オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)の大会4日目、男女シングルス2回戦。 前日に3回戦進出を決めた錦織圭(日清食品)に続いていきたい若手たち。19歳の大坂なおみ(日清食品)と21歳…

 オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)の大会4日目、男女シングルス2回戦。

 前日に3回戦進出を決めた錦織圭(日清食品)に続いていきたい若手たち。19歳の大坂なおみ(日清食品)と21歳の西岡良仁(ミキハウス)が2回戦に臨んだ。しかし、グランドスラム4度目の3回戦進出を狙う大坂は、第9シードのジョハナ・コンタ(イギリス)に4-6 2-6で完敗。西岡も第13シードのロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)からセットを奪えず、2-6 3-6 3-6で敗れた。

 大坂はその後、ダブルスの1回戦を戦ったが、モニカ・プイグ(プエルトリコ)とのペアはラルカ・オラル(ルーマニア)/オルガ・サブチュク(ウクライナ)に2-6 4-6で敗れて初戦突破ならず。

 アジア枠のワイルドカード・プレーオフで出場権を勝ち取った波形純理(伊予銀行)/チャン・チンウェイ(台湾)もタチアナ・マリア(ドイツ)/ポリーヌ・パルモンティエ(フランス)に3-6 1-6で敗れた。

 そんな中、この日日本勢で唯一の白星を挙げたのが日比野菜緒(LuLuLun)。アリシア・ロソルスカ(ポーランド)と組んだダブルスで、ユリア・プティンセバ(カザフスタン)/アリソン・リスク(アメリカ)組を6-1 6-2で破り、全米オープンに続いてダブルスでの2回戦進出を決めた。

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 第9シードも第13シードも強豪であることは間違いないが、チャンスがあるのではないか----大坂と対戦するコンタも、西岡が挑むバウティスタ アグートも、そう思わせるタイプの選手である。体格は世界基準で見れば小柄なほうで、圧倒的なパワーが武器ではない。しかし、彼らがそれでもなおそのランキングにいる確かな理由を、思い知らされるような2試合だった。

 一年前の47位から大躍進したコンタは、身長180cm、体重70kgの細身だが、球際に強く、深くて正確なショットを左右に散らしてくる。

 第1セットの第8ゲームで初めてブレークポイントを握った大坂は、コンタのセカンドサービスに対してウィナー狙いのアグレッシブなリターンを放ったが、わずかにサイドアウト。これが最初で最後のブレークチャンスだった。

 次のゲームで逆にブレークを許して第1セットを奪われ、第2セットは第3ゲームでラブゲームのサービスダウン。コンタは第7ゲームでだめ押しのブレークを決め、コンタのサービング・フォー・ザ・マッチでは2度デュースにもち込むのが精一杯だった。

 大坂は最速191kmのサービスで5本のエースを奪ったが、球速では劣るコンタがそれよりも多い9本のエースを記録。「彼女のほうが私よりももっとテニスを知っているんだと思う。私はもっと経験が必要」と語った。一方、コンタの大坂評は、日本のホープの将来に大きな期待を抱かせてくれるものだった。

 「彼女のいいところは、とてもうまくペースを使うところだと思う。どこで決めにくるのか、どこでつないでくるのか、わからない」

 ビッグサーブとパワーショットで注目されがちだが、パワー一辺倒ではない巧さを指摘する。完成までにはしばらく時間がかかるが、そのプロセスで今後も日本を、世界を楽しませるだろう。

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 グランドスラムの3回戦進出を一つの目標としている西岡は、「チャンスはあると思っていましたし、実際、スコアほどの差は感じなかった」と振り返った。ロングラリー、ロングゲームの多さがそう感じた理由だろう。しかし、どのセットも中盤以降からバウティスタ アグートが勝負強さを見せた。

 立ち上がりのゲームでいきなりブレークに成功したが、2-0から6ゲームを連取されて第1セットを落とし、第2セットは先にブレークされて一度は追いつくが、ふたたび引き離されるという展開。第3セットは1-3から3-3に追いついたが、やはりそこから食らいついていくことができなかった。

 170cmと小柄で一発の破壊力はない西岡だが、走って粘って「面倒くさいヤツと思わせたい」という。勝利したバウティスタ アグートの雄叫びは、そういうテニスがある程度できていた証拠だろう。

  「あそこを取れていればというところを取れなかった。今のところは、それがランキングの差」

 見えない壁はあるが、越えられないものではない----。二つの実感が前に進む原動力である。

(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)