットを取られたのはそれが初めてのことだった。「全米オープン」では4回戦のパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)戦の途中で、誤って線審にボールを当ててしまい失格となっている。
また2020年の「ATP500 ドバイ」「ATP1000 ウェスタン&サザンオープン」「ATP1000 ローマ」で優勝。すべてのATP1000大会で2度以上の優勝を遂げているのはジョコビッチだけだ。
今大会前には前回覇者として国別対抗戦「ATPカップ」に出場。デニス・シャポバロフ(カナダ)とズベレフから勝利を挙げたが、セルビアはグループステージで敗退した。
通算81回の優勝は、オープン化以降ではジミー・コナーズ(アメリカ、109回)、フェデラー(103回)、レンドル(95回)、ナダル(86回)に次ぐ5位。
さらにジョコビッチは3月8日のランキングで世界1位在位通算311週となり、歴代最多のフェデラーを抜くことが確定した。
一方のカラツェフは、テニスのオープン化以降初となる、グランドスラム本戦初出場での決勝進出を目指している。その点で1つカラツェフに有利なことは、今回はコロナ対策のため予選が2週間の隔離期間前に行われたことだ。通常であれば予選は本戦開始の前週に行われるので、予選通過者は他の選手たちより疲労が蓄積しているが、今回はそれはない。
またグランドスラム本戦初出場で決勝に進出した選手は過去におらず、準決勝に勝ち進んだのもカラツェフが初。「全豪オープン」初出場で決勝に進出した選手は過去に8人いた。
114位での準決勝進出は、「全豪オープン」では1991年に同じく114位だったパトリック・マッケンロー(アメリカ)以来の低いランキング。グランドスラムでは2001年「ウィンブルドン」で125位だったゴラン・イバニセビッチ(クロアチア)以来である。自己最高ランキング2位のイバニセビッチはワイルドカード(主催者推薦枠)で同大会に出場し、優勝した。なお、現在はジョコビッチのコーチを務めている。
ロシア人男子選手でこれまでに「全豪オープン」決勝に進出したのは2人、エフゲニー・カフェルニコフ(1999-2000年)とマラト・サフィン(2002年、2004-05年)。もしも決勝がカラツェフ対ダニール・メドベージェフ(ロシア)になれば、グランドスラム男子シングルスでは初のロシア人対決となる。
カラツェフのこれまでの自己最高ランキングは111位だったが、来週のランキングでは初のトップ50入りとなることが既に確定している。今日の試合で敗れたとしても42位、準優勝なら28位、優勝すれば14位となる。
4回戦のオジェ アリアシム戦は、カラツェフのキャリア初の5セットフルセット戦で、初勝利だった。
予選1回戦では世界133位のブランドン・ナカシマ(アメリカ)に6-2、6-7(4)、6-2で、2回戦では世界237位のマックス・パーセル(オーストラリア)に6-1、6-2で、3回戦では世界210位のアレクサンドル・ミュレー(フランス)に6-2、6-1 で勝利。27歳のカラツェフにとってグランドスラム予選出場は10回目で、本戦出場が叶ったのは今回が初めてだった。
2020年は、「全仏オープン」予選は3回戦敗退。グランドスラムの予選出場は2016年「全米オープン」以来だった。また「ATP500 サンクトペテルブルク」で2016年以来となるツアーレベルの大会にワイルドカードで出場。1回戦で世界48位だったテニス・サングレン(アメリカ)を破り、ツアーレベルでの通算2勝目を挙げた。その後「ATP250 ソフィア」にもワイルドカードで出場し、1回戦で世界115位だったダニエル太郎(日本/エイブル)からツアー3勝目を手にしている。
同年のチャレンジャー大会では、プラハとオストラバで2大会連続優勝。バンコクと、もう1つのプラハ大会で準優勝を果たした。
今大会前には「ATPカップ」でロシアチームの一員として優勝を果たしたが、カラツェフ自身はダブルスに出場し、3試合とも敗れている。
既に初めてのトップ50入りを決め、これまでに獲得した生涯獲得賞金の約61万ドル(約6400万円)よりも多い賞金(ベスト4なら約7000万円、準優勝なら約1億2300万円、優勝なら約2億2600万円)獲得が約束されているカラツェフ。体調が必ずしも万全ではない王者ジョコビッチに、どこまで食らいついていけるだろうか。
※為替レートは2021年2月18日時点
(テニスデイリー編集部)
写真はジョコビッチ(左)とカラツェフ(右)
(Getty Images)