広島の森林公園を舞台に、9月26日~27日の2日間、Jプロツアー第10、11戦となる『広島森林公園ロードレース』が開催された。コロナ禍で開催地が制限され、今季は群馬と広島のサーキットでの開催が多くなっており、前戦も同会場での開催。同じサーキ…

広島の森林公園を舞台に、9月26日~27日の2日間、Jプロツアー第10、11戦となる『広島森林公園ロードレース』が開催された。コロナ禍で開催地が制限され、今季は群馬と広島のサーキットでの開催が多くなっており、前戦も同会場での開催。同じサーキットを使っても展開が変わるのはレースの妙ではあるが、残すレースも大分2戦と経済産業大臣旗チャンピオンシップのみ。リーダー争いも佳境に差し掛かりつつある。

この日のレースは1周=12.3kmのサーキットを右回りに12周する147.6kmの設定。そして、ここまでレース出場を見合わせていたシマノレーシングが出場することになり、今季、初めてJプロツアー全18チームが揃って迎えるレースとなった。



青空の下、スタートラインに並ぶ選手たち
赤のリーダージャージは小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)が着用

フランシスコ・マンセボ(マトリックス パワータグ)がスペインから再来日を果たし、14日間の隔離期間を経て、出走することになった。過去にツール・ド・フランス総合3位、ブエルタ・ア・エスパーニャ総合3位という世界最高峰のレースでトップの成績を記録したスペイン人選手だ。チームによればスペインの日本大使館に足を運び、来日の可能性を探ってきた。そして、スポーツ選手の来日の要件が緩和されたことで参戦が可能になったという。まだ海外勢を欠いているチームもあるものの、通常時に近い布陣がスタートラインに並ぶことになった。この選手たちの中、リーダージャージを着て最前列に並ぶのは、小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)。

灼熱の8月のレースと比べると、空気もドライで快適な秋晴れの下でのレース。強豪チーム、強豪選手を加え、どのような展開になるのか?注目が集まった。



この日に誕生日を迎えた小森(マトリックスパワータグ)のアタックで3名の集団が形成された

開始早々、小森亮平(マトリックスパワータグ)がアタック。独走していた小森に風間翔眞(シマノレーシング )、門田祐介(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team)が合流して、3名の先頭集団を形成。



トンネルを抜けるメイン集団

メイン集団は宇都宮ブリッツェンがコントロールし、ここに那須ブラーゼンも加わった。1分以内の差を維持して、周回を重ねていく。



広島空港の誘導灯の下を抜ける集団

5周目に入ると、TEAM BRIDGESTONE Cyclingがメイン集団のコントロールに加わり、差を30秒まで詰める。6周目に先頭3名はメイン集団に吸収され、新城雄大(KINAN Cycling Team)、阿曽圭佑(eNShare Racing Team)、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)、畑中勇介(TeamUKYO)の4名が飛び出し、先行する。



7周目、4名が抜け出し、新たな先頭集団を形成した

マンセボを迎え、海外チームでも活躍してきた小林海をこのレースから新たにチームメンバーに加え、大いにチーム力を補強したマトリックスパワータグがリーダー奪取を狙い、積極的に動き始めた。メイン集団を牽引し、4名を8周目までに吸収。再びレースを振り出しに戻したのだ。



マトリックス パワータグが先頭に立ち、強烈な牽引を開始



マンセボ(マトリックス パワータグ)が先頭でペースアップ
ついてこられない選手をふるい落とし、集団を絞り込む

さらにマンセボが集団の先頭に立ち、一気にペースアップ。選手たちをふるいに掛け、メイン集団は20名以下に絞り込まれた。

11周目、ラスト2周となり、レオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ)と増田成幸(宇都宮ブリッツェン)の2人が飛び出し、後続との差を30秒から40秒に広げて、最終周回に入る。勝負はこの2人に絞り込まれた。



渾身のアタックでキンテロ(マトリックスパワータグ)を引き離しにかかる増田(宇都宮ブリッツェン)

残り3km付近の上りで増田が仕掛ける。一気に加速し、差を広げた。キンテロも踏ん張りを見せ、数秒差にキープしたまま頂上を越える。下りでジワジワと、増田との差を詰め、増田をかわすと、単独でホームストレートに現れた。



ガッツポーズでフィニッシュラインを越えたキンテロ、日本での初勝利だ

スプリント勝負を諦めた増田を後方にキンテロはガッツポーズでフィニッシュ、Jプロツアー初優勝を決めた。
3位にはマンセボが入り、マトリックスパワータグの今シーズン初優勝を1-3フィニッシュで飾った。



キンテロ、増田、マンセボが並んだ表彰式



優勝の喜びとチームへの感謝を語ったキンテロ

今年、ベネズエラから初来日し、チームに合流したキンテロは表彰式で「日本で最初の勝利でとても嬉しい。これまで日本にいる間支えてくれた監督をはじめチームメイトにお礼を言いたい」と、チームへの感謝を述べた。



リーダージャージは2ヶ月ぶりに増田の手中へと戻った



U23のリーダージャージは織田(弱虫ペダルサイクリングチーム)が堅守

Jプロツアーのリーダーは宇都宮ブリッツェン内で増田成幸へと移り、U23のリーダーは織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)がキープした。

***************

【結果】広島森林公園ロードレース Day -1  147.6km

1位/レオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ)3時間43分11秒
2位/増田成幸(宇都宮ブリッツェン)+5秒
3位/フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)+28秒
4位/トマ・ルバ(KINAN Cycling Team)+32秒
5位/大前翔(愛三工業レーシングチーム)+41秒
6位/阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)+42秒

【敢闘賞】

門田祐介(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team)

【中間スプリントポイント】

2周回完了時 小森亮平(マトリックスパワータグ )※DNFのためポイント対象外
4周回完了時 門田祐介(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team)
6周回完了時 大前翔(愛三工業レーシングチーム)

【Jプロツアーリーダー】

増田成幸(宇都宮ブリッツェン)

【U23リーダー】

織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)

画像提供:一般社団法人 全日本実業団自転車競技連盟(JBCF)