NBA前半戦総括ウェスタン・カンファレンス編 NBAの2020-21シーズンも約1/3を消化。ウェスタン・カンファレンス…

NBA前半戦総括
ウェスタン・カンファレンス編

 NBAの2020-21シーズンも約1/3を消化。ウェスタン・カンファレンスでは、地区2位(現地時間2月10日時点。以下同)で昨季王者のロサンゼルス・レイカーズが、チームとしてダントツの高評価を得ている。レブロン・ジェームズ、アンソニー・デイビスという2大スーパースターを中心とするチームが、オフにデニス・シュルーダー、マルク・ガソル、モントレズ・ハレルらを加えてさらにパワーアップした。



絶対エースとしてレイカーズをけん引するレブロン

 その中でも、チームを引っ張っているのはやはりレブロン。昨年末に36歳になった"選ばれし男"はハイレベルなパフォーマンスを継続し、今季のMVP最有力候補という呼び声も高い。

「レブロンがチームの雰囲気を作ってくれている。彼がそういう心構えで臨んでくれていることはチームカルチャーの助けになる」

 ヘッドコーチ(HC)のフランク・ボーゲルも、別格のリーダーシップと風格を感じさせるようになったレブロンをそう評している。

 長いシーズンを見据えてチームがペース配分をしている印象もあるが、レブロンが古巣相手に46得点を挙げた1月25日のクリーブランド・キャバリアーズ戦、後半に一気に点差を広げて勝利した2月4日の強豪デンバー・ナゲッツ戦などは迫力があった。"守護神"デイビスを軸に、ディフェンシブ・レイティングでリーグ1位と堅守を保っているのも心強い。2連覇を狙う王者はこのまま高勝率を保ち、プレーオフの時期に照準を合わせてくるはずだ。

 ただ、現時点でリーグのベストレコードを保持しているのはレイカーズではない。1月8日以降に16勝1敗と、圧倒的な勢いで突っ走るユタ・ジャズ(1位)が台風の目のような存在になっている。

 エースのドノバン・ミッチェル、インサイドの軸であるルディ・ゴベアという両輪に加え、移籍2年目のマイク・コンリーがチームにフィットしたことが大きい。そのほか、ボーヤン・ボグダノビッチ、ジョー・イングルズ、ジョーダン・クラークソンといったサポーティングキャストも好調で、3ポイントシュートの成功数ではリーグ1位。派手さはなくともバランスがいい戦力を備えているだけに、今後もウェスタンのトップを争い続ける可能性は十分にある。

 また、カワイ・レナード、ポール・ジョージという2人が引っ張るロサンゼルス・クリッパーズ(3位)も強さを保っている。ケガ人が増えた2月はややペースが落ちたが、それまでは1月10日から31日までの11戦で10勝を挙げるなど快調だった。

 サージ・イバカ、パトリック・べバリー、マーカス・モリス、ルー・ウィリアムズら脇役も粒揃いなだけに、「打倒・レイカーズ」の最右翼に挙げる声が多いのも納得できる。昨季はケミストリー不足が喧伝されたが、今のところはティロン・ルー新HCの手綱さばきも好評だ。

 ただ、クリッパーズはプレーメイキングができるPGが不在という弱点が解消されていない。昨季のプレーオフでもナゲッツに3勝1敗からまさかの逆転負けを喫する原因になったのがその部分。3月下旬のトレード期限までに、効果的に補強ができるかどうかがカギになりそう。

 レイカーズ、ジャズ、クリッパーズがウェスタンの3強とみなされ、それ以下の4〜10位までの7チームが3ゲーム差以内にひしめく空前の大混戦になっている。今季は昨季と同じように、7〜10位の4チームが「プレーインゲーム(プレーオフ進出決定戦)」への出場権を得る仕組み。リスキーなプレーインゲームに出なくて済む6位以内と、10位以内を巡る争いはかなり激しくなりそうだ。

 群雄割拠の同カンファレンスで、現時点で6位以内に入ってくる可能性が高いと目されているのは、ナゲッツ(7位)、ポートランド・トレイルブレイザーズ(5位)、フェニックス・サンズ(4位)の3チームだ。

 昨季、カンファレンス・ファイナルに進んだナゲッツは、1月27日まで5連勝した時点でエンジンがかかってきたかと思われた。しかしガード陣にケガ人が増えたこともあって、その後の4戦で3敗。去年のプレーオフでブレイクしたかと思われたジャマール・マレーがやや不安定なのも痛い。

