自身の土俵でも痛感した強さ「試合になったら、打たせてくれることはない」 新型コロナウイルスと戦う医療従事者や患者を支援するボクシングのチャリティーイベント「LEGEND」が11日、東京・代々木第一体育館で行われた。スパーリング形式で行われる…

自身の土俵でも痛感した強さ「試合になったら、打たせてくれることはない」

 新型コロナウイルスと戦う医療従事者や患者を支援するボクシングのチャリティーイベント「LEGEND」が11日、東京・代々木第一体育館で行われた。スパーリング形式で行われる3分×3回のエキシビションマッチ。メインイベントではWBAスーパー&IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)と元WBC世界フライ級王者・比嘉大吾(Ambition)が激突した。翻弄された格好の比嘉は、井上の強さに脱帽した。

 バンタム級3団体で世界ランク入り。対戦前は将来的な対戦の“前哨戦”だと意気込んでいた比嘉だったが、蓋を開けてみれば世界屈指のモンスターに翻弄された。

 スピードに圧倒され、強烈なパンチも被弾した。ヘッドギアの上からだったが効かされた。両者ヘッドギアを外した最終ラウンドは果敢に前に出て、会場を大いに盛り上げたが、スパーリングとはいえ、差のある内容だった。

 比嘉は試合後、井上の印象を問われると「やっぱりちょっと……スゴイ……。(井上の)スタイル的にはもっと距離を取って戦えると思うんですよね。自分に合わせて打ち合うような、接近戦が多めだった。(スパーではなく)試合とかになったら、打たせてくれることはないと思っている」と苦笑いで振り返った。

描いていた将来の対戦は…「今日の内容だと厳しいですね」

 比嘉自身が得意とする接近戦でも、井上の強さを痛感した。「接近戦もできるんだとわかったし、離れていてもパンチが見えてる感があった。すごいと思いました」と脱帽だった。

 自身もフライ級で世界王座を奪取し、バンタム級転向後もアジアタイトルを獲得。再び世界へ挑む権利は手にしている。しかしモンスターの壁は厚かった。「もう少しパンチが当たると思ったか?」という問いには「ありましたね。当たると思っていたし、半々すね。これが当たって、これが当たらないんだとか。距離感も同じくらいだったし」とコメントしている。

 戦前はこのスパーを世界前哨戦として描いていたが、「見ての通り」と首を振った。「今は厳しい状態なんで、試合になれば調整も違うとは思うが、今日の内容だと厳しいですね」と率直にこぼした。

 それでも決して打ちのめされただけではない。「収穫は……(井上も)あんまり手の内を見せてないと思うので、なんとも言えないのですが、なんもないですね」と自嘲しながらも、「でも同じ距離間でパンチの質とか、世界的に有名な選手のものを見ることができた。一瞬の早さとか」とコメント。世界の頂を肌で感じられたことは前向きに受け止めている。(THE ANSWER編集部)