2018年以来、3年ぶりにF1にカムバックするフェルナンド・アロンソ(39)=スペイン=が開幕直前で大きなアクシデントに遭遇した。2月11日にスイス・ルガーノで自転車に乗って公道でトレーニング中に交通事故に巻き込まれ、上あごの骨を折るなど…

 2018年以来、3年ぶりにF1にカムバックするフェルナンド・アロンソ(39)=スペイン=が開幕直前で大きなアクシデントに遭遇した。2月11日にスイス・ルガーノで自転車に乗って公道でトレーニング中に交通事故に巻き込まれ、上あごの骨を折るなどの重傷を負った。スーパーマーケットの駐車場に入ろうと対向車線から急に曲がってきた自動車に激突したという。

F1に復帰するアロンソ(ルノー提供)

・今すぐ読みたい→
「今度こそ国民栄誉賞ものの快挙ではないか」との声も 佐藤琢磨が3年ぶり2度目のインディ500優勝 https://cocokara-next.com/athlete_celeb/takumasato-historical-achievement/



 アロンソは上あごの骨折のほか歯も破損したようで、すぐに患部の固定手術を受けた。問題はシーズン開幕まであと1カ月半しかなく、今季の第1戦バーレーンGP(3月28日決勝)に間に合うかどうかという点に尽きる。

 所属先のアルピーヌ(前ルノー)は手術後に「今後数日の間は完全な休養を取り、彼は徐々にトレーニングを再開できるようになるだろう。シーズンへ向けた準備に順応できる状態になることを期待している」との声明を発表。アロンソ本人もツイッターで「皆様のご多幸をお祈り申し上げます。2021年が始まるのを楽しみにしています」とつづり、最後に力こぶの絵文字を添えて「Let’s gooooooooooooooo」と早期復帰に意欲を示した。

 医療関係者によると、上あごの修復手術を受けた場合、通常では約1カ月で治癒するという。開幕直前の合同テストは3月12~14日にバーレーンで開催される。日程的にはギリギリで間に合うそうだが、心配されるのは強いGや振動にさらされるレーシングカーをドライブすることで、治癒していたはずの部位が炎症や再亀裂を起こす可能性を捨てきれない点だ。

ルノー改めアルピーヌの今季型F1マシン(アルピーヌ提供)


 オートバイレースの最高峰、モトGPではチャンピオン候補の最有力だったホンダのマルク・マルケスが単純な骨折で1年を棒に振った。昨年7月のシリーズ第2戦スペインGPで転倒し、右上腕骨を骨折。すぐにチタンプレートで患部を固定する手術を受けた。

 ところが続く第3戦アンダルシアGPに強行エントリーし、フリー走行に無理を承知で走行したところ、激しい動きで固定していた個所が破損してしまった。その結果、再手術を受ける羽目に。しかも固定していた部位の強度が落ちたことで、その後はレースに出場できなくなり、昨年末には3度目の修復手術を受けた。今季の開幕戦に間に合うかも微妙な情勢だ。

 アロンソも無理をすれば、マルケスの二の舞いを演じかねない。私も過去にF1マシンのツーシーターカーに乗車し、レーシングスピードを体験したことがある。体は6点式のシートベルトで固定され、ヘルメット周りもヘッドレストで覆われて身動きができない状況だったが、強烈な横Gや前後Gで頭部が揺さぶられ、特有の激しい振動に常にさらされていることを肌身で感じた。そこを懸念している。

 特に上あごの骨は脳や眼球を覆う頭蓋骨と一体化されているため、危険はつきまとう。だから、完全に治ったことが確認されるまではレース出場を控えた方がいいのではないか。ちなみにアロンソはマクラーレン・ホンダに在籍した2015年にも開幕前の合同テストでクラッシュ。脳振とうを起こしたとしてドクターストップがかかり、開幕戦を欠場したことがある。

 今年で40歳。過去にチャンピオンを2回も獲得した実力者であり、F1をいったん離れた後は、ルマン24時間で優勝したり、ダカールラリーにチャレンジしたりと謳歌(おうか)していたのだから、焦って開幕戦に無理やりエントリーする必要はない。逆に十分過ぎるほど休んで満を持してF1の舞台に再登場した方が温かく迎えられるのではないかとさえ思う。焦りは禁物なり。

[文・写真/中日スポーツ・鶴田真也]

トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)


※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

・今すぐ読みたい→
次のステップに脱皮したいホンダ 4度目のF1撤退を決めた「真の理由」とは
ルイス・ハミルトンがF1歴代単独最多の通算92勝目をマーク 未だシューマッハーが優位に立つとされるポイントとは?
角田裕毅の来季のF1デビューが正式決定「F1ドライバーになることは、小さな頃からの夢でした」