 それでも、最終的にナゲッツが浮上してくると思えるのは、大黒柱のニコラ・ヨキッチが自己最高のプレーを続けているからだ。25歳のセルビア人センターは、1月31日のジャズ戦で47得点12リバウンド、2月6日のサクラメント・キングス戦では50得点12アシストをマーク。レブロンやジョエル・エンビードと並ぶMVP候補と見るメディアも少なくない。ヨキッチが好調を維持し、マレー、マイケル・ポーターJr.などがコンディションを取り戻せば、ナゲッツは今季も怖いチームになる。

 ケガ人の多さに悩まされているのは、CJ・マッカラム、ユスフ・ヌルキッチ、ザック・コリンズが離脱中のブレイザーズも同様だ。

 ディフェンスがリーグ28位と崩れ、勝率5割前後をうろうろしているのは仕方ない。ただ、フルメンバーの際のブレイザーズに上位を狙える力があることは、昨季のシーズン再開後に快進撃を見せたことで証明した。得点力のあるマッカラム、サイズと多才さが売りのヌルキッチが戻ってくれば、ブレイザーズはほとんど別のチームになる。大黒柱デイミアン・リラードの頑張りで何とか持ち堪え、故障者の復帰が予想される後半戦に巻き返しを狙いたい。

 現代屈指の司令塔、クリス・ポールが加わったサンズも魅力的なチームになった。エースのデビン・ブッカーを支えて長所を引き出す役割は、経験豊富なポールが適任。故障者の多さも層の厚さで乗り切り、最初の22戦で13勝と久々に好スタートを切っている。

 チームディフェンスが向上しているのも好材料だ。昨夏、フロリダ州オーランドの"バブル"で破竹の8連勝を遂げながら、惜しくもポストシーズンを逃したサンズは、今季こそプレーオフの舞台に戻ってくるのではないか。

 ハイレベルなウェスタン・カンファレンスの中でも、カンファレンス・セミファイナル以上に進む4強は、ここまでに挙げた6チームの中から出る可能性が高い。ただ、絶対とは言い切れない。ベテランスコアラーのデマー・デローザンが活躍しているサンアントニオ・スパーズ(6位)、クレイ・トンプソンの故障離脱後も"千両役者"ステフィン・カリーが屋台骨を支えるゴールデンステイト・ウォリアーズ(8位)といった、名門チームの底力も侮れないからだ。

 また、ジェームズ・ハーデン、ラッセル・ウェストブルックがトレードで抜けたあとも、リーグ2位の堅守で巻き返しているヒューストン・ロケッツ(13位)、昨季の新人王ジャ・モラントがケガから戻ってきて臨戦態勢のメンフィス・グリズリーズ(9位)もプレーオフ戦線に踏みとどまるかもしれない。ディアロン・フォックスを軸とした攻撃力で守備難をカバーするサクラメント・キングス(10位)も含め、シーズン中盤戦以降も激しい戦いが続きそうである。

 最後に、ウェスタン・カンファレンスで「期待外れ」となっているチームも挙げておきたい。

 クリス・ポールを放出してチーム再建を図っている最中のオクラホマシティ・サンダー(14位)、主砲カール アンソニー・タウンズが新型コロナウイルス感染で離脱したミネソタ・ティンバーウルヴズ(15位)は仕方ない。ただ、昨季はプレーオフでも健闘したダラス・マーベリックス(以下、マブス)が、15チーム中13位にまで転落すると考えた関係者は少なかっただろう。

 MVP候補に挙げられていたマブスのエース、ルカ・ドンチッチは予想どおりに活躍しているものの、チーム内のケミストリー不足は歴然。次のスーパースターとして期待が大きいドンチッチのプレーをファンが堪能できるよう、今後のマブスの巻き返しを期待したいところだ。

 ザイオン・ウイリアムソン、ブランドン・イングラム、ロンゾ・ボール といった若手有望株を持つニューオーリンズ・ペリカンズ(12位)も、最初の15戦で10敗とスタートダッシュに失敗した。ただ、2年目の"怪物"ザイオンを軸に徐々に上昇の気配はある。タレント集団がこれからどこまで浮上できるかが楽しみだ。

(イースタン・カンファレス編はこちら>>)