躍進しているロシア勢を牽引する2人、世界ランキング4位のダニール・メドベージェフ(ロシア)と8位のアンドレイ・ルブレフ(…

躍進しているロシア勢を牽引する2人、世界ランキング4位のダニール・メドベージェフ(ロシア)と8位のアンドレイ・ルブレフ(ロシア)がグランドスラムの準々決勝で再びぶつかることになった。【写真】メドベージェフとルブレフの比較表

前回の対戦は2020年「全米オープン」同ラウンドで、その時はメドベージェフがストレートで勝った。2歳下のルブレフはツアーレベルでメドベージェフに勝ったことがなく、前述の「全米オープン」を含めた3戦すべてに敗れている上、1セットも取ったことがない。

メドベージェフはこの試合に勝てば、トップ10選手に11連勝となる。最後に敗れたトップ10選手は、2020年「全米オープン」準決勝で対戦した世界3位のドミニク・ティーム(オーストリア)だ。ただし、グランドスラムに限ると1勝3敗となり、2017年「ウィンブルドン」1回戦で当時世界3位のスタン・ワウリンカ(スイス)を破ったのみ。トップ10選手との通算成績は19勝19敗。

グランドスラムの男子シングルスでロシア人選手同士が対戦するのは、オープン化以降20回目。「全豪オープン」においては4回目となる。

メドベージェフは同国対決をこれまで10回経験しており、8勝2敗。グランドスラムでは、2018年「全米オープン」1回戦のエフゲニー・ドンスコイと2020年「全米オープン」準々決勝のルブレフにどちらも勝利している。

一方のルブレフは、過去7回の同国対決でわずか1勝。2017年「ATP500 ハレ」2回戦でミカエル・ユーズニーに勝利したが、以降6回の同国対決にいずれも敗れた。トップ10選手との対戦成績はグランドスラムでは3勝6敗、ツアー通算では9勝17敗。

グランドスラム準々決勝に進出するのはメドベージェフにとって3回目で、過去2戦はいずれも勝利。対するルブレフは4回目の準々決勝だが、過去3戦はすべて黒星に終わっている。

今大会でのメドベージェフは、1回戦で世界63位のバセック・ポスピショル(カナダ)に、2回戦で世界99位のロベルト・カルバレス バエナ(スペイン)にストレート勝利。世界33位のフィリップ・クライノビッチ(セルビア)との3回戦では、2セット先取しながら追いつかれてフルセットに突入したが、競り勝った。4回戦では世界192位のマッケンジー・マクドナルド(アメリカ)にストレート勝利。なお、クライノビッチ戦はメドベージェフにとって5セットマッチでの初勝利。それまでに6回経験したが、いずれも敗れていた。

対するルブレフは、1回戦で世界102位のヤニック・ハンフマン(ドイツ)、2回戦で世界74位チアゴ・モンテーロ(ブラジル)、3回戦で世界65位フェリシアーノ・ロペス(スペイン)、4回戦で世界28位キャスパー・ルード(ノルウェー)に勝利。1セットも落としていない上に、4回戦では試合途中で相手が棄権したこともあり、通算プレー時間はメドベージェフより80分以上短い(6時間39分:8時間6分)。

メドベージェフの「全豪オープン」出場は5回目で、これまでの最高成績は2019年・2020年の4回戦進出だった。16回目の出場となるグランドスラムでは、2019年「全米オープン」で準優勝を果たしている。

2020年は、「全米オープン」でベスト4。年末の「ATP1000 パリ」と「Nitto ATPファイナルズ」で2大会連続優勝を飾った。後者では世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)、2位のラファエル・ナダル(スペイン)、3位のティームを破るという大会初の偉業を達成。現在は自身最長の公式戦18連勝中。

これが「全豪オープン」5回目の出場であるルブレフは、優勝すれば2009年のナダル(22歳243日)以降で最も若いチャンピオン(23歳124日)となる。グランドスラム全体で見れば、2009年「全米オープン」を制したフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン、20歳355日)以降最年少だ。

2020年は、新型コロナウイルスの影響で大会数が減りながらも、ルブレフはツアー最多の5回優勝。「ATP250 ドーハ」「ATP250 アデレード」「ATP500 ハンブルク」「ATP500 サンクトペテルブルク」「ATP500 ウィーン」を制し、ジョコビッチと並んでシーズン最多の41勝(10敗)を挙げた。

今大会ではメドベージェフ、ルブレフとアスラン・カラツェフというロシア人選手3人が準々決勝に進出しており、これはグランドスラムではオープン化以降、初の快挙。「全豪オープン」では一足先に準決勝へ勝ち進んだカラツェフの他、アレクサンドル・メトレベリ(1972年)、エフゲニー・カフェルニコフ(1999年-2000年)、マラト・サフィン(2002年、2004-05年)の4人がベスト4を達成している。

この試合でメドベージェフ、ルブレフのどちらが勝とうとも、勝者はカラツェフと共にグランドスラム3回目となるロシア勢2人の準決勝進出を祝うことになる。過去2回は、2001年「全米オープン」のカフェルニコフとサフィン、2006年「全米オープン」のニコライ・ダビデンコとユーズニーだ。

オープン化以降、ロシア人男子選手でグランドスラム準決勝に最も多く進出しているのは7回のサフィン。2位はカフェルニコフの6回、3位はダビデンコの4回で、メドベージェフが今回勝てば、メトレベリと並んで4位タイの3回となる。なお、ロシア人男子選手でグランドスラムを制したのは、カフェルニコフ(1996年「全仏オープン」、1999年「全豪オープン」)とサフィン(2000年「全米オープン」、2005年「全豪オープン」)の2人だ。

今大会前の国別対抗戦「ATPカップ」ではチームメイトとして力を合わせ、ロシアの優勝に貢献したメドベージェフとルブレフ。メドベージェフが相性の良さを生かして3度目となる準決勝進出を決めるのか、それとも「6歳の時初めて対戦して、2時間半も試合してくたくたになった。勝ったのはその時1回きり」と語っていたルブレフが、17年越しのリベンジを果たすのか。これからもずっとライバル関係を見ていけそうな、楽しみな対決である。

(テニスデイリー編集部)

※写真はメドベージェフ(左)とルブレフ(右)

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